最終更新日 2003. 10. 16 Thu

ワタシはやっぱりマゾヒスト
奴隷が負う辛さについて、だらだら考えを巡らせるうち、ふと思いつく。
イリコのように”辛いけれども服す”奴隷もいれば、
”辛いからこそ服す”奴隷もいるのだろうと。

そういえば、一昔前のM専誌の読者投稿欄などは、この手の奴隷志願ばかりだった。
いや、今でもいるはずだ。
ある意味、それはマゾヒストが奴隷たる王道かもしれない。

”辛いからこそ”奴隷を目指すマゾヒストにあっては、
肉体が痛苦を欲するように、精神が痛苦を欲すると解釈できる。
奴隷だの家畜だのヒト以下に貶められるを求め、罵られては悦楽を感じ、
あるいは不遇に耐える自体に愉悦する。
酷い扱いを受ければ受けるほど奴隷としての悦びは増し、ひいては奴隷たる存在意義まで見るか。

だから、その手の隷属願望組は、主人が奴隷に情けをかけるなどもってのほかと表明してたし、
ラジカルな連中ともなれば、奴隷に礼を言うとか労わるとか、そんな奴はSに非ず!
とまで吠えていた。
まぁ、彼らの理想や美意識に照らせば、それは正しい言い分だ。
更には、奴隷が目指す究極の悦びはやがて廃棄されることだと説く。
それが、彼らの”奴隷道”だ。

・・・・・。

先日、とあるM女性と面識を得た。
それなりに経験もあるらしい。そのうちに彼女の身の上話が始まった。
主と慕う男がいるが、何度も破門されてるのだと明かす。

彼女は自嘲気味にそう言ったけれど、さほど深刻に聞こえない。
破門劇を楽しんでいるような印象。
詳しい経緯は知らないが、何度も破門出来るなんて余程相性がいいんだわ(笑

夜が深くなっていたせいか、それが彼女の癖なのか、初対面の私相手に一方的な話は続く。
不出来な自分は破門されて当然だとか、男は自分に同情してるだけだとか。
そんな自問めいた告白の挙句、彼女は言った。
「ワタシ、好きな人でも優しくされると途端にイヤになっちゃうんですよね」
その言葉に笑ってしまう。あぁやっぱり。

流石に「あぁやっぱり」とは言えなくて、
「ホントに我が強いのね」と誤魔化して話を切った。
これしきの関わりで、これ以上彼女の自己憐憫につきあう義理もあるまい。
私なりの結論で言えば、一見不幸そうな身の上だが、彼女にとってはそれでいいのだ。
その男の思惑はわからないが、並の神経ならご苦労なことだと思った。

・・・・・。

彼女を知る友人と後日話していた折、その話になる。
「色々話を聞いてるとね、彼女の主は彼女自身のような気がしてならないのよ」
あぁその通りだと思う。
彼女は、自分の思い通りに自分を不幸にしてくれる男を求めているのだろう。
そう考えると、彼女が見込んだ男はよくやっている。
きっと女を不幸にするのが趣味なんだよ(笑。

ここで私は、彼女の状態を”不幸”と表現しているが、
それが彼女の望む状態ならば、それは彼女にとっての幸いなのだ。
この価値観は、前述の奴隷道を極めんとする隷属願望者のそれと通底する。
マゾヒスト的幸福観とでもいうか(笑。
この悪魔的希求或いはエゴには、相応のエゴを持ち合わせた人間しかつきあえないだろうな。

・・・・・。

と、ここで気づく。
何によらず、その道を求道する者は、このマゾヒスト的幸福観に縋る面があるなと。
ある意味ストイック、第三者的には、ナゼニソコマデと呆れられるような(笑。
とすれば、賽の河原に石積むような”主道”にのめり込む私こそ、マゾヒストだわ。
や、何を今更な話だけれど、改めて笑ってしまったので記す。

さて、今回ここまで。
読み返すとまるで脈絡のない話に成り果てて、どうにも恥ずかしいやら辛いやら。
でもまぁ、わたし、マゾだからこのまま露出放置。あはは、投げやり〜(笑)
花も嵐も踏み越えて
いくら私がイリコを辛がらせるのが好きで、奴にあっては再々辛がってても、
私たちのこれまでが、まさか辛いことばかりだったワケではない。
確かに奴は、自称コンナハズジャナイ失敗を繰り返したが、
これも当然に失敗ばかりしてたワケじゃない。
勿論私も説教ばかりしてたワケじゃなく。幾ら好きでも、そればっかじゃ嫌んなるワ(笑

ここで公開オナニーするために、この二年のメールなどの記録を見返していると、
そういう当たり前のことに気付く。
いや頭では解ってても、渦中にはそれを忘れて、こんなことばっかだ…とうんざりするもので。
奴の位置では尚のこと、直面する辛さで目一杯となり、
それを思い出す余地なんてあるはずもなく、余計に辛いことだろう。

”奴隷なんて辛いものだよ”と言い聞かせつつ、けれど、
”奴隷だから得る悦びは必ずやある”と、私は確信している。
それは奴だって、実感しているだろう。
実際、落ち込みから脱出するとき、奴はちゃんとここに辿り着く。
辛いけれども悦びもある。いや、辛さがあってこその悦びか(笑。
ともかく、辛いばかりじゃない。勿論悦びばかりなはずもない。

そしてそれは、時を経て眺める事実の集積がまさに証明してくれる。
たかだか二年にしても、辛いこと同様に悦ばしいこともあったんだと。
それが当たり前のことなんだと。
確かに辛いときって、悦ばしかった記憶を忘れがちだし、
時にその記憶すら疑わしくもなるけれど、感情よりも厳然たる事実に救われるよ。

・・・・・。

先日来、一年程前からの奴との経緯を順に追っているが、
先に記事した春の乱以降、この程度に深刻な出来事は、驚いたことに年末まで起きてない。
印象としては、もっとこじれまくってるのかと思ってたのね。
そうしてみると、大きなこじれってのは、台風や大雪並に稀なことなのかもしれない。
ナンダ、意外と健全なお付き合いだわぁ(笑。

いや勿論、細かく見れば、二ヶ月置きくらいに小さな事件は起きてるんだけど、
私としては、さほど消耗せずに済んでいる。
それが証拠に、折々のこじれを巡ってのメールは一往復くらいで終わってるし(笑。
あぁでも、今となれば、こういう小さな綻びを適当に見過ごして、
ちゃんと手当てしなかったこそに問題を見てるんだけど。

もっとも、私的には小事件でも、
奴にしてみれば、台風に直撃された並みのダメージを負ったかもしれないし、
年に二度の深刻な事件には、天地がひっくり返った程の絶望を覚えたのかもしれない。
だから、同じ出来事を共有しながら、互いの事実には随分と隔たりがあるんだと思う。
とすれば私は、私固有の事実で楽観しちゃだめだなぁと自戒する。

・・・・・。

私がここで回想する現在、その一方で、奴にも過去を振り返る作業を課している。
またまたママゴトぽい所業なんだけど、メール等からデータを抽出してもらってるのだ。
これは、昨年末の事件以前に、専ら私が今後の方針を立てる目的で依頼したことなのだが、
図らずも、今となれば奴にも意味のある作業になってしまった。

先日進捗状況を訊いた折、「はっきり言って辛い」と奴はこぼした。
偶々なんだろうけど、奴には初めて、語尾に「です」がつかない発言だった(笑。
そして「楽しいこともあったのに、そういうのは詳しく書いてないんですね」と苦笑する。
「結局そういうことになっちゃうね」と、私は相槌を打つしかなかったけど。

でもねぇ、楽しいことは語らずとも、いつまでも憶えてられるものと思う。
その逆に、辛いことは忘れたがるものなのね、人の摂理として。
勿論それでもいんだけど、辛いことだからこそ記憶に留める努力をしたほうが、
後々役に立つんじゃないかしらね・・・説教のネタにもなるし(笑。

・・・・・。

花も嵐も踏み越えて。
花の記憶を心に抱いて、またの嵐に備えましょう。
今後の課題、あるいは予定
これも偶にイリコに訊くことなんだけど。
「キミとしてはもっとウマクやれると思ってたでしょ?」

問われて、「そうですね・・」と答える奴の困った顔が小気味よい。
けど、それは、失態を重ねてしまう不甲斐なさを悔やむというよりも、
コンナハズジャナイノニ…と戸惑っているふうで可笑しい。
まるで想像し得ない不可解に首を傾げてる感じなのだ。

確かに、先日記事したように、
奴隷という状態が、奴本来の能力を奪っている面はあるだろう。
失態を演じ、不具合を指摘されて、普段の自分なら出来るのにと歯痒く思うこともあるはずだ。
だから、奴隷である自体を言い訳にして、やり過ごすことは出来る。
その意味では、私だって大目に見ているつもりなんだけど。
しかし。

奴が本当はどれ程有能であっても、
私とある限り、奴隷という克服しようもないハンディキャップを負うことになる。
私にあっても同じ。
そして、その覚悟の上で”ウマクいかないこと”を眺めたとき、
それは全てハンデのせいなんだろうか。
恐らくはそうじゃない。
いや寧ろ、ハンデに甘えて手をこまぬいていることすらあると思う。

・・・・・。

さて、私は奴を困らせたり、辛がらせたりするのが好きだ。
その上、説教するのも好きだ。いや、好きというより癖というべきか。
だから、DSなんてママゴトやってんだろうね(笑。
けれど、どれ程困らせ辛がらせようと説教垂れようと、無茶は言うまいと自制している。
というか、誠実にあらんとすれば、それは出来ない。

だから、私が奴に言い下すことは、前述の覚悟も踏まえた道理のうちにある。
少なくとも私の誠意に照らして。
たぶん奴だって、無理難題をふっかけられた認識はないんじゃないかな。
あ、単なる難題はあったか(笑。
それでも、ウマクいかないことは起きてきた。
言われた通りに出来ないとか、困ることとか、辛いこととか。

それは私にも起きてたことだけど、その何倍もの苦しさを奴は味わったことだろう。
その都度、奴の自尊や自信は揺らぎ、自身を疑うことを余儀なくされただろう。
でもね、ウマクいかないことを経なければ、ウマク出来るようにはならないの。
認めたくなくても、ウマクやれない自分を受容しなければならないの。
辛いだろうけど。

・・・・・。

誰だってウマクやりたいと願う。
でも、大抵はウマクいかないことばかりだ。未熟なうちなら尚更に。
万が一、端から何でもウマクできる人がいたとしたら、その人は幸福なんだろうか・・・
まぁ少なくとも、私はそんな人を奴隷にしたくはない。
だって、大好きな説教が出来ないもの。つまり、この点で不幸ダと断言しとく(笑

冗談はともかく、これからも奴はウマクいかないことに出会うと思う。
そして、辛い苦しい思いをするだろう。
けど、どうせ辛いのならば、コンナハズジャナイノニ…と嘆くよりも、
ハンデをもってしてもウマクやれない自分を認める辛さに甘んじて欲しい。
自信や自尊にしがみついて泣くよりも、それらを捨てる苦しみを得て欲しい。

どうやっても辛く苦しいならば、実のある辛さや苦しみのほうがいいじゃない?(笑。
そしたら、今よりもずっとウマク出来るようになると思う。

あぁでもね。
そうなったとしても、絶対ウマクいかないことは出てくるものなのよ、お生憎さま。
だから心配無用。私もずっと好きな説教を続けて、辛がるキミを見る予定(笑。
かわいそうなキミが好き
時々思い出したようにイリコに訊くことがある。
「奴隷やるのって辛いでしょ?」
応えて奴が「辛いです」と言う。

もちろん、その前後には何かしらエクスキューズが入るのだが、
私としてはその一言だけにしみじみと心が深くなる。
我ながらその情動が面映くて、
大抵その後に「辛いのになんで奴隷やるの?」なんて茶化してしまう。

すると、奴は「お慕いしてるからです」なんて嬉しい回答を恵んでくれるのだけど、
そう答える奴の困ったような面持ちこそが愛おしい。
それは、辛くても服してくれる健気さにほだされるというよりも、
望んだとはいえ辛い境涯に落ちた奴の身の上に、”哀れ”を感じるからだ。
可哀想に…と慰めながら、ぎゅぅと抱きしめたくなるよ。

とは言え、実際に抱きしめはしない。
身の内に胸苦しさを留めることで、一層奴への愛おしさが募るのだ。
それに、敢えて構わずにいて、もっともっと可哀想な奴が見たいとも思う。

辛そうなキミが好きだ。
可哀想なキミが好きだ。
だから、こんな辛い仕打ちばかりしちゃうのかな。
奴隷だから辛くて当然と突き放してしまうのかな。

ふと我に返って、そうしてしまう自分に疑問を投げてみる。
奴は決して辛いことが好きじゃないはずだ。
普通相手の嫌がることはしないものだし、私だって、相手が奴じゃなきゃしない。
奴だから、辛いとわかっていても辛さを課してしまうのだ。
やっぱりイビツだ。だから性癖か。
じゃあ、辛くとも従う奴の場合、どうなんだ?(笑

・・・・・。

SMも含む性行為に限れば、私は奴を辛がらせるのに躊躇しない。
が、それも奴がそう望むからじゃない。
いや寧ろ、巷にありがちな”痛苦に貪欲で恥辱に欲情する”式のマゾだったら、食指は動かない。
かといって、痛苦に耐えてこそMの本懐なんて構えられても困る。
辛ければ辛いと泣き喚き、止めてと懇願して欲しいのだ。

このとき私は、S側にあってはありきたり(笑)に、奴が辛がり苦しむさまにソソられる。
それで更に行為しては、もっと嫌がらせようとする。
奴が嫌がれば嫌がるほど、その可哀想な様子に狂おしいような感情が湧く。
そんな奴が可愛くてならない。心から愛しいと思う。
自ら酷いことしといて、可哀想がって・・・そんな愛し方をする。

勿論というか、しかしというか。
時に愛しさが溢れて、ただただ愛撫することもある。
手の中の小さな動物を目一杯撫で回してる感じ。ワタシの大切なモノ。
けど、そうやって直接的に大切にされ慣れない奴としては、
少々戸惑いを覚えるらしく、怯えながら抱かれている。
ま、そんな風情も可愛い。いや、そんなだからますます可愛い(笑。

・・・・・。

このところ私は、行為以外の部分で奴を辛がらせてばかりだ。
ここで過ぎたことを暴き立てるも然り、現在奴に課している作業も然り。
いや、最近に限らず、振り返れば、奴には辛いことの連続だったろう。
だから、時々「辛いか?」と訊き、
時に言葉で時に語らず、辛くてもついてきて頂戴と口説いた。
それに奴は応えてくれた。

如何にもあざとい言い分だけど、行為だけの関係じゃないから、こうなってしまうんだろうと思う。
可哀想にと思いながら、いや、可哀想にと思いたいからやめられないのか(笑。
だから、これからも辛さに甘んじて欲しいと切に願う。

あぁこれって、殆ど自分への言い訳だとわかってるんだけど。
ごめんね、でもね、可哀想なキミが好き。
哀れみの様相
誹られるのを覚悟で告白すれば、私がM魚を愛しむ要件の一つは”哀れみ”だ。
あぁごめんなさい。性愛の相手を哀れむなんて、人道に背く傲慢だと知っている。
だからこそ、外道な性癖と認識しているし、M魚以外にそれを向けることはない。
というか、相手がM魚だからこそ、”哀れみ”の情が喚起されるのだろうと思う。

もっとも、私が哀れむのはM魚自身ではなく、M魚たる業のようなものについて。
同じヒトに生まれながら、自らを貶める欲望を抱いてしまった無惨が哀れを誘うのだ。
いや、所詮は同じ穴の狢。相手を哀れむなんてとんだ思い上がりだとわかってる。
けれど心は理性を裏切り、”哀れみ”は、あたかも”愛”のように生じてしまう。

だから、そうして生じる”哀れみ”に負の要素は感じない。まるで勝手な感覚だけど。
確かに”哀れみ”というのは、それを抱いた時点で優位に立ってしまう不遜な情だ。
けれども、実感として見下してはない。優位にありながら相手を尊重してる感じ。
それが、両者の位置関係が相似する”蔑み”とは決定的に違う点だと思っている。

・・・・・。

が、ここでハタと思う。S側にあれば、蔑んでこそ相手と関わる人もいるのだろう。
私が否応なくM魚を哀れんでしまうように、彼らは”蔑み”を抱いてしまうのかしら。
対する蔑まれたいM側は、蔑まれてこそ、自分の存在意義や相手への情を抱くのかしら。
とすれば、これら両者にとっては、”蔑み”もまた”愛”に同列なのだろうか。

確かに、”蔑み”を抱くことのない私には、蔑んで相手と関わる心境は理解しがたい。
いや正直に言えば、蔑まれたいと願望するM側に煽られて、蔑んで”やる”ことはある。
それなりに興奮するが、それは蔑むことで相手が堕ちていく様子に感じてるだけだ。
けれど、”蔑む”自体を好むS側ならば、それが愛や情の基盤になり得るのかもしれない。

実際、私がことDS関係の従に抱く”哀れみ”は、奴への情愛の大きな部分を占める。
それと同様のことが、”蔑み”で繋がる人たちの間にはあるのかなと想像している。
もっとも、”哀れみ”も”蔑み”も、性愛に絡む以上単なる感情では留まらないはずだ。
”愛”が性衝動を生むように、私にあっては”哀れみ”が行為する欲望に関与している。

・・・・・。

無論、いくらM魚に”哀れみ”を感じるといっても、相手によってその程度や様相は異なる。
たとえ関係しても、DS関係にないパートナーや恋人、ゆきずり相手にはさほど生じない。
つまり、情愛を形作るほどの”哀れみ”を抱くのは、然るべき関係性においてこそだ。
ただ、どんな関係であっても、何かしらの”哀れみ”が行為を駆るような気がしている。

喩えてそれは、セックスする前や最中に、”愛”と錯覚される性衝動のような感じかな。
だから、行為を終えてしまえばその狂おしさは霧散する。刹那の”愛”のように(笑
つまりSM行為において、私は、M魚を哀れみたがっているらしい。純粋な欲望として。

とすれば、”哀れみ”と”愛”を同列におくのは、いかにもご都合主義だわと鼻白むけど、
それは、”愛”にしたって、肉欲を孕んだ性愛だもの、仕方ないかなと思い直す。
にしても、肉と心にまたがる性愛というものは、処しがたいことだと、改めて思う。

・・・・・。

けれども、哀れむにしても蔑むにしても、凡そのヒトが親しむ性愛からは程遠く、
そのイビツさを備えてしまった自分が悲しい。というか、自分をこそ哀れに思うよ(笑
しかし、それでも呼応してくれるイビツな同志があることを本当に幸いに思う。
もしかしたら、相対しつつも芽生えるシンパシーこそが、愛や執着を生むのかしら。
春の乱その後 #3
私が至極当然に用いていた”訓練”という言葉、あるいは概念について、
イリコに「今初めて理解しました」と明かされて、
驚きつつも、改めて自分の理解を振り返る。
ついでに辞書まで引いてみた(笑。決して難解な語ではない。
いわんやそれは、誰しもが成長の過程で、
また生活や仕事の上で経験するありふれたことなんじゃないか。
そう思うだに、奴の理解が腑に落ちない。後に続く文面に、僅かに先途を見る。


> 自分の中に新しい要素を造っていかなくてはならないと感じております。
> それが今まであったものと結びついた時、
> 想いを表現する方法が身につくのかなと考えました。


ここに至り、奴には”訓練”の概念自体がないのかなと思った。
いやもちろん奴だって、訓練された経験は絶対あるはずなんだけど、
恐らくは”訓練”に意識的である機会を逸したのだろう。
だから、この時点での奴の理解は、”訓練”の過程における一番の難局を見落としている。
つまり、今まであったものを”捨てる”想定が足りない。

・・・・・。

確かに概念などなくとも、訓練は出来る。
自我を得る前の子どもの躾なんてのがそうだ。
しかし、幼い子にさえ"我"はあって、そうすんなりと躾られるものじゃない。
それでも子ども特有の生存本能でもって、
相応の抵抗があるにしても、それなりに我を抑えることを覚えていくのだろう。
その経過に意識的である必要はないと思う。

けれども、自我を得るにつれ、生存本能は自我を保つことに変わっていく。
すっかり大人になってしまうと、我を抑えたり捨てたりするのは本当に厄介になる。
意識することなく漫然といては、絶対に出来ないとさえ思う。
だから強烈な動機を得たり、切羽詰った状況におかれたり、意識的に向かわねば、
訓練は成り立たないのではないか。

もっとも、こう考えるのは、私こそが我の強い人間だからだと思う。
自分が正しいと思いたがる。
だから自我を得て以降、他者と折り合うそれぞれの局面で、
渾身の力で自らを省み、疑い、我を捨てる努力をした感がある。
勿論、今でも我と戦うことは再々だ。
僅かでも気を抜けば、私はすぐにでも身勝手な人間に成り下がるだろう。

・・・・・。

私が殊更に「意識的にあれ」と奴に言い下すのは、
自分と同程度の、いや経験の差をもって私以上の我の強さを奴に見ているからだ。
そこで返信のメールでは、敢えてこの理由まで言葉にして呈した。
そうすることで、奴に相応のショックを与えてしまうのはわかっていたけれど、
一度は通るべき道だろうと身勝手な合理化をして送信することにした。


> さて、この一年キミと相対してきて、未だに再々に思い、かつ憂うのは、
> キミは「自分のやり方が間違っている」と認めたくない人なんだなぁということです。
> つまり、「自分のものさし」が本当に大事なんだなぁということです。
>
> もちろん、誰もがこの傾向を持ちますが、キミのそれは実に頑強なのです。
> この状態を、世間では「プライドが高い」と言います。
> 自分がタダシイと思いたがり、自分は間違ってないはずだと思いたがる人です。
> 何か不具合が生じた時に、すぐに自分の否を疑えない、謝れない人です。
>
> こうした人に訓練を施していくのは、実に難しいとご理解頂けると思います。


ここで私があげつらったそれぞれは、経験に基づく実際的な考察なのだが、
やはり奴には酷だったようで、翌日からのメールは予想以上に沈鬱なものとなり、
またも私はフられてしまうのかと、慌ててしまった(笑
春の乱その後 #2
イリコと初めて会った時から、
私は奴の排他的ともいうべき自尊心の高さに気付いていた。
その以前にメールを交し合った時々にも、それは何となく感じていたのだけれど、
対面してはっきりとわかった。
しかし、奴のその性向は私には忌むべきものではない。
寧ろその部分にこそ、奴隷たる素地を、ひいては関わるべき動機を見たのだ。

だから、初対面にも関わらず、多分にS側という立場に乗じて、それを指摘した。
流石にそう確信するに至った奴の言動をあげつらうのは憚られて、
私としては言葉を選んだつもりだったのだが、果たして奴はそれを聞くや絶句し、
衆目の中にありながら、臆面もなくぼろぼろと泪をこぼし、鼻水まで垂れた。
酒のせいもあったろうけど、そうなってしまう奴に私は希望を得た。

そして、まさにこの時、私は奴を奴隷にしようと思ったのだ。
どこか人を寄せない猜疑心の強そうなこの男の、表側に現れる精一杯の自尊は、
たぶん汚れた根を持たないと。
恐らくはこれまで経験に恵まれなかったか怖じたか、つまり無知ゆえの、無垢ゆえの結果だろうと。
己の恥を知り得て泣ける奴の魂は、きっと清らかだと。
そう感じたから。

・・・・・。

初めてプレイした後、私は奴に、暫定ながら奴隷の位置を与えた。
何故”暫定”なのかと問われれば、それは単に勿体をつけただけ(笑。
まぁそんなカッコつけたせいで、後に思わぬ不幸を背負い込むのだけど。

もっとも、その時にはそんなこと想像もしてないので、本心では、
奴が自分の奴隷になったのは決定事項で、早々と仕込む展望を描いてたのね。
挙句、プレイ後に行った飲み屋で既に私は、すっかりその気で説教している。


「奴隷ってのは、”自分のものさし”を捨てることなのよ」
「キミは、”自分のものさし”がとても大事みたいだけど、大丈夫かしら?」
「大事なのはわかるけど、人とあっては、他人のものさしも尊重しなくちゃね。」
「てか、そうしたほうがキミが得なの。人と付き合う知恵みたいなもんかなぁ。」
「だから、奴隷やることで無理やりにでも、人のものさしに沿う訓練が出来ればいいね」


その時から二年あまり、私は何度もこの説教を繰り返してきた。
つまり、奴が躓き、私が指摘する事柄はいつも同じ、相変わらずなのだ。
もっとも、人がそう簡単に変わるはずもないのは知っている。
だから、人を変えたいなんて不遜な展望を抱いた時点で、その困難に甘んじる覚悟はある。
そして、飽きず同じことを言い続けている。

・・・・・。

春の乱に端を発したメールの対話も、結局この問題に行き着いた。
というか、やっぱり私のほうから、いつもの説教を始めたのだけど(笑)
先の記事であげた、奴の「高校生」発言を「甘い」と断じた後に続けて。メール文中より。


> 何度も繰り返してきましたが、意識的な訓練こそが必要だと思っています。(中略)
> 私がキミを訓練する目的は、キミの人間的な成長を願ってるわけじゃないのです。
> はっきり言って、まさに私のために益になるべく、キミを躾けているんですね。
> 勿論、目標の達成に付随して、キミが人としても成長した結果を見られれば何よりと思いますが。


読み返すと随分酷い言い分だが、そのぶん、奴には強いインパクトを与えたのだろう。
返信メールには、思いがけない心象が綴られていた。


> 再三にわたり「訓練」というお言葉を頂いておりましたが、
> 今初めて理解いたしました。遅きに失し、お詫びいたします。


これを読んで、またも私は唸ってしまったのである。
春の乱その後 #1
昨今の記事の流れから、一年も前の出来事を取り沙汰しているが、
一年経った今現在はどうなのよと省みれば、相変わらず同じ壁にぶち当たり、
同じ所で躓いて、同じ説教を垂れ続けている 2003・春。あぁ、溜息が出る。
けどまぁ、我が身を振り返るだに、
幾つになっても同じような失敗、同じような後悔を繰り返しているワケで。

その意味では、昨年春に奴が寄越した見解のほうが実情に則しているのだろう。
二年目を期して奴に示唆した記事を巡って齟齬が生じたのを指摘した折のことだ。
奴は、記事に込められた「もう新人扱いはしないよ」というメッセージを汲むことなく、
以下のように読み取ったという。春の乱の後日に交わしたメールから。


> もちろん変化や進歩はあろうかと思いますが、
> 今までの一年がまた続いていくものと考えていたのです。


これに対し、私はメールでも口頭でも「甘い」と切って捨てたのだが、
それから一年経過してみれば、当の本人こそが、未だ甘さを拭えないままだと思い知る。
日頃奴には、「掛け声ばっかで行動が伴わない」と叱咤することが多いが、
まさしくそれは、自身に向けて戒めるべき言葉なんだろうと反省している。

・・・・・。

さて、一年を機に変化した私の心境や対応について、
奴はこれを「中学生が高校に進学したのだ」と解釈したうえで、
「今後は高校生としての自覚に目覚め、その責務と本分を尽くす決意を固めました」
と結んだメールを寄越した。
この「高校生」という表現に、私は失笑してしまったが、
まぁ本人がそう思ったんだから仕方ないやとも思った。奴なりの感覚だろう。

しかし、意地悪な私は、ここにも奴の我の強さを見てしまう。
私が「新入社員」と喩えているのに、何故にわざわざ「高校生」と翻訳するかな(笑。
もっともこれには相応の前段があって、むしろ私のほうが、
二年目の展望を説明する際に「教科書が変わった」と表現してしまったからなんだけど。
それにしても、不惑に近い男が高校生とは笑わせる。

そこで、これも「甘いッ」と切り捨てたけど、まぁこれは私固有の感覚で、
奴が考えた筋道は間違ってないワケで。だから、我ながら言いがかりぽいナとは思う。
けど、関わった当初から、奴には”奴隷”という役目役割での訓練を期していることもあり、
「高校生」という表現を退けた。奴の我も抑えたかったし(笑。

・・・・・。

さてここで、私たちのメールも含めたやり取りを客観的に眺めれば、
たかだか性愛に基づく間柄なのにしゃらくさいことを…と滑稽に見えるかもしれない。
それが、たとえDS関係なんてママゴトじみた関係にしても。
恐らくは、埒内の方にすら首を捻られることだろう。

けれども、少なくとも私は、ドン・キホーテのように大真面目なのだ(!)
とすれば、対する奴はサンチョ・パンサか…と見なせば、その構図だけでなく、
性質までが似通っているなぁと、偶然だか必然だか、この符合に笑ってしまった。

ともかく、私たちはかくも奇天烈な道行を続けている。
いや、道連れにされてしまった奴には気の毒な話だけれど。
それでも、熱き理想を目指す旅は、執着するにあまりあるんだね。
閑話休題 〜母とのこと〜
これまでの記事の中で、
再々私は”母の支配下にあった”とか”母の奴隷だった”とか表現してますが、
さて、これが世間並みの母娘関係に照らして、字面ほど強烈なものであったかどうかは甚だ疑問です。
どんな親でも子を守り育てる上で、
支配的であったり、子を抑圧したりする一面があるものでしょうから。

そう承知しながらも、殊更に母のその一面に拘り、そう称したがるのは、
母から自立せんがための所謂「母殺し」的な意味合いが強いと思っています。
なので、この歳にもなって、話の成り行きとはいえ、これを持ち出すのは結構恥ずかしいものです。

もっとも、今現在の生活や心象において、母との関係が影響することは殆どありません。
恨みがましく思い出すこともありません(笑。

けれども、ことイリコと関わる上で、母と自分がどうだったかと回想することがよくあります。
主に自分の言動を振り返るためですが、
彼とのことをどこか母と私の関係性に重ねてるのでしょうね。
それとも、未だに私は、”母の奴隷だった”と思いたがってるのかしら(笑。



母とのことを思い出すのは、決まって、イリコに不服を覚える時です。
その時私は、まずは怒りや失望という感情を抱き、
次に、そう感じた事柄に苦言を呈したり、叱ったりする必要に迫られます。
その度に、怒りや失望を露わにした母や、
私自身が怒られたり、叱られたりした時の記憶が呼ばれるのです。
と同時に、子の私が覚えた恐怖や焦燥、無力感、絶望感、
それが嵩じて覚えた衝動などが思い出されます。

たぶん、事実と記憶には大きな偏りがあるとは思うのですが、思い出すそれは、
殆ど何も教えてくれず、訊いても「自分で考えなさい」と突き放されて、
けれど母の思い通りに出来なければ「何を見てたの?!」と呆れられ、役立たずと罵られ、
一旦母が怒り出したら最後、私の何から何まで否定されて、挙句育てた恩を返せと迫られる
・・・そんなイメージです。


こうして改めて文字にしてみると、
単に被害妄想に陥ってるだけじゃないの?と自分の記憶を疑うばかりですが、
そのイメージがあるのは確かなんですね。


対する私は、とにかく母の思い通りを目指して、怒られまいとするのですが、
所詮母の思い通りに出来るはずもなくて、怒られてばかりだったような記憶です。
怒られるのが怖くて、どうしたら母に満足してもらえるのか、役に立てるのか、
常に神経を使っていました。
今思うと、姑に仕える嫁のようでしたね(笑。

いぇ、未だにその片鱗はあって、
例えば実家に帰ると、夜中に母が咳をしただけで起きることが出来ますし、
咳が治まるまではお世話をしなきゃと待機モードに入って、寝られなかったりもします(笑。
勿論、今となっては流石に、そうしなかったからと言って母が怒るとも思わないのですが、
心底に怒られる恐怖があって、そうなってしまう感じです。
そんな折、我ながら「刷り込まれてるなぁ」とげんなりするばかりなんですけど。



と、だらだら恨みがましいことばかり書き連ねましたが、つまり、
当時の私の存在意義は、”母の役に立つこと”で、
最も怖れていたことは、”母の機嫌を損ねること”だったワケです。

この点で、イリコの存在意義と怖れに当時の自分が同調してしまい、
私が味わった辛さを、せめて彼には感じさせたくないと願っては、
当時の辛苦をもたらした母の言動を反芻し、自らを戒めているのですね。
コミュニケーション不全 #2
イリコが私の問いかけに答えて。


> 僕としての立場を与えて頂いた時、ご不興を頂くことは私にとっての恐怖となりました。
> それは論理や意識ではなく、感情から生じるものです。
> そこに常識や知性の介在する余地はなく、心の深奥から発したものに精神も体も縛られてしまいます。
> 小動物が人影を察知して逃げるように、その気配だけで思考が麻痺してしまいます。


この前後の文脈で奴は、
「相手の言を理解するよう努めることが人間関係の第一歩だと思う」と言及しつつ、
自身に起きる過剰反応について、
「通常の人間関係であれば、そのようなことはあり得ないこと」と分析している。
その上で、
「奴隷だからといってすぐに思考停止に陥っては、奴隷の責務が果たせないだろう」と結んでいた。

・・・・・。

これを読んで私が頭を抱えてしまったのは、
そこに錯誤があったからでも、失望したからでもない。
過剰反応について奴が自認する状態を聞けば、むしろ満足さえ覚える。
なぜなら、それは奴隷としては理想的な反応で、
意識のかなり深い部分から奴が私に隷属していることを知らしめたからだ。
この一年の成果を見た気がした。

だから、奴が過剰に反応したところで、そこに不服を覚える所以はないのだろう。
それに、感情レベルの反応に私の言動を吟味しろというのは、土台無理な要求だとも思う。
出来得ることは、私自身が奴の反応を見越して言動するだけで、
たとえ思いがけない反応を招いても、私の責として受け止め消化すればいいのだ。

しかし、実際問題として私は困難を覚えている。
奴にしても、自動的にそうなっては閉塞し、自らを処しかねている。
どうすればいいのか?
どうしようもないのだ、たぶん。
私たちはずっとそれぞれの困難を抱えていくのだろう。
僅かに希望があるとすれば、
年月を経て慣れることで、今程のしんどさを感じなくなること位だろうか。

・・・・・。

そんな風に無理やり納得しようとしていた矢先、
当時懇意にして頂いてた方に、この一連の事柄を半ば愚痴めいてお話する機会があった。
これに応えて、その方はご自身の事情を引きながら、奴の反応や心境に理解を寄せて下さった。
その上で、支配側が如何に対応しようと、被支配側の過剰反応は拭えないものではないかと仰る。

そこで、私はハッと気付いたのだ。
そう言えば、かつて母の支配下にあった私は、未だに母の言動に怯えるわと。
支配を逃れ、精神的に訣別し、自立したつもりになって既に何年も経つのに。
そして、私が母に覚える恐怖は、まさに奴が明かした私に対するそれと同じで。
更に私は、その恐怖から真に逃れられるのは、母が死んだ後だと諦めているのだ(!)

とすれば、私と奴の間に立ちはだかる壁は、自分が思うよりずっと高く厚く、
自身の都合で楽観したり合理化できるほど、甘いものではないのだろう。
互いに慣れればどうにかなるかしらなんて期待しても、
私は母に、これまでの年月をかけても慣れることなど出来なかったではないか。
思考が転がり始めて、また振り出しに戻ル。ドウスレバイイ?

・・・・・。

結局、今もどうすればいいかはわかってない。
わかっているのは、毎度同じ壁にぶち当たるということだけだ。
けどまぁ、壁なんてそんなもんだろうと諦めてもいる(笑。
コミュニケーション不全 #1
イリコは毎日メールを寄越す。
余程の事情がない限り必ずだ。これには本当に感心している。
ただ、実のところ私にはそう命じた記憶がない。いや、単に失念してるだけかもね。
まぁいずれにせよ、結果として今では私も当然の日課のように捉えてしまっている。
一日でも途絶えれば私は不審に思い、また不安にもなるだろう。

だから、奴がどんな心境にあっても、それだけは欠かさないのは有り難い。
特に関係がこじれている場合、むしろ、
私としてはだからこそ、一言でも、日課だから仕方なくでも連絡が来れば安息する。
けど、自らを省みるに、相手と気まずくなると挨拶するのさえしんどかったりするもので。
そう考えれば、奴は偉いなぁと思う。

・・・・・。

一方、私はあまり返信をしない。
別に勿体つけてるのでも、面倒だからでもなく、意識してそうしてきた。
もちろん必要最低限の返事はするし、一つ事を巡っての対話であればコメントも返す。
が、私たちの間柄にあっては、私が吐くカライ一言が奴の動揺を招く。
文字になれば尚のこと。それで不用意に返信するのを避けている。

とは言え、当たり前に気に掛かる事柄は出てくるので、それをどう伝えるかに私は腐心する。
で、私なりに考えて時機や手段を選んで伝えてきたのだが、それが適正だったかどうかは自信がない。
というか、これは今現在抱える懸案のひとつなんだけど。
ただ幾ら気を払っても、思いもよらないダメージを与えてしまうことがあるんだね。

先からの記事を書くために当時のメールを読み返してみると、
この手の成り行きで、私たちはこじれている。奴が乱心する一週前の出来事だ。
結果奴の気は低迷することになり、これが後に影響したのは確かだろう。
このやりとりで、私は奴との意思疎通の難しさを痛感したものだ。
そして今でも、その難しさを完全に消化できずにいる。

・・・・・。

起こった事実は、実に些細なことだ。
ある日のメールに奴の記憶違いを見て、それを指摘する短い返信をした。
指摘自体を奴が気に病まないように、ちゃんと(笑)マークを文末につけて(笑。
そして翌日の奴のレス。『そのような覚えもあります』
対し私は違和感を覚え、また短いレスを返した。『この感想は奇異な感じがする』

続けてその理由を数行書いたのだが、とにかくこの返信に、奴はショックを受けてしまった。
つまり、自分の発言が私の不興をかったと怯え、落ち込んだのだ。
そして、翌日の対面には酷い面持ちで現れた。
ただでさえ無口な奴が更に黙りこくって、陰鬱な気を漂わせる。
その様子に、私は溜息を吐くしかなかった。

私は正直困り果てた。
これしきのことでこうなってしまう事実に。

勿論、奴にとって私の言葉は、
自分が思う以上に怒っているように、或いは叱責のように受け止められると覚悟している。
ひいては、それが奴に落ち込みを招くだろうことも。
だから、相応に気を払ってるけれど、この調子だと私は何も言えなくなってしまうじゃない?

・・・・・。

後日のメールで、私はこの困惑を伝え、否定的な言葉でもある程度吟味できないかと問うた。
そして翌日、奴はおそらくは正直な回答を寄越した。
そのメールを前に、私は再び頭を抱えてしまった。
イリコと剃毛 #2
ちょび髭腋毛の一件から半年ほど経ったある日、私はあることに気付いた。
その時イリコは四つん這いで尻を高く掲げ、私は後方からそれを眺めていたのだが、
尻のあわいがやけに綺麗なのだ。金玉も尻穴の周りもつるつるに剃り上げられて、まさに私好み。
思わず「いいねぇ」と嬉しい声が出る。「やれば出来るじゃん?」

それに応えて奴は何か言おうとしたのだが、
尻穴を晒す羞恥に咽び、剥き出しになった皺をなぞられ、引き伸ばされるうちに、
そちらへの反応に忙しくなり、”やれば出来た”剃毛を誇る機会を失ってしまった。
尤も私としては、出来て当然の剃毛次第を聞かされても、殊更に感心もしなかったろうけど。

それでも奴としては、きちんと出来た自分を主張したかったらしく、後日のメール。


> 言いつかっておりましたので、この日は入念に剃毛を施してまいりました。
> 遅ればせになったことをお詫びいたします。
> 結果につきまして、お褒めいただき感謝しております。
> 鏡を下に置きまして、またぐような格好になりまして剃刀を使っております。
> 今度は、もう少し広範囲にきれいにしてまいります。


これを読んで、私はやっぱり”何をいまさら”と思ったのだけど、
その直後、とある記憶が呼ばれて、噴き出してしまった。

・・・・・。

実のところ、イリコはかなり毛深いほうで、
初めて奴の裸体を見たときに私は愕然としたものだ。
奴が並みの素材なら、即刻NGを出していただろう。
が、奴のその他の部分に並外れた魅力を見てしまえば、もぅそこには目を瞑るしかない。
というか、奴に惹かれる一心で、毛なんて剃ればいいんだし・・と合理化してみたのよね(笑

ただ奴の場合、”剃ればいいんだし”と軽くあしらえる程の毛並みではなかった。
首下までびっしりと胸毛が覆う。陰毛は言うに及ばず。
それを剃ってしまうのは、いくら私の希望とはいえ、奴には相当の抵抗を呼ぶはずだった。
しかし、天は私に味方した(笑。思いがけず、早々にこれを果たすことになる。
人生万事塞翁が馬。

てのも、奴が犯した例の理不尽な仕打ちを濯ぐ手段にしようと思ったから。
つまり、お仕置きとして剃毛を施そうと思い立ったのだ。頭を丸めるつもりで体毛を剃られよと(笑。
我ながら無茶な言い分だと思うけど、一方で一挙両得の思いつきにほくそえんだのも確かで。
あぁ、間違いなく私は地獄に落ちるわ。

・・・・・。

お仕置きの日。私は山ほどの剃刀を散らかして剃毛に勤しんだ。
奴ほど広範囲に多毛だと、本当に骨が折れる。途中でイヤになったくらいだ。
大体私は剃毛をしてやる自体、あまり好きではない。S側のかたの中には好む人もいるけどね。
それでも、お仕置きだから頑張った。
いや・・・快適な環境作りのために頑張った、と言うべきか(笑

その後日、奴に小さな鏡と際ぞり用の刃渡りの短い剃刀を与えた。
奴が、今日を限りに私の奴隷になると誓った日だ。首輪だのなんだの諸々のお道具とともに。
そして、今後私の前に出るときは、体毛の処理をしといてねと頼んだ。
こないだは私が剃ってやったけど、股間はこうして剃るのよと用具の使い方まで説明した。

・・・・・。

それが、「やれば出来るじゃん」を遡ること一年半前の記憶。
ナンダカナ・・・たかだか股の毛剃るのに随分かかったものだと呆れる。
まぁ教わったこと自体、奴は忘れてたんだろうけど。
いや、私でさえ忘れてたんだから、大きなことは言えないね(笑。

にしても、つくづく、何かが出来るようになるには暇が要ると改めて思い知った次第。
イリコと剃毛 #1
イリコが乱心した日のことを順を追って書き記すうちに、
あの日見た不思議な情景が思い出された。

それを見た途端、私は驚き呆れた。不機嫌にさえなった。
後日、それは愚痴のネタとなり、それを聞いて友人は「可愛い〜」と笑った。
その時は「可愛いくないッ」と反論したけれど、今は思い出すだに笑える。
可愛い気も、しなくはない(笑。

・・・・・。

それを見たのは、イベントに出向く前、これから装束を施そうという時だった。
私の前に膝立ちになった奴の体を点検する。
奴には胴の前面、陰部から上の剃毛を義務づけていた。これは今も続くお約束だ。
ただ最初のうちは、腋毛の処理だけは免除していた。
たぶん、仕事上人前で着替えることがあると聞いてたからだと思う。

ところが、奴の性感帯を拓くにつれ、この腋毛がどうにも邪魔になってきた。
というか、私が相手に求める理想のカラダは、頭髪以外完全無毛(笑。
毛があると痛いのよッ、べろが。荒れるのよッ、ほっぺが。
それ以前にあると萎えるのよッ、タチ魂がぁぁ。
てなワケで、その最中に殆どキレる感じで「剃って頂戴ッ」と命じてたのね。

で、その日。ちゃんと剃ってきたかなと腕を上げて腋を晒させた。
おずおずと無防備になる奴の腋の下、そこは私の理想に近く、つるつるになってるはずだった。
疑いなくそのつもりで見た。
見たところが、嗚呼っ・・・私は一瞬絶句して、次にむっとして言った。「ナニコレ?」
可笑しくも何ともなかった。寧ろ腹立たしかった。

・・・・・。

そこには、ひと束の腋毛がちょび髭のように残されていたのだ!(※参照)
他の部分は確かに剃刀をあてたのだろう。ぼつぼつとした剃り跡になっている。
「なんでここだけ残したの?」私は怒ったように訊いた。
その間抜けな光景に正直落胆していた。
奴の性格からすると、絶対ジョークなんかじゃない。本気で馬鹿じゃないかと思った。

「ここだけ、どうしても剃れなかったんです」
私の反応に怖じたのだろう、奴は消え入りそうな声で答える。
バカジャナイノ?ああたぶん、私はそう声に出しまで言ったはずだ。
「こんなの初めて見た」いやホント、そうだもの。
「腋毛処理する女って多いけど、そんなみっともない腋見たことある?」
私だって見たことないやぃ。溜息が出る。

その後は、例によって説教だ。
「どうしてもって、本当にどうしてもなの?やる気がなかったんじゃないの?
 自分で見てオカシイと思わなかったの?それで私がイイヨって言うと思ったの?
 キミはいつもそうだ。適当なところで諦めて。
 腋の窪みを剃るのはそりゃ難しいよ。私だってそう。誰だってそう。
 でも誰でもやってるッ」

・・・・・。

その日奴に施そうとしていた装束は、上半身をボンデージテープで巻くというもので。
首から巻き下ろしたテープを袈裟懸けにとって、片腕だけを手先まで巻いて、
もう片方の肩と腕は剥き出しにしようと考えていた。
つまり、片方だけにしても腋まるみえ。
「どうすんのよッ」となじりながら、結局そのままで巻いてしまった(笑。

そん時はすっかり不機嫌になってたので、思いつきもしなかったけど、
会場でそれをネタに笑いをとればヨカッタ。くそー。
だって、普通の体勢じゃ腋の下って見えないもんね。
しかも、脇の窪にちんまりおさまったちょび髭腋毛なんてさ。
今更ながらに悔やまれて、かつとっても口惜しいので記事にした次第。
悪しからず、ごめん。


※参照図↓

戦い済んで夜は更けて #3
この夜、思いがけず私の深層が開いてしまったのは、
やはりイリコのパニックに、少なからず影響を受けていたせいだろう。
幸い、出てきたものは「母との関係性」なんてありふれたもので、助かった。
確かに思わぬ気付きに驚きはしたけど、精神状態を揺るがす程の事柄じゃないし、
その程度の自己矛盾なら放っとける位、私もオバサンになった(笑。

それにしても、人の精神って脆いと改めて思う。
まるで柔らかな臓器のようだ。何らかの刺激を受ければ、必ず傷つく。
大抵は自然治癒するけど、魔法のようにいきなり回復はせず、生体らしく徐々に癒えていく。
その途中にある精神は自分で思うよりずっとデリケートで、
些細なことで揺れたり、不安を生んだりしてしまう。

そして幸か不幸か、精神のダメージは往々に知覚されない。
それで、思わぬ成り行きで自分の負の部分が露見したりするんだね。
この夜で言えば、奴のパニックに強い不安を覚え弱った精神が、
風呂場での思いもよらない発想や深層の自己矛盾に気付くという後遺症を招いたのかと思う。
改めて、精神の仕組みを実感してしまった。

・・・・・。

ところで、SMプレイをしてると、こうした精神の仕組みによく出会う。
単に肉体のみを責めていても、身体的なダメージは精神の疲労を招きがちだ。
弱った精神は傷つきやすい。
S側の何気ないひとことが、M側の精神を決壊させることもある。
つまりこの時、言葉は鞭よりもエゲツナイ凶器になり得るんだね。
時に、敢えてその凶器を振るう場合もあるけど、最大限の注意が必要だ。
精神を責めるのはおっかない。

まぁ、取り立てて精神を責めずとも、更にはさしてハードなプレイでなくとも、
M側の精神が弱ってるなぁと実感することは再々ある。
何というか、精神の砦が薄く低くなり、無防備になってる感じ。
最中はそれでいいけど、これがプレイを終えても余韻として残ることがあって、
帰途に事故を起しかけたなんて話は少なくない。

だから、行為の後はしばらく共にいて、ある程度精神を復調したほうがいい。
と私は思うのだけど、M魚によっては、早いとこ独りになって自分の世界に没入したがる奴もいて、
その気持ちもよくわかるので、煩いほどに気をつけろと言い含めて見送る(笑。

・・・・・。

夜が未明の刻に変わろうとする頃、ようやく床に就く。
問わず語りをしたことで程よく気も落ち着いて、眠ることが出来そうだ。
布団に入り、これもいつものことで奴に足を揉んでもらう。
そして、いつものようにそのまま寝付いてしまった。
ただ、奴としては仕事に勤しんでいてもなお、現実感が薄かったらしい。
本当にまいってたんだね。


> ゆっくりおみ足をマッサージさせていただきながら、
> 何かそのおみ足がとても遠いもののように感じておりました。
> まさに自分が今その手に取らせていただいているおみ足ですが、
> 伝わってくるものはとても遠く薄いものでした。


・・・・・。

遅くに休んだせいか、目覚めると随分日が高く、空の青さに胸がすくようだった。
夕べの疲れが残っているが、気分は悪くない。
私以上に疲労しているはずの奴はしかし、健気にいそいそと働く。

呼び寄せて跪かせ、その鼻先につま先をあてがうと、奴は縋るように唇を寄せる。
次第に、奴の気が再び戻ってくるのが感じられて、ほっとする。
そして、もう片方の足を足元に纏わる奴の後頭部に乗せ、奴の気を巡らせながら、
今日は景色のいい場所で風や日差しを受けながら、弁当でも喰おうと思った。
戦い済んで夜は更けて #2
風呂から上がったイリコに、いつも通りに首輪を掛ける。
これで、何もかもがいつも通りだ。幾分余韻が残るものの、ようやく息が整った感じ。
それは奴にしても同様、いや私以上に胸を撫で下ろした瞬間だったろう。
後から聞けば、「もし首輪を頂けなかったら…」という危惧を抱いていたようだ。
仕方のないことと思う。

しかし、怯えながらも奴はいつも通りに私に首輪を差し出して、
「お願いします」と請うた。それに私は応えた。
このやり取りは、奴と関係を結んで以降、一番優先される決め事だ。
埒外の方が見れば笑止な、まさにママゴトっぽいお約束かもしれない。
けれど、それは私たちにとって重要な意味を持つ、縋るべき儀式なんだね。

どれ程の不具合が生じようとも、
互いが互いを諦めない限り、この儀式は私たちを救ってくれるだろう。
殊に奴にとっては、首輪は生命線の象徴であり、明らかに奴の心象を司っているらしい。
後日の報告メールにはこの瞬間の心情が綴られていた。


> バラバラに壊れたものが、少しずつ寄り集まってくるのが感じられました。


首という命に直結する部位に輪っかをはめる意味を思う。

・・・・・。

それから小一時間、私はベッドに腰掛けて静かに話を紡いだ。
奴も静かに床に蹲ったままだった。

どういう風に話を進めたかは既に記憶にない。
恐らく、先刻起きた事の次第を解いてみせるとか、
一年を過ごして今どういう方針でいるかとか、そんな話をしたんだろう。
時々奴の反応を待ったが、そこまでは回復してないようだった。

そのせいだろうか、奴に語りかける一方で、自分自身と対話をした印象が強く残っている。
話の成り行きで、私が幼少の頃から母の支配下にあった話をした。
「私は母の奴隷だったのよ」とも言った。
もっとも、これは以前から時折話題してたことで、特に告白めいたものでもなく、
話題自体が印象を左右するほどのものでもない。

たぶん、私と奴の関係性の対象物として、母と私の関係を持ち出して。
私はかつて自分がそうされたようにはキミを扱いたくないと。
母のやり方は酷かったと。それで私はとても辛かったと。
けれど結果私のような奴隷が出来て、そりゃあ母が執着するのは無理ないねと。
だって、私のような奴隷は理想的だよ?と。
私だって、私みたいな奴隷がいれば欲しいわと。

・・・・・。

話がここまで転がった途端、私は驚き叫びだしそうになった。ナンテコトダ・・・!
嘔吐感を催すほどの衝撃を覚え、本当に口を手で覆ってしまう。
そして、その恐るべき矛盾が身の内に渦巻くのをイメージして、慄いてしまった。
せめて奴が傍にいることで、「吃驚したぁ」とどうにか声は出してみたけれど。

母のようにはなりたくない。のに。母が育てた私のような奴隷が欲しい。
明らかに矛盾した二つの希望。その馬鹿馬鹿しさに、タイプするだけで頭痛がする。
けれど、無意識ながら、両者が並び立っていたのは事実だ。
それぞれを別個に見れば、私は確かにそうしたいんだもの。
自分がわからなくなる。自問しても胸苦しいだけだ。

・・・・・。

いや、冷静に理詰めで考えれば、この矛盾を整合させる術はあるんだろう。
私が母に受けた辛いやり口を、今でもどこか恨みに思うことを、私はしなければいい。
それに、私のような奴隷が欲しいといったって、卑屈なとこまで同じでなくていい。
いや寧ろその卑屈は、母の私が忌避する部分が植えたものだし、これで理屈は合うはずだ。

けれども私は、心底に潜む、正確に言えば刷り込まれているであろう
母に育てられた記憶が、自身の言動に表出するのが本当に怖い。
いや既に、奴隷を持ちたがる嗜好において、それは顕在しているのかもしれない。
だからこの時、心から、子どもを持たなくてよかったと思った。
ここに、第三者的に見れば由々しき錯誤があるにしても。
戦い済んで夜は更けて #1
一息ついたのを見計らったかのように、友人からの電話が鳴る。
そこでようやく気づけば、既に午前三時。彼女とはイベント後に会う約束だった。
深夜に特有のハイテンションな声が届く。

「ごめんね。ちょっとワケアリで行けないや」
私も気張って明るく応答してみたが、
場の雰囲気におよそ不釣合いな自分の声に、却って滅入ってしまった。

ただ、これで膠着した気が一旦断たれて、思考が巡り始める。
約束のせいもあって、次に何をすべきか、それまで一向に思いつかなかったのだ。
とにかく風呂に入ろう。イリコに命じ、バスタブに湯を張らせる。
奴はいつも通りに湯の加減に目を配り、やがて「支度が出来ました」と言う。

・・・・・。

いくら奴隷だからって、あんな事があった直後にあれこれ命じるなんて。
普通の感覚で考えれば、私は随分と思いやりに欠ける「主」かもしれない(笑)
けれども、奴隷にとっては、いつも通りに用を言いつけられるほうが安心なのだ。
それに、拘泥した心身は、別の事柄に勤しむことで解放され、救われると考える。

だから、普段に小さな拘りが生じた場合、ときに私は用をさせない仕打ちに及ぶ。
それは、考えてそうしてる場合も、感情からそうしてる場合もあるのだけど。
例えば、湯上りの体を拭わせないとか、身支度を手伝わせないとか(笑)
あぁ他人様には馬鹿馬鹿しいやり取りだけど、奴には結構堪えるみたいなのね。

ただ、この時の奴のダメージは、そんな思惑や感情を挟む余地がなかった。
とにかく細心の注意を払って、いつも通りに振舞うのが最良の方策だと考えた。
流石に私も相応のダメージを負っていたので、そう努めるのはしんどかった。
が、私もまた、無理やりにでもいつも通りを演出することで、救われてたと思う。

・・・・・。

暖かい湯に浸かり、少しずつ緊張が解けた頃合に、ある考えが浮かんだ。
『私が風呂に入ってる間に、奴は帰ってしまうかもしれないなぁ・・・』
そう発想した途端、我ながら酷く驚いてしまった。そして、少し笑ってしまう。
この一年、奴とは様々な場面を共にしたが、そんなこと微塵も考えたことがなかったから。

驚きながらも私は、意外にも冷静にそう考えている自分に気づく。
勿論この考えが的中したら私は慌てるだろうし、落胆もするだろう、と続けて思う。
更には『それも仕方ないかなぁ』と、あたかも自分をなだめるような発想まで湧いて、
たかだか一年きしの付き合いとはいえ、勝手なもんだなと自分に呆れもした。

そして、心底人を信用するってのは難しいなぁと改めて思った。
それは奴が相手だからでも、私たちの間柄がママゴトじみたものだからでもなく、
もし、その難しさに原因があるとすれば、私の器量によるものなんだろうなと。
そう思えば、私なりの器量で信用を培う努力をするしかないのだなと。

もっとも、人を信用するなんてのは、自分だけで出来るもんじゃない。
自分が信用するに足る情報を、相手方に見、また頂いてこそ、信用は育つものだ。
だから、己の器量が小さいのなら、その分辛抱強く情報を集める必要があろうし、
そのために相手方にも辛抱を強いるなら、その分誠意を示す必要があるだろう。

・・・・・。

湯から上がったとき、私は一連の思考を終えて、落ち着いた心境にいた。
もちろん、奴が留まっているかどうかの危惧はあったけど、覚悟も固まっていた。
やっぱ、風呂に入るってのは、大した効果があるなぁと余計なことまで思う。
そして、先刻よりはずっと普通に、いつも通りに浴室を出ることが出来た。

果たして奴は、イベント用の装束もそのままに床に蹲っており、安堵する。
恐らく奴には、私が湯の中で発想したことなど、考えもつかなかったことだろう。
不安というのは、こうやって、大抵自らのうちだけに生じる魔物なんだよね。

「キミも入ってらっしゃい」
そう命じると、未だ緊張の面持ちを貼り付けたまま、奴は浴室に消えた。
湯を浴びながら、奴はいったい何を思ったろうか。
続・閑話休題 〜奴隷の心と体〜
つらつら書けば長々となり、挙句”閑話休題の続き”なんて冴えない次第ですが(笑



以前から、イリコに限らずM魚について話題する時に抱く危惧のようなものがあって、
てのも、私の記事から想像されるM魚像ってのは、実に不甲斐ない男なんだろうなと。
更に言えば、ダメ人間のように思われるんだろうなと、
心配になるというか、当のM魚たちに申し訳ないような気分になることがあります。
ホントごめんなさい。

特に私が奴隷と呼ぶ者に関しては、凡そ彼らの負の部分しかネタにしてないような。
大体、男が奴隷になりたがる自体、世間並みの評価としては低いでしょうに。
それを、彼らと結託する私までが更に貶めるような発言をするのはいかがなものか。
過ぎた身びいき同様、身内にカラすぎるのもねぇ・・・と反省しています。

ただまぁ、今更の言い訳ですが、彼らには長所も沢山あります。
少なくとも、私にとって得るところがあるから、縁を結んでいるワケですね。
それに、私からは見えづらい、つまり奴隷の立場から離れたときの彼らは、
私が想像する以上に立派な人間かもしれません。
もっとも、そうであっても、私には与かれないのが残念ですが(笑。



と前置きした上で、私と対峙したときの彼らについて。
ママゴトじみた関係であっても、私は彼らの目上にあたるので、相応の緊張を強いられます。
これは、時や場を限定してDSの間柄になる、所謂ロールプレイ的なDS関係でも生じるもので、
むしろ場面を限ることで、従側は、より強い緊張を余儀なくされるようです。

そして、この緊張の中で彼らは、普段通りの能力が発揮できなくなることが多いです。
まぁ誰しも、もちろん私だって、緊張のせいで本来の力が殺がれることはありますもの。
ただこれに加えて、「奴隷であること」自体の特殊なストレスがあるために、
まさに非日常的な緊張に支配され、益々その能力を奪われてしまう結果を見ます。

実際、本人ですら信じ難いような能力低下が起こります。
うまく喋れない、考えられない、判断力が鈍くなる、機敏に動けなくなる等々。
更にこれは心理的な部分にも及び、感情が不安定になり、自己抑制が出来づらくなるようです。
すなわち、些細なことで落ち込むとか泣くとか、混乱するとか。
つまりは、弱くて情けない男に成り果てます。



もちろん、奴隷の位置にある男の全てが、主の前で無能で情けない男になるとも思いません。
それこそ、主の支えとなるべく、有能にして頼りがいのある態度で仕える奴隷もいるはずです。
恐らく私の奴隷たちも、及ばずともそうありたいと憧れることでしょう。
それで一層、自身の不甲斐なさに凹むのだと推察します。

しかし、こと主側から見たときに、奴隷の不甲斐なさってのは端から折込済みなのです。
先に”奴隷であることの特殊なストレス”と述べましたが、
まさにこれを期して、男を奴隷の位置に置いているのですから(笑。
いぇ主側だけでなく、従にあっても、DSの関係を結ぶにおいては、これを期待するものです。
その功罪はともかくとして。

例えば、”絶対服従せねば”というストレスは、隷属する悦びにも繋がりますが、
一方、それが出来なかったらどうしようという大きな不安も生みます。
主に服したいという希望の裏に、こうした不安が具体的にいくつも生じることでしょう。

時に奴隷が、自分でも処し難い不安感を訴えることがありますけど、
もうそれは奴隷である以上避けようのないことで、
彼は彼なりにそれとつきあい、私はそれを前提に接していくしかありません。



どなたにあっても、何らかのストレスや不安を抱えると心身が不調になるように、
奴隷の心身が常態以上に脆弱なのは、絶えず奴隷たるそれらを抱いているため
と私は考えています。
なので、奴隷が弱く情けない状態になるのはやむなしと承知しているのです。

・・・というか。
脆弱な男が好みの私としては、むしろ願ったり叶ったりってことにもなりますね(笑。
閑話休題 〜心と体〜
先の記事から派生して、以下つらつらと。



心理的な負荷が急激に、また劇的に身体症状に表れるパニックとかヒステリーと呼ばれる状態。
医学的に厳密な定義はともかく、私はいずれの経験もあると思ってます。
思うってのも曖昧な言い草ですけど、
幸いにも医師の診断を要する程に、深刻な状況でも反復性もなかったいうことですね。
とはいえ、これは非常に辛いものです。

なので、先に記事したイリコが陥った状態は、
客観的に見るにおいても、また本人の申告を聞いても、自分の経験に照らして理解できます。
動悸やふるえ、呼吸困難、冷感などが同時に発作し、本当に自分が壊れていくような恐怖に襲われます。
骨が軋むような痛覚が生じたり、立っていられなかったり。
ホントかなりキツイです。

しかし、パニックが起きる時は、
一旦その途についてしまうと、なかなか理性的には回避できません。
ある程度パニック慣れ(笑)すると、ヤバイと予見できる時もあるのですが、
どうにもならず手をこまぬくしかない感じ。
心理的なダメージが先立つ現象ながら、
一方で体の変調を危ぶむ感覚もあるってのは、実に面白いですね。



そう言えば、先日イリコに説教中、奴が奇妙な動きをしました。
それまで微動だにせず正座していたのが、
前触れもなく突如のけぞって、痙攣したようにカクカクと動いたのです。
正対していた私は、一瞬またパニックか?と驚き、「どうしたの?」と声をかけると、
「失礼しました」と常態に戻ったので、ひとまず安心したのですが。

とはいえ、その一連の動作の不可解さに説明を求めたところ、
「心が警報を発したので、深呼吸をした」と言うのです。
まぁ、尋常でない深呼吸(笑)ではありましたが、
心理的に正常を保つために、体からアプローチするのは有効な方法だと思います。
ここに至り、さすがに奴も慣れてきたってことかしら(笑。大したもんです。



さて、冒頭でパニックに並べてヒステリーを挙げましたが、これまた両者の定義的な違いはわかりません。
わからないけれども、我が身の実感として、両者は関連するけれども別物じゃないかなと思っています。
あるいは、自律神経失調症の範疇なのかな。
パニックは一時的なものですが、こちらは長引くのでなかなか難儀です。

そして恐らく、パニック状態が誰にも起こり得るのに対し、
この状態は誰もが経験するワケじゃないと思います。てか、かなり病気ぽいですもん(笑)
私が過去に経験したのは、
腸が動かなくなったのと始終涙が止まらなくなったのと、特定の人と話そうとすると声が出なくなったのと。
や、自ら列挙しつつ呆れるばかりですが、本当の話です。

あ。流石にこの時は医者に行きました。生活に支障をきたす状態でしたから。
ただまぁ、薬を頂いても対症療法でしかなく、心理的な回復とともに体も復調した次第です。



もっとも、幸いなことにイリコに関しては、この手の状態の報告を受けてません。
が、奴にもひょっとしたら因子があるやもと危ぶんで、気に掛けてはいます。
ことに、奴隷という立場では、心理的に脆弱になるのは免れませんから。
それは、奴が本質的にタフであってもです。
・・・てか、根がタフでないと奴隷になんか出来ませんが(笑)
イリコ、2002春の乱 #3
私が投げた「キミを信用してないわよッ」という暴言は、あっけなく奴を壊した。
石になる前兆をきたしていた奴には、壊滅的な衝撃だったらしい。
いや、たとえ落ち着いた状況であっても、
そう言われたら相応のダメージを受けるのは必至だ。
その相手に信用して欲しいと、或いは信用されてると思ってれば、奴に限らず誰だって。

奴にあっては、主たる私にそう言い下されるのは、
自身の存在そのものを否定されるに等しく、そのショックは想像にあまりある。
もっとも私は、この発言の前に「キミが勝手を出来る程」とエクスキューズしているので、
文脈としては、奴への信用を全否定してはない。
けれど、あの状況では、そうとられても仕方ないことと思う。

結果、奴の心身はパニックに陥った。
その様子は、まさに”壊れる”感じ。それもスローモーションで崩れていくように見えた。
そのせいか、酷く長い時間そうなっていたように思えたけれど、
実際は僅かの間のことだったんだろう。
これは、例えば転んだ時に地面がゆっくりと迫ってくる様に似ている。
人の感覚って本当に不思議だ。

恐らくこの感覚は、危機的状況を察知したときに働く特別なものと思う。
つまり私は、奴の変調に接して、身の危険を感じてしまったらしいのだ。
実際、ふたりの間を隔てるテーブルがひっくり返されるイメージが脳裏をよぎった。
それ程に、壊れてしまった奴が発する気は尋常でなく、
普段の奴のそれとの落差が、私を不安にさせた。

・・・・・。

さて、対する奴は、この時の自身の変化をどう感じていたのか。
以下、事後に届いたメールから抜粋。


> 私が落ち込んだことは、今までにも例のあったことです。
> まるで何かに殴られたかのような、物理的な衝撃を感じたこともあります。
> しかしこの時は、それに加え、目の前が真っ暗になりました。
> 更に心理的のみならず、肉体的にも変調に襲われました。
> 内臓がきりきりと締め上げられ、嘔吐感がしてまいります。
> 更に、呼吸ができません。
> 私が深呼吸をしていたのは、そのような事情によるものでした。


実は、パニックから脱した直後、奴は自身に起こったこと自体に気づいてなかった。
上記の記憶が事後に反芻して蘇ったものなのか、或いは、
知覚しつつも、私が慄くほどの変調をきたしたと認識してなかったのか、
改めて訊いてないのでわからない。
けれども、復調した頃合に私が受けた印象を伝えると、酷く驚いたようだった。

推測に過ぎないが、ここまでのパニックに陥るのは、奴には初めてだったのかもしれない。
小さなパニックなら、私と出会って以降も何度か起しているのだが、
それらについては、奴は大体認識していたと思う。
しかし、格段に大きいパニックに見舞われたことで、高いレベルの自己防衛が働き、
認識そのものを阻んだのかと想像する。

・・・・・。

奴の息が整うのを待って、今一度フロントへ電話をさせ、やがて湯が届く。
先刻奴が下げていたコンビニ袋の中身は、煎茶のティーバッグだった。
まだ完全に表情が戻らないままに、奴は粛々と支度する。
訊けば、暖かい缶入り飲料を見つけられず、ほうぼう探し回ったとか。
そして考えあぐねた末、こうすることにしたのだと言う。

「それをすぐに言えばヨカッタのよ」
差し出された茶を啜りながら、言葉をかける。
せめて微笑んでみせたつもりだが、出来たかどうか自信がない。
そのとき、私はまだ緊張の中にいた。
イリコ、2002春の乱 #2
その日、私たちはとあるクラブイベントに出向き、夜半に投宿先のホテルに戻った。
と、暖かい飲み物が欲しくなり、奴にお使いを頼む。
フロントに言って湯を運んでもらうよりも、
階下のコンビニで調達するのが手っ取り早いと思ったからだ。
何度も使っている宿なので、奴もそれを心得ており、すぐにでも取って返すはずだった。

ところが、奴はなかなか戻ってこない。
最初は遅いなぁと苛々もしたが、そのうち今度は心配になってくる。
何かあったのか?と思い始めた頃合に、ようやくコンビニ袋を下げて戻ってきた。
そして、特に何があったとも言わず、やおらフロントに電話し始める。
「何してるのッ」奴の不可解な行動に驚いた私は、慌ててそれを制した。

その時点で、既にフロントが応答していたのだろう。
どうにか非礼を詫びては電話を置き、奴はその定位置である床にのろのろと正座した。
が、その顔に、もはや表情はなく、奴の混乱が覗える。
けど、混乱してるのはこっちの方だとばかりに、私は追い討ちをかけたのだ。
「キミが勝手を出来る程、私はキミを信用してないわよッ」

・・・・・。

一年余って付き合っておいて、「信用してない」なんて酷い言い草だと思うけど、
じゃあ全面的に信用してるかと問われれば、二年経った今でも答えに窮してしまう。
いや、当時も今も、基本的には信用してるのよ。
実際この二年、奴は本当によく仕えてくれたし、特別に裏切られたこともないし、
その忠誠は疑うべくもない。

けれども、奴の大きな欠点のひとつである”独り善がりな言動”が改まらない限り、
私が奴を信用しきるのは無理だ。少なくとも、奴を「従」とみなすにおいて。
たとえ、その傾向が奴の気質に根ざすもので、所詮改まりようのないものだとしても、
せめて私といる時は無理やりにでも抑えて欲しいと願う。だから躾ているんだね。

もっとも、いくら厳しく躾たからといって、
相手は既にオトナだもの、完全に矯正できるなんて思っちゃない。
今でもそうだが、奴の勝手が出る度に仕方ないなぁという気にはなる。
とはいえ、見過ごしにする程、私は寛容ではない。現実、困ることも往々だし。
だから、飽きず物を言う。本音を言えば、それはしんどい作業だ。

・・・・・。

さて、冒頭の成り行きについて。
我が身の事実ながら、第三者的に見ればナンデソウナルノ?と首を捻るしかない。
こんな些細なことで混乱する私たちは、やはりイビツだ。
しかし、どれ程些細なことでも、それが私たちのルールに反すれば、私は驚き失望する。
DSというままごとに興じる私たちにとって、ゴザの上のルールは絶対だ。

では、この時、奴はどんなルール違反を犯したのか?
端的に言えば、報告の義務を怠ったのだ。

奴としては、
私に暖かい茶を用意する自体に重きをおいて、そうすべく全力を尽くしていたのだろう。
それを途中で、しかも否定的なニュアンスで挫かれて、訳もわからず混乱したと。
奴の立場にたてば、当然の結果と思う。

しかし私にしてみれば、
奴が何の断りもなく、指示した以外の行動をとったことに驚いたのだ。
正直に告白すれば、モノが勝手に動いた(!)くらいに動揺したし、恐怖さえ覚えた。
いや、裏を返せば、それ程まで「従」たる奴を信用していたとも言えるね(笑。
それもあって、あんな乱暴な言葉を投げてしまったのかもしれない。

・・・・・。

かくして、奴は壊れてしまい、私は更なる驚きと動揺と恐怖を味わうこととなる。
イリコ、2002春の乱 #1
一周年のエールを送ってから一月余り、私たちの間には思わしくない気が満ちた。
主に奴のほうの気が低迷しており、一緒にいると私まで滅入る程で、正直困った。
後に判ることだが、結局奴は、エールで示唆した内容を把握してなかったらしい。
方やその示唆を前提に接する私に、奴は戸惑い、不安を覚え、落込んでしまった。

省みれば、私が急ぎ過ぎ、期待しすぎたんだと思う。奴の理解を確認しなかった。
私としては、もう二年目なんだから、これまでとは違ってくるよと伝えたつもり、
奴が読み取ったのは、一年目よりも更に前進して下さいといった型通りのエール。
ここに齟齬が生じては、指示を出す側受ける側の連携がうまくいこうはずがない。

が、不幸なことにすっかりその気になっていた私は、以前より厳しく躾にあたり、
以前通りにやってるのに、何故かダメを出される奴は混乱の果て、石になった(笑
奴が石になるのは、何もその時が初めてでなく、以前からあったことなんだけど、
二年目の期待に逸る私は対応も一新せんと、即ち、おもねらないことにしたのね。

・・・・・。

実のところ、奴と共にあって一番しんどい思いをするのは、奴が「石になる」時だ。
この時奴は押し黙るのが常だが、怒ってそうしてるのでも、拗ねてるのでもない。
恐らく、怒るとか拗ねるとか私に感情を向ける以前にそうなってしまうのだろう。
これを奴は「情動が冷える」と表現するが、まさしくフリーズした状態になるのだ。

こうなると、奴は視線さえも虚ろになり、何か話し掛けても返事すらしなくなる。
二人きりでいる片方がこの状態の時、もう片方は当然に困る。さて、どうするか。
過日記事した友人のように、徹底した”北風政策”(笑)を採るのも一案だろう。
が、ヘタレな私が採ったのは、専ら”太陽政策”寄りで、奴を甘やかしてしまった。

宥めたりすかしたり、笑わそうとしたり、半端に許して局面を変えようとしたり。
勿論、本心から甘やかしたかったワケじゃないけど、結果的に奴におもねったと。
まぁ慣れないうちは仕方ないと自分に言い聞かせては、そう対応してたのだけど、
その度にしんどいナと思ったし、何だかやりきれないような気持ちにもなったよ。

つまり、何故女王様が奴隷にへつらわねばならんのってなベタな感情でもって(笑
いや、普段はこんな馬鹿げたこと思わないんだけど、しんどさについ愚痴めいて。
そういえば、先の”北風政策”の友人にしても、時にそんな愚痴を垂れてたなぁ(笑
とすれば、いずこも同じってことだけど、少しでもどうにかしたいと思ったワケ。

・・・・・。

で、結局のところ、奴は物の見事に壊れてしまった。私の想像を上回る速さで(笑
いや、正確に言えば、奴が石の砦を築くより早く、私が追い込んでしまったのだ。
てのも、それまでは、奴が対応する時間を見計らいつつ、私は物を言うのが常で、
そのせいで、奴には「石になる」猶予を得ていたのだが、この隙を与えなかった。

なぜそうなったか・・・これも笑っちゃう程、瑣末なやりとりの末に起きたことで。
その日、奴が特別な失敗をしたワケでも、私が特別に不機嫌だったワケでもない。
私はお茶が飲みたくて、奴はその支度に手間取って。ただそれだけが事の発端(笑
が、諸々のタイミングや両者の思惑がすれ違う不幸の末に、奴は乱心してしまった。

お陰で、私は後の予定もキャンセルして、奴の手当てをする破目になったのだが、
この時もやっぱり、大きな気づきを得たものだ。そして、やっぱり愕然とした(笑
・・・思えば、昨年暮れの事件にしても、この手の不測の事態が勃発するごとに、
私は、いや奴もまた、思考を迫られる。とすれば、奴の乱心は尊ぶべきなのか?(笑
一年前のだだ漏れ次第
恥ずかしながら私には、平常心を保てなくなる程に苦手な用件ってのがある(笑。
実は今現在もその用件を近日に控えて、何となく落ち着かない、嫌な気分でいる。
一年前の今頃も、やはり同じ用件を目前にして、体調までも落ち込み加減だった。
そういう時はなるべく人と関わらず、粛々といるのが、精神衛生上ベストなのだ。

・・・・・。

ところが昨年の今頃、どうしても外せない用件があり、イリコと会ってしまった。
そう、会ってしまった、のだ。いや、大した用じゃない。単なる物の受け渡しだ。
だから、用が済めばさっさと帰ればよかったのだが、せめて食事でもと欲かいて。
結果、私は大変に疲れることになってしまった。自分の軽はずみのせいとはいえ。

その時、何が起こったのかといえば、これまた情けない程大したことじゃなくて。
つまりは食事中、いつも通りに私ばかりが話題する羽目になったと。それだけ(笑
いや、それだけなんだけど、そんな精神状態なもので、滅法堪えてしまったのだ。
事前に状態の悪さを説明し、気を払えないと告げたのにと、腹立たしさも覚えた。

当たり前の話だが、いくら親しくても慣れてても、気を払わない関係なんてない。
これに反論する向きもあろうが、少なくとも私はそう思ってるし、そうしている。
奴にあっては、立場から率先して話題も出来まいと、私から話を振ることが多い。
だから、それが出来ないことで奴に徒に不安を抱かせてもと、予め断ったワケだ。

・・・・・。

理屈で考えれば、了解を得たなら、私も無理せずにいれば済む話だったのだろう。
私が寡黙にいても、それが自分のせいでないなら、奴もいつも通りでいいはずで。
が、その時のだらしない私の精神は、対面して黙々と飯を喰うのに耐えられずに、
無理して話し、無理して笑うなんてことをして、結果的に更に悪い状態に陥った。

「偶にはキミも喋ったらどうなの?」と無茶を言いたい気持ちを抑え、帰路につく。
帰宅して漸く息をつくも、やり場のない怒りが湧いてきて、どうも落ち着かない。
結局よせばいいのに、奴から定時のメールが届くやいなや、メッセで呼びかけた。
そう、よせばヨカッタ。この対話で、怒りは更に募り、失望すら抱いたのだから。

時まさに、前年奴に首輪を初めてかけた日で、それもあって負の感情が増していく。
そして殆ど感情が噴き出す感じで、ここに、奴には厳しい記事を掲げてしまった。
とは言え、衝動だけでそうしたのではない。特別な日だからと、自分を許してた。
もっとも、通常の記事の如く言葉を連ねるのは憚られて、誤魔化してみたけど(笑

・・・・・。

そうしたことで、確かに私的には随分と気が晴れたのだが、一方で後悔が始まる。
ひとつは、それまでの方針を自ら放棄して、感情を漏らしただらしなさについて。
ひとつは、やはり公開の場で、身の内の揺らぎを吐露した自らのみっともなさに。
あぁ今思えば、この意識こそ恥ずべきなのだが、当時は真剣に挽回しようとした。

そこで翌日には、慌てて”行儀の良い”(笑)私に戻り、この不始末を釈明にかかり、
相変わらずのカッコツケた言葉を並べ、自尊を保つべく、姑息な記事を掲示した。
更にはこの機に乗じ、一周年に期する奴へのエール(笑)まで掲げてみたりした。
この時点で私は、自身の不始末を濯いだばかりか、上手く道筋をつけた気でいた。

方や奴は、この流れをどう感じていたのか。改めて訊いてないので、わからない。
それでも、あれから一年、奴は自発的に話題を供するようになった。ありがたい。
奴の優れた隷性とは、具体的な「点」の指示については遵守するという従順さだ。
が、先のエールで示した「面」の指示は理解しきれずに、これが後の大失態を呼ぶ。
公開オナニー宣言、あるいは私信
前回、奴隷の躾を、己が知りもしない子育てになぞらえるという暴挙に及んだが、
ご覧頂いた方には不快なお心持ちを招いたやもしれず、改めて深くお詫びしたい。
ただこれは、弱音を吐くに惑って、せめて自分の慰めに天を仰いだようなもんで、
んもぅ根本的に違う次元の話だと充分にわかってはいる。ホント、ごめんなさい。

確かにDSの関係や両者間の愛情や感情は、親子間のそれと似ている部分はあるが、
明白に違うのは、その絆の絶対性だ。故に、両者の結びつきは比べるべくもない。
いつだって解消できる関係性に、どれ程の覚悟が期待されようか。答えは自明だ。
が、だからこそ諦めず絶えず努力を迫られることに、せめて意味を見たいと思う。

・・・・・。

とは言いつつ、折々の難儀に足掻く中で、私はあらゆる経験則を援用する他なく、
奴との仕儀を、親子関係だの仕事の上下関係だのにあてはめては、消化している。
いや、経験もせず、見聞きしたことから想像する勝手な解に縋ることも結構ある。
まぁ自身の未熟と、誰彼を仰ぐツテもないのとで、チカラワザをカマしてる次第。

もっとも、この身の内でどう足掻こうと、最終的に自身の気が済めばいいワケで、
勝手だろうが思い込みだろうが、誰はばかりなく思考をこねくり回せるとも言える。
が、それをこうして人目に晒すとなれば、如何なものかと流石に躊躇してしまう。
というか、非常に恥ずかしいことなんだね。殊に見栄張りなワタクシとしては(笑

でもま、露出なんてのは、恥ずかしいことだから敢えてヤるってのがキモだから、
ここはひとつ恰好つけず、こんなワタシを見て下さいッと羞恥にむせぼうと思う。
それに一連の思考を晒すうち、論旨は乱れる、矛盾は生じるで、既に恥ずかしい。
という訳で、これを公開オナニーと位置付けて、ひとまず誤魔化すことにする(笑

・・・・・。

さて、だってオナニーだもんと開き直り、かつ言い訳を拵えたので、以下清々と。
当人はきっと意識してるはずだが、本日はイリコに正式の首輪を与えた記念日だ。
そういうのに無頓着な私だってそれ位は憶えてて、だから昨今の記事があるワケ。
奴にはカライ事柄を書き連ねながらも、この一年を感謝し、労いたいと思ってる。

しかしだ。また新しい一年が始まって、それがこの一年の繰り返しでは困るのだ。
多少の進歩を認めながらも、ここまで述べた通り、私は今の状態に満足してない。
ということは当然奴だって、認めたくなくても、己の未熟を認めなくてはならず、
努力してたつもりなら、これを疑い、そうでないなら、改めて努力を求められる。

と同時に私側も、奴が充分に自省し無駄な努力に及ばぬよう、努めねばなるまい。
つまり、一年を経ても大した結果を得られてないのは、結局お互いの甘さに拠る。
伝えたつもり、解ったつもりの集積が、得られるつもりの結果を生むはずがない。
先の事件でこの点にも気づいたので、遅ればせながら今、軌道修正を図っている。

・・・・・。

事件後に奴に宛てたメールで、「当面、試行錯誤が続くけど堪えて頂戴」と告げた。
奴からは昨夜「メールでは、私が衝撃を受けるがためのご沙汰かと」と言ってきた。
あぁ惜しいな、微妙に違う(笑。これまで晒したことは、奴には既知のはずなのだ。
だから、同メルで図らずも「認めたくなかった事実」と表してるのが、正解に近い。

奴の予測通りこの公開オナニーは試行錯誤の一環だ。が、奴の認識はやはり甘い。
はっきり言って、私は奴に衝撃を受けて欲しいのだ。今までと違う様相の衝撃を。
奴は認めたがらないが、この手の厳しい話題はメルや口頭で折々伝えたつもりだ。
しかし、直に伝えられた衝撃だけが奴を支配し、理解を阻んだのではなかろうか。

それに、一対一の話では厳しいことも言うが、その一方でフォローもしてしまう。
加えて、どうしても説教じみてしまって、私側の感情や温度を伝える余地がない。
結果、奴は「怒りを頂いた」で目一杯となり、真剣に理解や努力をするに至らない。
そこで苦肉の策として、人目にはご迷惑な公開オナニーという手段に及んでいる。

・・・・・。

もっともこの試行錯誤で、私の未知なる露出癖が覚醒するとすればご愛嬌だワ(笑
ヒトか奴隷か
前回記事。改めて読み返せば、随分と極論に走ってるけど、今少し続けてみたい。
今回得た気づきに関しては、感情もあいまって、とにかく思考が錯綜してしまう。
嗚呼、私達の関係が金や力に負う必然の主従なら、こんな悩みはしないだろうし、
DSの関係でなく恋愛ならば、悩みはしても、解や方針を探るべくはなかろうに。

もちろん、どれ程悩み思考したところで、最適な解や方針が得られる保証はない。
あるいは、たかがDSなんてママゴトじみたことに、方針なんて笑止かもしれない。
それに人の間柄なんて考えても仕方なくて、流れの中で見えてくるものとも思う。
けれど、私は今考えたいから考える。てか、殆どオナニーだなと自分に呆れる(笑

・・・・・。

先頃やっぱりS女の友人と喋ってて、過日記事した”咥え煙草の男”に話が及んだ。
当時の落胆を思い出し、一頻り「ヒトとしてどうよ?」とブッたところで彼女が言う。
「けど、そういうヒトとしてどうよ?な男が奴隷やってるってのありがちだよね?」
あーそうだね。件の男も昔、5年も専属奴隷を務めたらしい。多分本当だと思う。

「余程奴隷として魅力があるのかしらね?人柄をさておいても欲しい、みたいな」
彼女はそう言葉を継ぐと、彼女の知る”ヒトとしてどうよ?”な奴隷の例を挙げる。
「まぁ人の好みや相性って、他人には計り知れないけどねぇ。でも、私はヤだな」
と相槌を打ちざま、ハッとする。人の事言えないや。意を得たように彼女が笑う。

「だいぶマシになったじゃん?こないだ会ってビックリしたよ。ご苦労さまー」
私とイリコの経緯を知る彼女は、そんな慰めの言葉をくれて、少し報われる気分。
ホントおこがましい話だけど、実は奴と関係して以来、そう願ってたものだから。
つまり、他者に隷属することで、他者に想像を致すことが出来るようになればと。

でもま、それは追々身につけばいい副次的な事で、まずは奴を奴隷たらんとした。
というか、ヒトとしてはどうあれ、奴の正に奴隷たる資質に私は惚れ込んだのだ。
「でも、普段使いする奴隷だったら、やっぱ最終的には人間性を見ちゃうよね?」
彼女の言を待つまでもなく、あぁもうその通り。身に染みた。だから悩んでる(笑

・・・・・。

さて、先から「奴隷扱い」と表してるが、これは字面ほどハードなものじゃない(笑。
まぁ、主側にある各人において「奴隷扱い」の様相は違うと思うけれど、私の場合。
調教ならともかく躾の場面では、無茶を言うことはないし、奴隷の言い分も聞く。
この躾は「自身の判断や思惑をいれず、言われた通りにする」を期して行うものだ。

言葉にすれば、馬鹿々しい程簡単そうで笑っちゃう位だが、これが意外と難しい。
特にイリコのようにプライド高く、自信に満ちた、根が勝手な人間にはキツイ(笑
いや、我が身を振り返っても過去の折々、自我を抑える訓練ってのは厳しかった。
しかし、これを会得してもらわないことには、奴を信用なんて出来るはずがない。

で、奴を奴隷にして以来、この躾を始めたものの、想像以上に難航してしまった。
なんでこんな簡単な事が出来ないのかと再々頭を抱え、徒労感に苛まれたものだ。
実は二年経った未だ、この躾が行き届いたとは言い難く、道程はまだ続くらしい。
この結果に自身の力不足を認めつつ、だからこそ、今の難関を甘受している次第。

・・・・・。

奴を躾る中で再々に、まったく不謹慎ながら、子育てってこんなかなぁと思った。
私は子を育てたことがないから、ホントに不埒で失敬な想像だと承知してはいる。
でも、思い通りにならずに挫けても、その存在は希望そのもので、また奮起して。
たまに成長ぶりが覗えて喜んだりね・・・専ら自分の慰めとして何度も思ったよ(笑

お陰で二年もの間、私たちは同じことを繰り返し繰り返しやってきたのだけれど、
あの時、ここにも過ちが見えたのだ。「奴隷扱い」は即ち人間性を殺ぎかねないと。
つまり、お仕着せの指示に従う中では、人らしい気を払う必要がなくなるんだね。
過保護な親が子をダメにするように、私こそが奴をダメにしているのだろうか?
ワタクシはヒトである #2
M専小説とか、殆ど妄想と思しき(笑)M魚の手記とかに登場する女王様は偉大だ。
あたかも歴史に名だたる女帝がごとく、恣意的に奴隷を扱い、また高慢に振舞う。
たとえ理不尽な怒りであっても奴隷にぶつけ、奴隷もまた自動的に謝るしかない。
どれ程の不条理も、女王様の名のもとに許されて、だからこそ奴隷は服するのだ。

この関係にあれば、互いの人間性を斟酌したり、「人として」気を払う必要はない。
女王様は女王様という生き物で、奴隷は奴隷という生き物なのだ。ヒトではなく。
だから奴隷が、その女王様に崇めるに足る魅力を見れば、それで関係は成立する。
そして往々に、その魅力とはまさに恣意的で高慢に振舞う態度だったりする(笑。

・・・・・。

女王様の象徴としてフィクションのそれを引いたが、現実にも存在するのは確かだ。
SMクラブの女王様は、その人とナリがどうあれ、いかにもな振る舞いで客に応え、
アマS女でも、DS関係は非日常のものと割り切って、互いの人品を問うことなく、
あるいは日常から人格が女王様(笑)なS女は、無理なく奴隷を扱ってるのだろう。

このいずれでもない私は、これらの女王様らしく振る舞える人達を羨ましく思う。
いや、羨ましがったところで、小心者の私には土台叶わぬ夢とわかってはいる(笑
奴隷の去就なぞ気にせずにワガママ放題やるなんて、素質もなきゃ、自信もない。
それでもDSに憧れる者としては、相互に人扱いしない関係にピュアを感じるのだ。

それに役目役割に徹した関係のほうが、はっきり言って楽だし、お互いのためだ。
実際、イリコ以前に奴隷と呼んだ者達とはそうした関係で、何の問題もなかった。
まぁ素質がないので、ワガママ放題とまでいかなかったけど、楽に振舞ってたナ。
これは恐らく、その各々とさほど緊密に関わらなかったから、できたことと思う。

・・・・・。

では、イリコとの関係において、今なぜ「人として」なんて命題を抱えているのか?
従前にならい、奴の上にヒトを見ず、「奴隷扱い」してればいいんじゃないか?
奴の思う私がヒトでないのはむしろ幸いで、堂々主ヅラしてればいいことだろう。
それを今になって、私にヒトを見よなんて言い出すのは、理不尽な話だとも思う。

実際今でも、私が奴との関係に期するものは、やはりDSの関係なのだ。明白に。
「人として」対等に付き合いたいなんて、露程も思わない。それは奴も同様だろう。
けれどあの事件で、少なくとも奴が、私をヒトと思わない弊害を思い知ったのだ。
それは、私が「人として」尊重されないこと。ま、ヒトじゃないから当然だけど(笑

もっともこれは、今まで見過ごしにしていたが、いつか露見する問題だったとは思う。
元々、人を尊重する概念に欠けた人間だと思っていた。だからこそ、奴隷にした。
逆説的だが、根が勝手な男ほど奴隷にするには好適なのだ。てか、ソソラレる(笑
だから、今更何をいわんやなのだ。自分に呆れる。やっぱ覚悟が足りないのかな。

・・・・・。

あぁでもしかし。私のヒトの部分が尊重されたがるのは事実だ。誤魔化せない。
殊に私の側は奴を奴隷扱いしつつも、人としては尊重してるつもりだから尚更に。
それに、これまでの奴隷たちと違って、奴とは日常的に頻々と関わっているので、
奴が奴隷に徹して、ヒトとしての私に想像を及ぼせないのは、正直堪えてしまう。

だから奴が私をどう見なそうと、そこだけはヒトの私を見て欲しいと切実に思う。
いや・・・奴にしても始終奴隷でいるわけだし、無茶を言ってるなという自覚はあり。
欲張りすぎだろうと己を諌め、勝手な自分に辟易ともし、自問自答が続いている。
ヒトを奴隷にするとき、主もまたヒトを捨てざるを得ないのか・・・未だ解は得ず。
ワタクシはヒトである #1
昨年暮れの事件で、私が得た気づきは”怒り”に関わるもの以外にいくつかある。
が、そのどれもが、DSの関係において「人として」どうあるべきかを問うものだ。
日頃私はお題目のように「SMでもDSでも、所詮人の関係だ」と繰り返してはいるが、
こう述べるに至る自身の認識に潜む大きな思い違い、更には傲慢に気づいたのだ。

随分前のことだが、「女王様としてこうあるべきという考えはあるか?」と訊かれ、
「自他のために誠実にあることで、ありのままを評価してもらいたい」と答えた。
この時既に現在へ続く錯誤があると承知しつつも、ここに今の気づきを見てしまう。
つまり、”ありのまま”とは何ぞやと。この二年の私は”ありのまま”だったのかと。

勿論、対人関係における”ありのまま”は、相手によって変わるものと理解している。
自覚する自身の”ありのまま”を、その間柄に則して加減しては、見せているものだ。
時に”ありのまま”でない建前を作り込む必要もあるが、納得してればいいことで。
そうして、この二年、私は奴に見合った”ありのまま”であり続けようとした。

・・・・・。

今となれば自己弁護に過ぎないが、実際私は、奴に見せている自身に納得してた。
信義にそって誠実にあろうとしたし、非日常な別人の自分を演出した意識もない。
もっとも、奴が、私に従うに価値を見出せるべく、ひたすら自分を律してはいた。
主が惑えば、従は不安に苛まれる。負の感情に惑うなど、主にはあるまじきだと。

あぁ、改めて言葉にしてみれば、なんて高慢で恥知らずな自意識を抱いたのだろう。
しかし、私の後を追うしかない奴にとって、それは錯覚するに充分だったはずだ。
そしてその錯覚は、慣れない「従」の位置に身を置き、自らに精一杯の奴にとって、
恐らくは、大いに縋るべきものであったろう。ここに、私たちの利害が一致した。

なぜなら私は奴に、人として理解されるよりも、主として傾倒して欲しいと願い、
奴は奴で、落込むとか泣くとか、そんな負の感情に揺れる主は見られないと請い。
かくして私は、必然に湧く負の感情を時に抑え、時に奴に見合う程度に加工して、
人としては随分といびつな”ありのまま”をこしらえては、奴に呈してきたのだ。

・・・・・。

とはいえ、納得してもなお、この方針をとる当初から一抹の不安を抱えてはいた。
このやり方では、形骸化した関係を招きかねず、親密な間柄を目指す障害となる。
だから、最初のうちはメールや電話で親密なコミュニケーションを図ったものだ。
が、日常に対話を重ねていると、時に負の感情が漏れて、奴を困らせてしまった。

全くだらしない限りだけど、ここで私は自分を見切って方針を変えることにした。
実のところ、ここに掲示板を持った理由のひとつは、まさに奴を巡る方針に負う。
奴の負担にならない程度に、私を多角的に見せて、私を感じてほしいと画策した。
つまり、間接的にであれ、私の人とナリや感情や体温を伝えたいと企んだワケだ。

しかしながら、この手段がどれ程に「人として」の私を奴に知らしめたかは疑問だ。
再開前の記事の殆どは、元々の見栄張りを映して「人らしく」なかったものね(笑
それに奴としては、やはり緊張しつつも直接に会う、行儀良い「主たる私」が全てで。
奴が「怒りを頂いた」と認識する時でさえ、私は声も荒げず、取り乱しもしないのだ。

恐らく当初の不安は的中したのではないか。奴の思う私は、多分ヒトじゃない(笑

・・・・・。

だから、事件後初めて奴に宛てたメルに、久しぶりに用件以外のことを書いた。
それも自分のことを。これまでは、書いても説教じみた話題ばかりだったのに。
勿論、あの時怒りを露わにしてしまった自身を言い訳したい気持ちもあった。
が、それ以上に、”ヒトとしてのありのまま”を、今こそ言明しようと思ったのだ。
なぜワタシは考えるのか?
昨今ウダウダと思考しているのは、何もアテなく哲学しているワケではない。
文中では「従」と表しているが、これは明らかに身近な奴隷のイリコ個人を指す。
奴と関係して二年、大事な縁だからこそ、絶えず思考してきた。その自負はある。
結果大きな破綻もなく来たが、昨年暮れのある事件が、私に気づきをもたらした。

はっきり言って「このままでいいのか?」と、二年間の思考に疑問が湧いたのだ。
確かに時の経過とともに得たものは多い。奴には大した変化を恵んだことだろう。
奴の変化を見るのは私の悦びでもあり、思惑通りに事が運んだ達成感も味わった。
しかし、何もかもがうまくいったはずもない。当然ながら、再々に失望を抱えた。

その度に苦言を呈し、叱りつけ、時に懲罰をもって、再びの失望を避けようとした。
しかし失意は繰り返される。そしてまた、前回と同様の懲戒と反省をなぞるのだ。
もっとも、この反復は端から覚悟してることで、呆れながらも諦めることはない。
根気よく付き合えば、いつかどうにかなるだろうと専ら自分に言い聞かせていた。

・・・・・。

あの時。私は初めて生々しい怒りを奴にぶつけたのだ。しかも人前で声を荒げた。
感情が溢れるのを制御できなかった。いや・・・抑えようと思えば出来たのだろう。
怒りを吐く直前まで逡巡したのを憶えている。そして、えいやと思い切ったことも。
言葉を繰り出しながら、早々に後悔が始まったが、どこか転機を予感してもいた。

その時の私は、奴がもたらした失望を三つも抱え、いつも以上にナーバスだった。
けれど、それは偶々の成り行きで、そのことに怒ってはならないと自制に励んだ。
いつも通りに行儀良く、感情を抑え、奴の失態を質すことに専念すればいいのだ。
冷静に奴の言を聞きわけ、肯定と否定を明確に言い下し、適宜指示すれば済む。

ところが間が悪いのは重なるもので、あるいは、私が神経過敏だったからなのか、
奴の受け答えの逐一に、刺々しい自己主張を感じてしまったから、さぁイケナイ。
私はこんなに自制してるのに、奴はそれをわかってないと思うと、苛ついてきた。
せめて誤魔化そうと軽口を叩いてみたり、笑ってみたりしたが、奴は依然頑なだ。

・・・・・。

この不幸な偶然が、私のタガを外したらしい。”今ここで”怒るしかないと発想した。
が、切羽詰った衝動ながら、そう発想した事に、我ながら驚き困惑してしまった。
なぜなら、それまでは、苦言一つにしても”いつ、どこで”に配慮していたからだ。
それは、些細なことで「石になる」奴と付き合うための知恵のようなものだった。

それに、専ら「主の怒り」に怯える奴のために、もちろん自身のカッコツケもあって、
「私は怒っている」と奴に表明したのは、この二年で僅かに二回と記憶している。
もちろん、細かく怒りを感じることはあったが、怒っても仕方ないやと諦めたり、
「がっかりした」なんて姑息に言い換えては、怒りの所在をうやむやにしてきた。

つまり、怒らないことを自分に課すのは、主ヅラする恰好の責務だったワケだ。
確かに怒りを抑えるのは難儀だけれど、そうする自己満足のほうが勝ってたのね。
ところがあの時、衝動に後押しされる形で、ソレデイイノカと自らに問うたのだ。
それで、従来の流れの中に大きな石を投じた。一種の賭けのような気分だった。

・・・・・。

思えば、私の人間関係うち、これほど真摯で親密で長続きした関係は元「犬」以外にない。
我ながら貧しいなぁとも思うけど、それが身の丈にあったところなんだろう(笑)
そして、元「犬」との歴史を思い返すに、やはりこうした転換点があったと思い至る。
気づけたなら、勇気をもって自らが変わればいい。これは、その時に学んだこと。

かくして、私は自らが変わり、そこに新しい方針を展望せんと、考え続けている。
それぞれの”怒る”事情
もう既にしっかり身に染みてるのだけど、SMのDS関係ってのは実に厄介だ。
巷にある上下関係が、血や金や死活に関わる力関係で成り立っているのに対し、
私たちのそれは、せいぜい性とほとんどが感情に基づく意思にすがるしかない。
だから、並みの恋愛とは趣を異にするけれど、恋愛並に不安定な関係性なんだね。

DSを目指す者は、滅多に得られない関係だからこそ、それを絶対と思いたがるけど、
特別な因縁なしに絶対なんてあり得ないから、当たり前に各々の言動に悩むのだ。
そして少しでも関係を良好に保つために、我彼の言動に気を払うのも当然のこと。
中でも、関係を危うくしかねない”怒り”を巡っては、やはり敏感になってしまう。

・・・・・。

先日記事の”地の底まで追っかけて問い詰めそうな”S女と話した折も折。
「私、貴女が怒らない理由を聞いて、目からウロコが落ちたのよぉ」と言い出した。
私の迷いを知るはずもない彼女が、そこに話題を取る偶然に驚きつつ、続きを聞く。
「今怒っても仕方ないことは怒らないって言ってたでしょ?」
あぁそういうことね。

そこで、「んーそうなんだけど」と前置きして、昨今の思考の成り行きを説明する。
と、またも彼女は、思いもよらない質問を投げてきた。
「怒るのが恥ずかしいの?」
私は一瞬絶句し、ようよう否定したけど、彼女の鋭い洞察に動揺したのは事実だ。
”怒りたくても怒れない”真の理由は、浅ましい自意識にこそあるのかもしれない。

そうなんだ。
私は明白に、怒りを露わにすることを”みっともない”と思っている。
怒りを抑えることが大人の所作で、あからさまに怒るのは行儀が悪いという意識。
あぁ理屈ではそんなバカな!と解ってるのよ。怒りを抑える傲慢にも気づいてる。
けれど、この意識が我が身を縛る。あたかも”人前で排便できない”的なレベルで。

・・・・・。

動揺しながらも、なお頑強な私の自意識は、もっともらしい説明で彼女に応える。
「奴隷って、怒ると石みたいに固まるじゃない?それで効率落ちるのが嫌なのよ」
いや、これは本当の話だ。
真の理由はともかく、実際問題としての怒らない理由。
私の場合、先の意識にも助けられて、理詰めで感情を抑制できるつもりでいるし。

が、怒りを表すに躊躇しない彼女は、どうやってこの難関を乗り越えてるのか?
それは以前からの疑問で、ここへきて漸く訊いてみた。
「石になっても怒るの?」
すると笑って彼女が言うことには「そうそう、なんで石になんのッ?ってまた怒る」
「そしたら石はどうなるの?」質問を継ぐとあっさり答えが返った。
「壊れるよ(笑」

私もつられて笑っちゃったけど、「壊れるよ」の意味を知るだけに恐ろしくもある。
「よくつきあえるわね?」呆れて切り返すと、「いや、大抵後悔してる」とまた笑う。
笑ってる場合かと思うけど、実体験を振り返るだに笑うしかないよなぁとも思う。
「だから、感情よりも効率が優先できるんだったらそうしたいよ」
彼女はそう結んだ。

・・・・・。

怒りによらず人に感情を伝えるとき、当然、伝わる相手じゃないと意味がない。
伝わるかどうかは、根本的な受容性と、それ以前に聞く意思をこそ問われるだろう。
殊に自分への怒りなんてのは、出来れば聞きたくないものだ。親しければ尚更に。
聞きたくない思いは自動的に聞く意思を殺ぎ、ひいては受容性も鈍磨させていく。

先の会話で、符牒のように交わされた「石になる」という状態は、これにあたる。
意思が能動的に聞くのを放棄するのではなく、怯えて自分の殻に逃げ込む感じだ。
更に「壊れる」というのは、殻の中に逃げてもなお攻撃されて、逆ギレする感じ。
この状態を招くと相当に怖い。私みたいなヘタレだと、渾身の精神力が必要だ。

相手が「壊れる」まで追い込める彼女は、間違いなく精神的にタフなんだろう。
同時に、そこまでされても彼女に従う奴隷もまたタフで、すなわちこれが相性か。
では、タフでない私はどうする?同様に、その私と反りの合う弱い従はどうする?
「石になる」を怖れてやり過ごせば、いつまでたっても「石になる」を免れない。

・・・・・。

「いい塩梅に怒るって難しいねぇ・・」
やっぱりな結論に、女二人で溜息をついた。
いまさら気づくパラドクス 〜怒るけど怒れない〜
先の記事で、自身が「怒りを伝えられない」と表現したけれど、
これはもちろん「怒らない」という意ではなく、当たり前に怒ることはあるワケで。
なので、意識して伝えてないつもりでも、言葉の端々や雰囲気で漏れ出しては、
明確に伝えないがために却って、相手に困惑や不安をもたらしてるのかもしれない。

・・・・・。

殊に相手が、私が与するDS関係の「従」だと、この懸念はほぼ前提としてあって、
更には、立場上私の言は言い下すことになるものだから、実の所かなり気を遣う。
物言う度に、「怒ってるわけじゃないけど・・・」とエクスキューズを欠かせない(笑
この時私が本当に怒ってるか否かによらず、まず相手の不安ありきの措置として。

そして、自己欺瞞でなければ、その殆どの場合、私は実際怒ってやしないのだ。
確かにこう前置きするのは、従にとっては耳の痛い、否定的な事を言う時だけど、
それらは、少なくとも私的には、単なる感想だったり意見だったりするんだね。
あるいは不具合を指摘したり注意したり・・・いずれにしても、根本に怒りはない。

が、いくら前置きしてもなお、従はそれらに「怒り」を見ては怯えてしまう。
その怯えは従の言動に影響し、結果、正常な意思疎通が図れなくなることが多い。
それで私はいよいよ細心の注意を払って、半ばおっかなびっくり物を言うのだが、
正直これは相当に疲れる。覚悟しても納得しても、疲れるものは疲れるのダ(笑。

・・・・・。

こんな状況なものだから、怒りを露わにするなんてもってのほかと思ってたけど、
実質的に怒ったことはあるんだし、とすれば、それは知らず漏れ出ていたんだろう。
しかも、私は自己満足的に怒りを抑えて振舞ってるつもりなんだから、酷い話だ。
その言動と裏腹に伝わる「怒り」に接し、従が感じた困惑や不安は容易に想像がつく。

つまり、本当に怒ったときに、それをきちんと伝えずにいた私のだらしなさが、
些細なことでも、従に「怒り」を想像させてしまう状況を招いてるのではないか。
加えて、更に私がだらしないことには、「怒り」を後になって明かしたりするので、
従としては、いくらその時「怒ってない」と言われても、気が抜けないのは当然だ。

これまで、怒ってもないのに「怒った」と認識される度に、私は苦言を呈したが、
翻って、怒ってるのに「怒ってない」とやり過ごした己の浅ましさに身が震える。
そこに「怒れば従の負担になるから」なんておためごかしの言い訳をしたところで、
怒った事実を伝えもせずに、怒ってない事実は信じろなんて、全く無茶な話だわ。

・・・・・。

確かに、「主の怒り」を最大に恐怖する従に、怒りを伝えるのは酷なことだと思う。
ひとたびそうすれば、従の身に、己の存在価値を疑う程の動揺を招くのは必至だ。
その動揺は心理的なものに留まらず、体調や言動にまで悪影響を及ぼしてしまう。
これは単なる想像でなく実際的な経験則で、だからこそ危惧し、怒れないでいる。

しかし、その結果を怖れて、「怒り」を遠ざけてばかりでいられるはずがない。
私が当たり前に「怒り」の感情を持つ以上、お互い様に乗り越えていかなくてはね。
私は「怒り」を適当に伝えられるように、従はそれを適当に見極められるように。
それがたぶん、今よりもっと誠実な向き合い方だと、漸く気づいたものだから。

・・・・・。

けどねぇ、この歳まで自分を甘やかして、ヘタレに育ててしまった私にとって、
この「怒りを適当に伝える」なんて人並みのことが、実は非常に難しかったりする。
従にしても、その特殊な立場にあれば、人並みの判断を働かせるのは難しかろう。
うわわ、大層なコト言ってみたけど、目指す道のりは遠いワネ。頑張りましょう。
ワタシがM男にフられる原因
随分以前に記事したのだが、私は自分からM魚をフったことがない。
まぁ親密になった数自体少ないので、殊更に言い募る程のことかとも思うけど、
それでもその全てにおいて、逃げられたか、ある日いきなり引導を渡されたか。
つまりは、すっかり相手都合で幕が下ろされ、私の都合は置いてけぼりにされた。

もちろん、関係を結ぶ以前、交渉の段階で断ったことくらいはあるが、
私が辿ったSM関係はお見合いを重ねてはご縁を探す次第なので、これは必然に。
その度自分なりに心を砕いてお断りしたつもりだし、当然、断られたこともある。
っが、ここでもバックレられたことが多い。先に記事したすっぽかされも然り。

ま、お見合いと言えど所詮世を憚る関係なので、しがらみから礼を払う必要もなく、
連絡を先延ばしにしてうやむやにするも、いきなりバックレるもありだとは思う。
けど、些少の関わりでもそうされる側としては、納得しててもグッタリするんだね。
そして親密な関係ならば尚更に、驚くし怒るし、何より激しく落ち込んでしまう。

・・・・・。

そんな話を半ば愚痴めいてS女の友人にしたところ、こう言われた。
「貴女なら、逃げてもフっても大丈夫そうって思われてるんじゃない?」
ナンダソレ?と思わず笑っちゃったけど、そんなこと考えてもみなかったので驚く。
「私だったら、地の底までも追っかけて問い詰めそうじゃん?怖いよぉ?(笑」

ソウダネェとまたも笑って返しつつ、内心、自分のヘタレぶりに思いをいたす。
確かに、逃げられても突然フられても、あぁそうですかと飲み込んでしまってた。
物分りよさげに騒ぎ立てないことを自分に課して、それで自尊をどうにか保った。
要はエエカッコシイなのね。これは別に非常時に限らず、もはや性格的な傾向だ。

当然、この傾向は縁が続いてる間もあるワケで、それが相手の行動を招いたのかしら。
何されても大丈夫そうな印象を与えたか、或いは鷹揚ぶってる足元見られたか(笑
とすれば、自分で自分の首締めてるんだわ。因果応報、誰を恨むわけにいかない。
・・・と相変わらずカッコツケて結ぼうとする自分が嫌だ(笑。もちょっと続けよう。

・・・・・。

改めて言うまでもなく、私は、何されても平気なほどに鈍感でも強くもない。
更に明かせば、人並み以上に恨みがましくあてつけがましい性向も自覚している。
なので、何かされたら、内省よりも先に相手を恨むし、あてつけたくもなる(笑。
だからこそ、それが漏れ出さないように、意識してカッコツケてるというワケだ。

その結果、恨み辛みはともかく、怒りさえ伝えらないヘタレに成り下がった。
いや、相手に表明できないだけで、よそでは愚痴てたりするから全く始末が悪い。
しかし改めて思うに、相手に怒りを伝えてれば、事態はかなり違ってくるはずだ。
適当に怒れないからこそ、恨み辛みが募り、よそで愚痴ることになるのだろう。

・・・・・。

私にとって、M魚との関わりは人間関係そのものだ。関係の如何によらず。
どうせSMの関係だから・・と軽んじることも、流してしまうことも出来ない。
だから、不幸な成り行きが身に降る度に、あれこれと自他を問わずに思考してきた。
それらの考察に私は折々救われたけど、根本的な自省はしてなかったのかもね。

あぁこの歳にもなって恥ずかしいんだけど、今更ながらにそう気づいてしまった。
勿論、これまでの考察が全て間違いだとも思わないが、そこに縋ってもいけない。
改めて自分を見つめる段階が来たらしい。

てなワケで、この手の鬱陶しい話題が続くかもしれず。
悪しからずごめんなさい。
ワタシのすっぽかされ事情 #3
その彼も、やはり前日の電話を最後に、約束の時刻を過ぎてもナシのつぶてで。
まぁそれでも、一度対面した女にそうするのは、余程の理由があるのだろうと、
それ以降、私のほうから電話をすることはなく、当然掛かってもきませんでした。
すっぽかされて確かに憤りを覚えましたが、それを責める程の関わりじゃないですし。

っと、こんな言い草だと、いかにも私が鷹揚で物分りのよい人間のようですが、
ソレは違います(笑。単にその彼への執着が薄くって、更に責めるを面倒がったと。
たった一度の対面でも強い執着を抱いてしまってたら、電話くらい掛けたでしょう。
それに物分りよさげにいても、それは自らが傷つかないための保身術でもあるワケで。



そんな成り行きでしたが、その後、テレコミで彼の伝言を再び耳にしました。
たぶん、私との約束を反故にした日から、そう時間は経ってなかったはずです。
しかし彼の言い分は、私と会うきっかけになった、以前のそれとは違っていました。
「普段は普通の人だけど、二人きりの時にはSになってくれる方にお仕えしたいです」

これを聞いた途端、私は失笑し、また脱力し、漸くにして合点がいったのです。
なるほど、先の対面で彼が目にした私も含め女たちは、”普通”じゃなかったのだと。
いや、バーの女王様はお仕事だからともかく、スーツ姿の私もそう思われたのだと。
それで、”普通”じゃない人を受け入れ難かった彼は、すなわち私をフったのだなと。

そう考えると、対面して以降の彼の行動が、するすると腑に落ちていきます。
次回の誘いを受けたものの、断るに怖じて、ついつい承諾してしまったことや、
果たす気もない約束に困って、結局連絡を断つことで難から逃れようとしたことが。
そして、全ての解に納得する一方で、またもやりきれなさを抱えてしまうのでした。

いえ、彼の言い分が変わったことに不服を覚えたとか、失望したとかではないのです。
私との対面で、彼が明確なビジョンを持ち得たことは、むしろ喜ばしいとも思います。
そして、”普通の人”にお仕えしたいという彼の願望も、充分に理解できるもので、
彼にしても、闇雲に女王様を求める段階を脱し、具体的に今後を探っていけることでしょう。



では、何をもって、私がやりきれない気持ちになってしまうのか。
それは、私が自身を”普通の人”だと思い、そうありたいと心がけているからです。
S女だからといって、いきなり乱暴な言葉遣いをしたり、無茶や無理を言ったり、
そういう人の道理を無視するような振る舞いはすまいと、常々思っているからです。

その彼との交渉や対面においても、当然”普通の人”でいたつもりだったのです。
がしかし、彼の感覚に照らすと、私は”普通”ではなかったのだなと残念に思いました。
もっとも、その時の彼にしてみれば、「女王様」に相対しているという緊張のあまり、
私の言動の全てが「女王様」ぽく、”普通”じゃなく見えてしまったとも想像できます。

それに、振る舞い以前に、私の容貌や雰囲気が”普通”でなかったのかもしれません(笑
こればかりは、彼の感性によるもので、私がどう足掻いても仕方のないことです。
が、自分自身では、さして「女王様」ぽい自覚がないので、何だか釈然としなかったり。
けどまぁ、そうであれば、自身についての誤認や認識不足に恥じ入るばかりです。



しかしながら、この経緯において、自身を”普通”に見えなくした一番の原因は、
「まともな感覚」を忘れて、いきなりSMバーに伴ったことだろうと改めて思います。
彼にとって、そこは正に異界で、そこへ連れ込む女なんてやはり”普通”じゃなくて、
そこでどれ程”普通”に振舞おうと、自分とかけ離れた異形の者に見えたことでしょう。


・・・と、これまた想像に過ぎませんが、こう理由付ければ少しだけ救われるのですね(笑
ワタシのすっぽかされ事情 #2
初対面の、しかもSMは初心者と伺ってた彼をSMバーに連れて行くなんて。
随分と乱暴な話ですが、とはいえ、その時咄嗟に思いついた事ではなかったのです。
首尾よくお目にかかれても、最終ご一緒することを提案しようと思ってました。
だって、そこには、彼がその存在を疑う「女王様」が実在してるのですから。

失礼な話ですが、私が彼に会おうと思った動機もそこにあります。
夢を諦めなければ、そして機会さえあれば、求めるものは見つかるのですよと、
しかも、彼の生きるほんの近くに、当たり前の人の形をして存在するんですよと、
お節介にも知らしめようとしたワケです。私との対面やそのSMバーで。

もちろん、彼が本当に女王様の存在を疑ってたかどうかは、わかりません。
或いはそれは、女王様探しに疲れて吐いただけの嘆息めいたものかもしれない。
それでも、自称S女の私や他の女王様たちとお話が出来れば希望が繋がるかしらと、
ただただ自分勝手な想像を巡らせて、独り善がりに予定を進めてしまったのです。



さて、会ったばかりの女に「SMバーに行こう」と言われてしまった彼ですが、
やはりM魚らしくS女の私に礼を払って、粛々と後をついてきてくれました。
道すがら、少しは会話を交わしましたが、きっと酷く緊張していたことでしょう。
自分の前を歩くのは初対面の女。しかもS女。行く先は聞くも恐ろしげなSMバー。

地下への暗い階段を延々降りて、ほの暗いライティングのエントランスを潜り、
中へ入ると、意に反してそこそこの客入り、その目が一斉にこちらに向けられて、
ママが「あらぁ」と親しげな声をあげ、男の客の何人かが恐縮したように挨拶し、
女の子が「新しい奴隷さん?」とお決まりの台詞を投げて、お約束で私も笑って。



あぁ、こうして順を追って言葉にしていくと、自分の軽はずみに眩暈がします。
賑やかしく振舞う私の傍らで、彼がどんな思いでいたのかは想像に難くありません。
しかし、その時の私は浅薄にもそこまで頭が回らず、いつもの調子でくつろいで、
彼の緊張に気も払わずに、あからさまなSMネタで盛り上がってしまいました。

今更の言い訳ですが、しかし、それすらも私の思惑には適ったことでした。
そのバーはSMバーといえど、女王様がホステスを勤め、専ら会話を楽しむ場で、
しかも彼女らは変に女王様を気取らず、人として正に等身大で話をしてくれます。
だから、彼が、私も含めた女王様たちと「人として」談笑できればと願ったのですね。

かくして、彼女らの気遣いのお陰もあって、彼も次第に打ち解けた風になり、
彼自身の願望について明かしたり、それについて他の者があれこれと質問したり、
私としては所期通りの”彼にとって有意義な時間”が展開されたと感じてました。
そして時刻も頃合に、「電車で帰りなさいね」と機嫌よく見送ったものです。



さて、ここまで。
遅れて来といて独りで帰すとは、なんとも失礼な話ですが、事情から致し方なく、
翌日には、せめてこちらから早々に、お詫びとお礼の電話を入れました。
すると彼も極々普通に礼を述べ、「ご馳走様でした」と仰るので、それを受けて、
「じゃ、今度お茶でもおごってね」と、その週末の約束を交わしたのですが・・・。

結局、これまたすっぽかされて、以後連絡が途絶えてしまったのです。
ワタシのすっぽかされ事情 #1
先の彼を諦めて後、伺ったバーはいわゆるSMバーで。
その手の店にとって、電車のある時刻なんてのはまだまだ宵の口で。
中に入ると、見知った女たちがくつろいだ風に客待ちをしているのでした。
唯一の客は、デイトの後に合流しようねと約束していた常連のM魚。

その光景に、私は、まるで我が家に帰り着いたかのような安堵を得て、
コートも脱がずにソファに沈み込んでは、先程までの事情を嘆いてみせました。
心優しいママは、そんな私を見逃して、オーダーとるのも先送りに頷いてくれます。
そして「それはヒトとしてどうかと思うよ」と私の思い通りの言葉をくれるのです。

道理のわかった信頼できるS女の彼女に味方してもらえると、本当に嬉しくて、
嬉しさあまり、「そうよね?そうよね?」と周りにも強引に同意を求めたりして。
調子に乗って、「あれって人のことナメてんのかしらねッ?」とぶちまけたりして。
まぁそんな感じで一頻り愚痴を吐き散らかして、落ち着いた頃合に気づいたこと。

「わたし、この手の事があると、ここへ伺ってるわよね?」
「あぁそうそう!前もあったあった!」 応えて、ママが楽しそうに笑い、
「ヤな事あると、ママを思い出すとか?」 同席していた女の子が合いの手を入れ、
「ここ来ると安心するのよねー」 私はお世辞ではなく、心からそう応えました。



けれど思うに、私にとっては安心できる場所ですが、そこはやはりSMバーで、
いくらSMを嗜好してても、知らない方にとっては恐ろしげな場所だと思います。
私もまた、初めてそういう場を訪れたときは、不安と緊張に震えましたもの(笑)
恐らくは、それが「まともな感覚」だと思いますし、誰彼にお勧めはいたしません。

ところが、時に「まともな感覚」を忘れてしまうことがあるんですね。
たぶんそのせいで、数年前、とあるM魚にすっぽかされた経験があります。
すっぽかした自体は、当然彼の側に非があると思いますけれど、
その結果を招いたのは、「まともでない」私だったのだろうと反省しています。



その彼と知り合ったのは、まだテレコミを使っている時分で、
「ボクは女王様を求めているが、本当に女王様なんているんだろうか?」
と切々と訴える彼の伝言に感応して、私のほうからコンタクトをとりました。
そして、電話から届く彼の声音や雰囲気に納得して、近日のアポをとったのです。

が、当日。私はどうしても仕事を抜けられず、彼を一時間も待たせてしまい、
しかも地下に潜っていたせいで、電話を受けるも掛けるもままならなくて、
漸く連絡できたときには、既に彼は帰宅の途につこうと駅構内にいるありさまで、
携帯で聞く彼の声からは、待ちくたびれた失意と怒りが伝わってきます。

慌てた私は平謝りに謝って、とにかく戻ってきて欲しいと頼み込みました。
この勝手な私の言い草に、ほぼ失望していただろう彼は半ば憮然と返事をして、
それでも、所定の場所に姿を見せてくれたのです。やはり怒ってる様子でしたが。
とにかくお詫びを言うも、そこは往来、時刻は21時過ぎ。さあどうしよう・・・。



そこで「どうします?」と彼に問えば、M魚の常で「お任せします」と仰るので、
お任せされちゃった私が採った選択が、今思えば過ちの始まりとなりました。
ええ、前述した「まともでない感覚」で、件のSMバーにお連れしたのですね。
しかも、その時の私は、それが彼にとっての最良の接遇だと考えていたのです(痛。
M男のすっぽかし事情 #2
こんな話題を散らかしながら、今更の懺悔ですが、
テレクラでふつーの男と遊んでた頃の私も、すっぽかしをしたことがあります。
それも、一度や二度でなく何度も(!)あああ、関係各位にはすみません〜〜

なので、今回の私方事情を、ざまぁみろと思われる向きもおいででしょうし、
実際自分でも、罰が当たったと思わざるを得ない身の上ではあります。
それに、こういう出会い方では、押しなべて男性のほうが割を喰ってるワケで、
前科のある女が、偶さかすっぽかされてガタガタ言うのは笑止な話とわかってもいます。

この記事をもって不快なお心もちになられた皆さまには、
深くお詫びするとともに、今しばらく話題しますことをお許し下さいますよう。



さて、身の不徳を恥じつつも、当時私が男をすっぽかした経緯を振り返ると、
不測の事態(例えば急の仕事など)が起きて、全く物理的に伺えなかった場合と、
ノリで約束してしまったけど、結局腰が上がらなかった場合がありました。
前者はともかく、後者については全くもって弁明のしようがありません。

もちろん、理由の如何なく、すっぽかす時の呵責は感じていました。
いくらテレクラ呆けした感覚であろうと、たかが遊びでしょ?と言い訳しようと、
相手方の時間と労力を無駄にして、期待を裏切ってはがっかりさせてしまうのです。
当時も私は、些少ながら同様の憂き目にあっており、それは切実に想像できました。

なので、携帯電話を持ち始めてからは、随分と救われたものです。
不測の事で行けなかろうと、気が乗らなくてそうしようと、ひとまず連絡がとれる、
少なくとも相手方の番号さえ伺っておけば、これ以上罪を重ねずに済むのです。
同様に自身も無駄骨を折るを恐れて、大抵はこちらの番号も告げることにしています。



確かに携帯電話は、こうした出会い方の確実性を高めたのですが、しかし、
今回の彼のように適時に掛けて下さらなければ、全く無用なものになるのですね。
それどころか、変に期待が繋がるだけに、すっぽかされて受けるダメージは、
携帯以前に比して、物理的にも精神的にも大きくなったように思います。

まぁ私方事情はともかく、なぜ彼には電話一本頂けなかったのでしょうか。
もちろん、電話すら出来ない、のっぴきならない状況だったと想像も出来ます。
けれども、彼は既に20代後半、社会で実務に携わってらっしゃる経験を鑑みるに、
土壇場で断るにしても、その一本の電話が最低限の礼儀であると理解してましょう。

なのに、それをして頂けなかった・・・再び、なぜか?と思考が走ります。
考えられる理由のひとつは、彼が私に礼を払う必要を感じてなかったということ。
今ひとつは、彼に何らかの悪意があったことですが、これは考えたくありません(笑。
そして最後の一つは、彼が「断るのを恐れて」そうしてしまったという理由です。



恐らくは、この最後の推測が当たっているのではないかと、私は思っています。
なぜなら、彼は、私との関係において「M側にある」ことを強く意識したはずで、
それはとりもなおさず、「自分から断ることが出来ない」というプレッシャーとなり、
ここに「断りたくても断れない」状況が生まれ、あの結果を招いたのではないかと。

そして、心苦しい想像ですけれども、こうしたM魚特有の心象は、
対面の約束を交わした時点で、既にあったのではないかとも思われるのです。



勿論、これらは私の中での想像でしかなく、
単に自身に都合のいい、いわば希望的観測なのかもしれません。
しかし、この考えに沿うと、彼に限らずM魚のすっぽかし率が高い事象や、
これまでに招いた彼らとの不幸な経緯が腑に落ちて、少しは気が晴れるのですね(笑)
M男のすっぽかし事情 #1
またもワタクシ、M魚にすっぽかされまちた。
ええ、初めての事じゃありません。しくしくしくしく。

心優しい皆さまには、ふつーの男女間ならいざしらず、
M魚がS女をすっぽかすなんて!?とお思いでしょうか?
かりそめとはいえ、互いに対面に合意した時点からS/Mという位置関係があり、
それでなくても、需給バランスが極端に悪いS女売り手市場にあって、
買い手たるM魚がみすみす機会を放棄するなんてことがあるのか?!



いえいえいえいえ、それがあるんですねぇ。というか。
テレクラ遊びなんぞで長年男女間の危うい橋を渡ってきた私が実感するに、
すっぽかし率はM魚のほうが高いように思うんです。

もっともこれには、私の側の「M魚とのアポには誠実にあろう」という方針
(つまり、ふつーの男には不実な対応をしたこともあったってことですね、笑)
も絡んで、結果そうなっているワケですが、だからこそダメージはデカイです。
まぁ、自分勝手に空回りする己の能天気にも呆れるばかりなんですけど。

で、せめて自分を納得させようと縋る結論はいつも
「こうやって罰が当たってるのね、ワタシ」ってのがせいぜいなんですが、
改めて考えてみれば、色々と原因があるような気がします。



その彼を見初めたきっかけは、久々に訪ねたfemdom系のオープンチャット。
発言のひとつひとつが微妙に的を外してて、私にはたまらなく魅力的でした。
聞けば、直近に催されたそこのチャットのオフ会にも参加したとのこと。
へぇ、表に出てくる子なのねんといよいよ興味が募ります。

会話が進むごと、その興味は「直にコンタクトしたい」という目論見に変わり、
遂にはチャット上で堂々連絡を請い、彼は驚きながらもその申し出に応じて下さって、
首尾よく、その日のうちに2ショでお話をすることができたのです(!)。
すっかり浮かれた私は、「近いうちにお目にかかりましょう」と会話を締めました。

その後、数度のやり取りを経て、私たちは具体的なアポを交わしました。
どうやら彼は大変にお忙しい身の上で、なかなか双方の都合があいません
それでも、彼を恋うあまり私は、イレギュラーな日取りをどうにか工面しました。
つまり、まるで勝手な言い草ですが、私にとっては貴重な時間を捻出したワケですね。



当日、依然お仕事の目処が不明な彼から、電話連絡を頂くことになりました。
ところが、待てど暮らせど、電話が鳴りません。かけても繋がりません。
困ったなぁと思いながらも、既に約束をしてるんですもの、待つしかないでしょう。
とはいえ他の用事もあるので、不確かな予定を抱いたまま動くことになりました。

結局、彼から連絡があったのは既に20時近くでした。
仕事なら仕方ないことと、「21時半には行けます」という彼の言葉に期待を繋ぎ、
待ち合わせの街にある喫茶店で、空腹を堪えながら携帯電話を見つめてました。
てのも、お食事をご一緒する約束をしてたからです(呆)



やがて、時刻は22時となり。
店内には蛍の光が流れ、飲み干したカップが下げられても、携帯が鳴ることはなく。
看板の灯が落ちた店を背に、何度目かに彼の番号をコールするも依然応答はなく。
かくして、すっぽかされ決定。私もようやくのことに諦めがついたのです。

冬空の下、ひとり取り残されて、その後。
自虐にも似た空腹感を味わいつつ、地下深い馴染みのバーへの階段を降りました。
もう既に、地上で彼からの電話を待つ気は失せておりましたので。
主を支える奴隷ふたたび #2
彼女の様子の変調に慌てた私は、前夜のログを見返しながら、慎重に言葉を継ぐ。
だが、そこまでの彼らの経緯を知らぬ私には、どう言い繕っていいかわからない。
仕方がないので、奴から聞き及んだ事柄を、出来る限り正確に伝えることにした。
そして一通りの説明を聞き終えると、彼女は決然と言い放った。


「 わたし、降りますッ…! 」


その後は届く声音もせいせいとしたものとなり、奴をネタに盛り上がったものだ。
会話を進めるうち、奴を介した女二人の認識のずれが次々と見えてきて、笑った。

電話を終えてから程なくして、お礼のメールを頂く。改めて好ましい人だと思う。
そこに、彼女が奴に宛てたメールが添えてあり、「私の結論です」と結ばれていた。

なぜ彼女があの時絶句し、降りると結論したか。メールは充分な理解をもたらした。
結局、彼らの間にも認識のずれがあり、特に奴は致命的な勘違いをしてたらしい。
それが、奴が私に言った「○○様を支えたい」という発言で露見してしまったのだ。
つまり、”支えて”欲しい程には信頼してない奴にそう言われ、彼女は激怒した、と。

かくて彼女は、取り戻したはずの奴を見放した。その一瞬前まで手にしてたのに。
このあまりに厳しい裁定はしかし、彼女の事情を知れば、当然の結論だろうと思う。
なぜなら、彼女は近い過去に、真の意味で”主を支える”奴隷を飼っていたんだね。
その存在は失ってもなお強烈だろうし、誰彼が易々と”支える”など許すはずもない。

・・・・・。

その後、私もまた奴との関係を白紙に戻した。彼女の結論を鑑みたのは否めない。
けど私は私で、奴の仕打ちを飲み込めなかったからね。彼らの結果に関わりなく。
もちろん怒りもあった。が、姑息にも私は、突然に奴を襲った不幸につけこんだ。
自らの怒りを抑え、したり顔で、彼女と奴の事の次第を解いてやってみせたのだ。

あぁわかってたのよ。そうやって、おためごかしに関わり続けることの破廉恥さ。
諦めきれてないくせに、正々堂々口説き直しもせずに、説教くさい文言を垂れて。
けれど。やりきれない気持ちの行方に惑い、縋るような思いでそうしてしまった。
と同時に、奴が女達に犯した過ちを暴き、その傲慢を思い知らせたい気もあった。

その中で、奴隷が”主を支える”ことの難しさや重さ、過酷さを、奴に語った。
語るごと、かつて私が「犬」と辿った壮絶な日々が思い出されて泣けちゃったよ(笑
結果、奴はようやく、己の吐いた言葉の重大さに気づいたらしい。そうだろうね。
あの時奴が言った”主を支える”は、単に個人的に仕える程度の意だったろうから。

・・・・・。

今更の話だが、私が、彼女に、奴の言葉を伝えてなければ、結果は違ったと思う。
彼らの経緯を知らない私は、奴の言うままに、”主たる彼女を支える”のねと思うし、
彼女は、”支えて”もらおうなんて露程も思わず、所期の通りに奴と関わったろうし、
奴は、”主を支えている”つもりのまま、安穏と彼女の奴隷を務めてられたのだろう。

とすれば、”主を支える”なんて重大な台詞を、不用意に伝えたことに悔いが残る。
けれど、たかが言葉の問題にせよ、安易に”支える”と言い及んだ奴のことだもの、
彼女との縁が続いたとしても、いつかこうした不幸な齟齬が生じたとも想像する。
それに・・・奴は”主を支える”タマじゃないし(笑。これは後からわかったこと。

・・・・・。

私は、”主を支える奴隷”を否定しない。いや寧ろ、それは私にとって聖域にある。
ほんの一時期だったけど、「犬」が魂を削るように仕えてくれた大切な記憶とともに。
けれど、”主を支える”に限らず、人が”人を支える”なんて並大抵のことじゃないと、
奴だけでなく私もまた、いや人に関わる全ての人が心に留めるべきことだと思う。
主を支える奴隷ふたたび #1
ここで書き散らしてるネタは、大体が一つの話題から芋づる式に出てくるのだが、
先に記事した「主を支える奴隷」から思いがけず、見逃しにしてきた芋が出てきた。
そいつが土中にあるのは承知しつつも、掘り返すには時期尚早と放っといたのだ。
が、もう二年も寝かせたんだもの、掘り出してもいいだろう・・・と、先に言い訳(笑

・・・・・。

現在身近な奴隷たるイリコと知り合ってから、二年を余った。
お蔭様で縁は続いてるけど、高々二年で仕上がるはずもなく、未だ悪戦苦闘中だ。
まぁ、関係が成熟する過程において紆余曲折はあって当たり前だし、納得してる。
が、関わり始めた初っ端、これからって時に、奴は一度私をフってるの。あはは。

いや今なら笑えるけど、当時は笑うどころかもう絶望的に納得できない事態だった。
粉かけてから三週間。対面してから二週間。試しにプレイしてから一週間目の破局。
客観的に見れば、たかがこの程度の関わりでフられたのなら納得しろヨとも思う。
でもねぇ、何の予兆もなくある日突然フられたら堪えるよ。付き合い浅くてもね。

私に引導を渡した日の前日まで、奴は隷従の言葉を口にしては、嬉しそうだった。
そして翌日、その日のアポを「都合で伺えません」と断ってきたのが、夕刻近くで。
日付が変わる頃、既に日課となっていたメッセで、いつものように会話を始めた。
と、やおら「お話があります」 と言いざま、「今、電話よろしいですか?」と訊く。

まさか、その”お話”がそれ程深刻なものだと想像だにしない私は、それを退けて、
テキストのまま会話は進み、奴が積むログが一段落してみると、私はフられてた。
で、そん時の奴のログの中に「○○様を支えていきたい」という言葉があったんだな。
当然、この○○様は私ではない。んーつまり、結果的に奴は二股かけてたワケ(笑


・・・・・。

その時まで名前こそ知らなかったが、奴がどなたかと親しかったのは聞いていた。
が、私が粉かけた時点で、奴は彼女との関係に絶望していた。何かあったらしい。
初対面の席でその経緯を尋ねると、奴はまるで諦めきった口調で明かしたものだ。
それで私も、奴が新しい縁に進んでもよいものと判断し、それ以上追及しなかった。

ところが本当に縁とは異なもので、対面した翌日、奴の許へ彼女からプロポーズ。
奴としてはそりゃぁ嬉しかったことだろう。失ったはずのものが還ってきたのだから。
その一方で、求められたとはいえ同意して進捗している私との縁への義理もある。
困った奴は、双方の女とうまく渉りあおうとした。各々との関係に適った方法で。

もっともこの時奴に、オイシイトコどりしようなんて邪心があったとは思わない。
それ程世事に長けた男ではないし、それ程聡くもない。つまり血迷ったんだな(笑
のぼせた頭でようよう考えたやり口が、予想もしない酷い結果を生むことになる。
それは、○○様にとっても、奴にとっても、当然私にとっても、辛い結末だった。

・・・・・。

いや・・・奴が私を袖にした時点では、私だけが涙を飲めばいいはずだったんだよね。
しかし、あまりに突然の事で承服しがたかった私は、彼女にも事情を訊いたのだ。
諦めるにしても、とにかく納得したかったのよ。別に争う気も文句いう気もなく。
それに、漸く明かされた彼女の名は、面識もあり、評価もしてる人の名だったから。

彼女もまた、直近に私の名を知らされたらしい。驚いたわねと面映い挨拶を交わす。
そして、まずは私と奴との経緯を、前の晩に聞いた奴の話を交えながら説明した。
その中で、奴の前夜の発言を引いた。「○○さんを支えたいからって言うのよ」
と、途端に応答が途絶え、やがて落胆したような声音が届く。「奴がそう言ったの?」
M男のロマンチシズム
その「癒したい系」の彼は、再々意味不明な比喩をする奴で、理解に窮したのだが、
対面の席でもなお、不思議なことを言うのだった。
「M男ってハードボイルドですね」
ハァ・・・一瞬目が点になったが、彼が言わんとするところの大体の見当はつく。
が、何だか鬱陶しい会話になりそうだったので、「文書で説明乞う」とかわした(笑

後日、またも抽象的なメールが届く。それでも、どうにか説明らしくはある(笑)
果たして、彼がハードボイルドという語に託した「M男としての生き様」とは?
曰く、「自己犠牲を誇りとし、何があっても唯一の女を愛し続ける」ことらしい。
なるほど確かに奴隷のそれと似ているね。けど、改めて問い質してみたくもなる。

てのも、それってM魚によらず、有り体に男が抱くロマンチシズムに思えるから。
とすれば、そのロマンを叶えるために、わざわざ女に隷属する必要があるのか?
しかも彼のように「女を支えたい」のなら、奴隷たる位置は何の意味があろう。
・・・っと、意地悪な突っ込みを入れてみたけど、いや本当はわかってるのよ(笑

・・・・・。

実のところ、M魚の中でもこと隷属願望組には、男のロマンを感じることが多い。
というか寧ろ、男を隷属させるなんてのは、それなしには成立しないかもしれない。
少なくとも、私が女の奴隷を持とうとしない理由のひとつは、それがないから。
もちろん女に萌えないという根本的な理由はあるけど、女は現実的で厄介だ(笑

しかし、私が男を従えるのは、男のロマンを叶えてやりたいがためじゃない。
男が主体のそれを利用して、よく似た私主体のロマンにすり替えてやろうと企む。
私が抱く、「男が私本位に犠牲となり、何があっても唯一の私に仕える」というロマン。
男の自己満足のための自己犠牲も要らないし、男っぽく愛して欲しくもないワケ。

そうそう、私が男のロマンに見て取るのは、この”男っぽい”愛し方なんだ。
こう・・「この人は、ボクがついてなきゃダメなんだ」的ニュアンスを感じてしまう。
もちろん私だって女だから、当たり前にそんな愛され方を欲する一面もあるのよ。
だけど、「従」と見なした男にそうされるのには抵抗がある。てか考えられない。

・・・・・。

っと、男のロマンを踏みにじるような自論ばかり書き散らしてしまったけど、
巷のfemdomカップルを見渡せば、男のロマンに則った関係性も当然ながらある。
いや、どっちかてと、私みたいなゴリゴリのDS嗜好のほうが少数派かもしれない。
だから、ここぞとばかりに好き勝手を言ってみてるんだと言い訳しておこう(笑。

それにね、今じゃこんな傲慢なこと言ってる私だけれど、「犬」を飼ってた頃は、
「犬」にも男のロマンがあると期待して、泣いて喚いて守られたがっていたのよね。
けど、癒したい系でも愛したがりでもなかった「犬」のそれはやっぱりひ弱で(笑、
遂に支えきれずに「犬」を降りて、以降は互いが控えめに支えあいながら今に至る。

あぁあの頃の不安定な私だったら、癒したい系の彼の願望にぴったりだったのに。
もし当時出遭えてたら、私は、奴隷に守られ癒されるお姫様になれたのかしら(笑
癒したい系
昨年のある時期、深夜の2ショで知り合ったM魚と交流があった。
奴隷になりたいと言う彼だったが、いかにもな奴隷像に憧れている風ではなくて、
ゴリゴリの隷属願望組とは果たせない(笑)、軽妙にして面白い対話を楽しんだ。
時々脱線するが頭の回転の速い奴で、臆せず語られるユニークな発想には笑った。

一月ほど対話したろうか。確かに楽しかったけど、どこか引っかかるものがある。
何だか過剰に労わられているような気がするのだ。会話の端々から伝わってくる。
そこに、有り体な礼儀や思いやり以上の、言わば押付がましさを感じてしまった。
自分としてはどこも悪くないのに、疲れてませんか?と何度も念押しされる感じ。

それである時訊いてみた。「私のこと、ストレスフルで不安定な人間だと思ってる?」
すると「ボクが知ってるS女さんは大抵そうなので」と答える。はぁ?ナンダカナ。
「悪いけど、私はいたって健康よ。あっても、キミに癒しを求めることはないわ」
彼の言葉に私は明らかにムッとして、そう切り返したものだ。正直、不快だった。

・・・・・。

軽い印象の彼だったが、意外にもマメにメールを寄越してくれた。感心したよ。
とはいえ、おおよそ抽象的な言葉が並ぶ。それを読み解くのは面白かったけどね。
そこに彼の願望を象徴する言葉を見た。「主様を支える奴隷」(!)突如合点がいく。
それで、あんなに労わろうとしたのか。結果、彼の思惑は大きく外れたにしても。

彼が望む奴隷像は、控えめながらも能動的だ。確かに従属したがってるのだけど。
「主様の心に刺さったトゲを少しずつ抜いて、悦んで頂きたいのです」と彼は言う。
こうも言う。「お仕えしてる方の毒素的なものを受けて、身の内に取り込みたい」
彼の言うところの毒素的なものとは、ストレスだの排泄物だのらしい。なるほど。

とすれば、私のように奴隷には滅多に弱みを晒さない女は、彼の主としては不適だ。
対面を果たした後、それを彼も実感したのだろう。翌日に届いたメールに笑った。
「想像以上にしっかりした人でした・・」あはは、がっかりさせてごめんなさいね。
そして「こういう人の奴隷は羨ましいと思った」と結ばれていた。ホントかなぁ?(笑

・・・・・。

ところで、M魚の中には「私をストレス発散の道具にして下さい」と希望する者がいる。
恐らく大方は「自分の意思を無視して、殴るなり蹴るなりして」ってトコなんだろう。
これは解りやすい。別にストレス発散の手段を暴力に限定しなくても腑に落ちる。
もっとも、私自身はストレス解消のためにS行為に及ぶことはないんだけどね。

しかし、先の彼が「主のストレスを解消したい」と言うのは腑に落ちなかったワケだ。
いや、それが悪いとか間違ってるとかじゃなくて、私には受け入れがたかったと。
同様に、「主を支える奴隷」ってのもまるで発想の外。考えるだけで落ち着かない(笑
なんだか自分が無力なお姫様となり、御輿に乗っけられてるような気がするのだ。

これは、私の嗜好が「従」を自分好みに仕立て導きたいという、専ら能動的なもので、
「奴隷が私を理解しようなんて百年早いッ」と言い垂れる、奢り昂ぶりゆえだろう。
だから、私が望むDSの位置関係で、しかもさほど付き合いも経ず信頼も育たぬうちに、
「癒して差し上げます」なんて言われた日には、たぶん怒髪天を突くに違いない(笑

・・・・・。

いやもちろん、私の嗜好でも「従」に支えられる部分はある。言い訳がましいけど。
まずもって、「従」がいなけりゃ主ヅラできないしね。けどま、それはお互い様だ。
それに、好きでやってることだもの、奴隷に癒されてるトコはある。結果としてね。
でもね、癒して欲しいとは露程も思わないんだな。従ってくれるだけで充分なのよ。
S女とあらば蔑まれる
まぁ特別に「S女」と括らずとも、SM趣味自体、世間様には受け入れ難いものと思う。
いや、私的には受け入れられたら困る・・・というか、そんな世間だったら嫌だわ(笑。
だから、埒外の方がSM嗜好者を敬遠したり、遠巻きに蔑むのは仕方ないと思うし、
万一個人的にそうされても納得せざるを得ない。勿論そうなったら凹むだろうけど。

・・・・・。

ところが、嗜好者が肩寄せあうSMな世間でも、こうした差別や蔑視はある。
ま、どんな群れでも、世間ってのはそんなもんだとは思うけれど、時々疲れるよ。
数の論理だか「男=S/女=M」の定説からか、S女M魚はここでも異端なのね(笑
そこで、またまた小さく群れなして、世間の荒波を逃れてるワケだ。あはは。

で、それですっかり憂いがなくなるかってと、これがヨワッタことにあるんだな。
見なきゃいいのにネットの海をうろついては、逃れてきたはずの彼の地を見てしまう。
あるM女性曰く「女王様って単なるワガママ女。男に欲望押し付ける破廉恥な奴ッ」
はぅぅ・・・ナンダカナ。半分鼻白みながらも、ヘタレな私は鬱々としてしまうのダ。

いや、わかっちゃいるのよ(笑。そう思う人もいるってだけの話で、腹は立たない。
当然のこと、小さな群れの中でさえS女を罵るM魚はいるけど、これも仕方ないや。
内輪だから吠えてる向きもあろうし、某かの希望を持てばこそ吠えるんだろうし。
「S女なんて!」と息巻く非難を目にする度に、何だか痛々しいような気さえする。

・・・・・。

しかし、見ず知らずの人にではなく、個人的な関わりの上でそうされるのはご免だ。
S女な私を蔑まれることは即ち、私を支持するM魚をも侮蔑されていることになり、
もう果てしなく辛いし、悔しいし、泣きたくなる。いや、実際泣いたことがある(痛
「S女なんてどうせ金目当てだろ?」と罵られた時だ。初見のM魚に対面で言われた。

彼に暴言を吐かせたのは、彼が辿ったS女との不本意な歴史ゆえのことなんだろう。
確かにそんな女もいると思う。けど、要求もしてない私が何の因果で罵られるのか?
驚きと怒りで叫びだしそうだったが、その場ではようよう堪えて、帰る道々泣けた。
とにかく悲しかった。そして・・・S女を求めながらも蔑むに至った彼が悲しかった。

・・・・・。

泣く程ではないものの、あからさまに蔑まれて怒ったこともある。これもM魚に。
いや、彼が端からS女を見下しているだろうことは、何となく判っていたのだ。
というか、「目下の女に貶められる」ことを嗜好する彼のマゾヒズムに照らせば、
S女を蔑んでこその快楽なワケで(笑)でも、それを言っちゃ洒落にならんわね。

っが、彼もまた言葉にしちゃったんだな。やはり、彼の思惑が外れてキレた挙句。
彼の言は返す気力も失せる程の憤りを招いたけど、一方でちょっと笑ってしまった。
てのも、それって、不倫してる夫が不貞を働く妻をなじるみたく滑稽だったから。
世間並みにS女を蔑むのは勝手だけど、結託する相手としては尊重してほしいヨ。

・・・・・。

こんな具合に、S女という属性だけで随分と蔑まれ慣れて(笑)しまった私だが、
先に話題した「S女って可哀相」という思考を持つM魚には戸惑いを覚えてしまう。
彼らは決してS女を蔑んでるワケじゃないらしい。寧ろS女の味方たらんとする。
というか、S女をお守りしたいってニュアンス。それが女に傅く理由みたいなの。


この手の輩に遭遇したのは割と最近なので、今ひとつ経験も思考も浅いのだけど、
稿を改め、そう感じるに至った事柄を交えながら続きを書こう。長々ご免(笑
S女とあらば説教される
当たり前の話だが、先に掲示した大昔のテレクラネタのようなやり取り、
つまり、ノンケの人に、自身のS趣味について打ち明けるってことは殆どない。
いやたぶん、そうしたのは、件の彼に対して唯一度だけだったように思う。
だって、さして関わりのない人に「S女でござい」と明かすのは酷だもの(笑)

同時にそれは、私にとっても厄介な展開を招くだろう。
恐らくは、驚かれたり、ひかれたり、眉を顰められたり、果ては説教されたり。
そうそう、ノンケじゃなくても、S男性相手だとそんな展開になったことが度々(笑
件の彼の説教に面食らった私だけど、後に、そんなもんなんだなと思い知ったよ。

余談ながら、じゃ件の彼に、何故わざわざ「私、女王様なの」と言ったかって、
やっぱ、それで退いて欲しかったからカナ。ビビらせたいような気持ち?(笑)
大層なこと言う割には、安直に私を口説きやがったなと。安く見積もったわねと。
まさに男に一矢報いるために、言葉の暴力(!)として啖呵切った(笑)てな次第。

・・・・・。

ではその後に、S男性に説教された、あるいは諭されたのはなにゆえか?
これは随分以前、とあるきっかけで「M側をヤってみよう」と修行に出た(笑)時の経験だ。
M側として相手を探すのは初めてだったけど、今更カマトトぶる(笑)のも面倒で、
脈のありそうな方には、S側の経験を明かした。ソレデモイイデスカ?って感じ。

幸か不幸か、そこまでの交渉に至った方は少ない。やっぱ、人を選ぶっていうか。
お陰様で、明かしても大丈夫そうな方は、大抵の場合鷹揚に話を聞いて下さった。
そして、「誰でもSとM両面あるからね」と寛大な理解を示そうとしてくれたり、
「キミが普段はSヤってるってのが萌えるね」と、実に正直な感想を賜ったりもした。

っが、中にはいたのよね。「女性は本来Mなんだと思いますよ」と説教始める人が。
ま、私も失礼な申し出をしたのだもの、粛々と伺う。で、これが結構面白かった(笑
彼らが考えるS女ってのは、”本当はMなのに無理矢理Sやってる”難儀な女らしい。
お説の真偽はわからないが、「だから、自分に正直になりなさい」と仰る。なるほろ。

いや、私は彼らのことを非難してるワケではない。どころか、同調できる節もある。
S側にあれば、極端な話、世の中全ての性対象がMだといいなぁとか思うもの(笑
「女のくせにSなんて…」と仰る動機が、本気で「女=M」と考えるからであっても、
ただただ目の前の女をコマしたいがためであっても、S側の言い分としては納得だわ(笑

・・・・・。

ところが、M魚の中にも、先の説教男たちと同根の考えを持ってる組があるんだね。
や、吃驚な話だし、すんなりと理解しがたい話なんだけど、実感する時があるの。
端的に言うと、なんだか「S女って可哀想」ってな発想が透けて見えてくるんだな。
私の単なる思い過ごしかと複数のS女に訊いてみたら、同様の経験があるという。

んー・・・ナンナンダ?とも思うし、実に面白い事象でもある。この詳細はまた。
テレクラむかしばなし
先からの凹みネタ(笑)をこねくり回してるうちに思い出し。
ゴミ箱を漁ってみたらありました。今から5年ほど前の記録です。
やーホントに私ってば物持ちいいナ(←殴)
てなワケで、閑話休題。お茶濁せ。(←再殴)


***


えー、久々にテレクラ話です。
と言っても、最近遊んだよという話ではなくて、
ある出逢いの顛末についてお話ししたいと思います。



今日居眠りをしていたら、携帯電話が鳴りました。
寝ぼけているものの、電話機のディスプレーの末尾四桁を目の隅に入れながら、
通話ボタンを押しました。以下、通話記録。


 「○○さんでしょ?山田です。」

 「どちらの山田さん?」

 「恵比寿の山田です。」

 「それだけじゃ判らないな・・・いつお目に掛かって、何しました?」

 「半年くらい前かな、プライムで会ってホテル行ったんだけど。
  ボク、海外出張行ってて連絡できなくて・・・。」

 「それ、ワタシじゃないですよ?」

 「でも、ホテル行ったから電話番号聞いたんだと思うし・・・」

 「ワタシ、待ち合わせの便を図るために番号差し上げることもありますよ。
  どなたかとお間違えでしょ?」

 「・・・でも、元気かなと思って!」

 「はあ?・・・じゃあ、ワタシの職業なんでしょう?」

 「ホテルにお勤めだったでしょ?」

 「ほら、やっぱり間違いだ。どなたかと番号が食い違ってるんですよ。」

 「おかしいなあ・・・電話番号もらったよね??」


このとんちんかんな会話を進めるうち、私ははっきりと覚醒し、
次第に記憶が蘇ってきました。・・・こいつはあの男だ(!)



1年半前にテレクラで、女は「男に磨かれる!」と豪語して、
あんまり自信たっぷりにそう言うので、どんな男だと会ってみたらば、
挨拶もそこそこに、サラリーマンだらけの安い焼鳥屋に連れてって、
席に着きざま、薄っぺらいギョーカイ話をまくしたてて、
それが終わるや、いきなり口説き始めて。

呆れたワタシが「SMが趣味で女王様なの」といなすと、
「女は女らしく!」と筋違いな説教を始めた男。
その横暴な物言いに、胸ぐら掴みそうになったけど、
それも馬鹿げたことと慇懃無礼に礼を述べたら、別れる際に、
「ボクからは連絡はしないよ。」と格好付けて。

でも、翌日にはもう電話掛けてきて
「やっぱりキミの生き方が心配だ。」って。
それが半年、断続的にあって。その度に。
「迷惑なんですけど」と退けるワタシの言葉も無視する厚顔さ。

はっきり言って、頭が悪い。
遊ぶのはいいけど、頭の中を整理しろ。



ちなみに、
先の通話で確認した末尾四桁の番号は、確かにその男の番号と一致しました。

最後にひとつ。相手見て物を言え。
なにゆえワタシ相手にギョーカイの話をする?
まるバレです。以上、終わり。
ワタシが凹んだ本当の理由
結局、今回の釣り大会も不調に終わってしまった。というか。
糸を垂れたい程の魚を見つけられなかった、いや、物色する気力が湧かなかった。
いやいや、はっきり言えば失せてしまったんだね。そう、あの”咥え煙草”のお陰で(!)
奴と別れた後もずぅっと嫌な感じが心の底に沈んでて、諦めにも似た気持ちでいた。

イベントがはねて、会場で行きあったS女の友人やM魚たちと恒例の打ち上げ。
私以外の女は各々の釣果をぶらさげてたが、鬱な私には羨ましささえそこそこだ。
それでも、釣りの始終や現場で見聞きしたあれこれを披露しあっては、話に花が咲く。
当然、私が提供するネタは先の中年M魚との次第。アンナノハジメテ!と息巻いた。

お陰様で一同には、「ナニソレ?!」「失礼ね!」と同調してもらい、少し気が晴れる。
「そんな奴相手にしなくても、他にいるわよッ」そう断言し、慰めてくれるのが嬉しい。
でもね、私が怒りを感じ、かつ凹んでしまった原因は、奴にフられたことじゃないの。
変な拘りかもしれないけど、初対面の男に咥え煙草で応対された、正にその事なんだ。

・・・・・。

私も煙草を吸う。しかもかなりのスモーカーなので、人待ちに表で吸うことはある。
が、人がみえたら消す。消さないままで挨拶するなんて、余程の馴染みの相手だけだ。
だから、奴が咥え煙草のまま声を掛けてきた瞬間、私は本当に驚き、混乱したのだ。
私の感覚に照らすとそれは想像を絶する無礼で、つまり恐ろしく屈辱的だったのね。

例えばこれが、通りすがりの男が咥え煙草でナンパしてきたのなら、驚きはしない。
ナンパでさえなく、「このブス!」とか罵られたとしても、あれ程堪えはしないだろう。
百歩譲って、金銭目的の出会いだったなら、あんな態度を取る男もいるんだと思う。
でもね、奴は通りすがりでもイカレタ野郎でも私を買ってくれる客でもなかったんだよ。

・・・・・。

と、憤慨しながらも、その一方で暗澹とした気持ちになる。自分自身について。
一つは、奴みたいな振る舞いは別に珍しくもなくて、単に私が神経質なだけカナとか。
或いは、男と散々遊んどいて、今更そんなことで躓いてしまう自分の未熟さだとか。
あと一つは、奴は「女王様」候補としては、私を見下げたんだなぁと思うにつけ。

いや、カッコツケてもしょうがないので正直に明かすと、最後の一つが私の鬱屈の殆どだ。
普段は自制している容姿への自信のなさが、徐々に頭をもたげて、私を苦しめる。
私が綺麗だったら、奴の態度は違ってたのかしら・・・そんな余計な想像をしてしまう。
自虐モードに陥り、お前みたいのが女王様なんてと嘲笑されたような気さえしてくる。

もちろん、容姿の評価なんて主観的なものだと、充分にわかってはいるのよ。
更には、人を選ぶにおいて容姿の評価にどれ程の重きをおくかも、その人次第。
奴が私の外見に不服で、隷属するに値なしと敢えて無礼な態度をとったのだとしても、
それは責められたことではないし、奴の評価だけで私が絶望する必要もないことも。

・・・・・。

ただ今回の場合、M魚がS女に対面する時の、型どおりであれ期待される礼儀や、
奴にあっては、事前のメールで私に向けた恭しい態度や電話中に保っていた丁寧さが、
実際に面会した途端いきなり失われたものだから、やはりダメージは大きかったのだ。
「そんなにワタシは酷い出来なのか」と疑わざるを得ず。当然のこと、辛かった。

そして、この時抱えた鬱屈は、容姿のコンプレックスを刺激したにとどまらず、
これも私が潜在的に抱えている、S女であることの劣等感へと進んでしまった(痛)
あぁそうなんだ。女がSと表明することで人様から向けられる蔑みのようなもの。
単なる被害妄想かもしれないが、M魚にさえも、それを感じることがあるんだね。
この齢にして初体験 #3
つまり奴は、携帯鳴らしてそれに出ようとした女、を目印にして私を視認したワケだ。
このことだけでムッとしてしまう私だが、まぁそれもいい。私もやることあるしさ。
けど、それならそれで、歩み寄る間になぜ煙草を始末できない?嗚呼、理解できない。
更には、煙草を咥えたままの唇が言葉を発しようとうごめき始めたのだ。うわぁぁぁ!

遂に私は目を背けてしまった。いや、咥え煙草を見た瞬間から半身に構えてしまってた。
当然、私の耳も奴が喋る音を聞きはしない。本当に聞こえないのよ。体が受け付けない感じ。
奴に正対出来ないまま、目の端で気配を探る。奴の唇の端に乗る煙草の行方が気掛かりだ。
そして、ようやく煙草が手に持ちかえられ安堵するも、未だ消される様子がない(!)

何だかいたたまれないような心持ちになり、奴に目線を戻すことなく歩き出した。
流石に無言でそうするのは憚られて、「お茶飲みましょう」と言い捨ててはみた。
果たして、その言葉が奴に届いたのかどうかはわかない。けど、奴はついてくる。
しかし、その右手、親指と人差し指の間にちびた煙草が摘まれている。あぁもう・・・!

とにかく、この不快な状況から脱したい。その一心で虚空を睨んで歩を進める。
と、またも奴が何やら喋りかけてくる。が、やっぱり聞こえない。意味が取れない。
仕方なく振り返ると、ひしゃげたフィルターを挟んだ指先が奴の耳の横で揺れていた。
再び打ちのめされた気分で、本当に本当に本当に嫌だったけど、奴の声に耳を傾けた。

そして届いた奴の言葉。「ボク、まだここに来たばっかなんですけど?」・・・ハァ?
いや、正確にはどうだったか自信がない。けど、私の耳にはそう聞こえたんだね。
次いで、私の脳はこう解釈した。「貴女とお茶飲むより、留まって他の人に釣られます」
あああ、ここに至り交渉決裂。少なくとも、私はそう断を下してしまったのだ。

・・・・・。

それでも、往生際の悪い私は潔いオチもつけられずに、付け足すように言ったものだ。
「アタシお便所に行きたいから、あそこの喫茶店に入るわ。よかったらいらしてね」
うぇーん、バカみたいだ、私。あんなに嫌な思いをしたんなら、すっぱり切れよ、自分。
結局奴はついてこず、私もその店には行かず、再び戻ると釣られ待ちをしてる奴がいた。

・・・・・。

さて、この始終を客観的に見たらどうだろう。

遠目に見れば、ナンパした中年男とそれをイナした中年女。美しくない風景だけど(笑)
そこまでの経緯を踏まえれば、ネットで知り合った男女が対面したらダメでしたってだけ。
M魚釣りに視点をおいてもなお、釣られたくない女に釣られなくたっていいワケで。
あぁなのになのに、何故私はこんなに悔しくって腹立たしい思いに苛まれるのか。

やーっぱね、咥え煙草よ。全ての成り行きに納得しても、その一点だけが飲み込めない。
というか、不如意に終わった恨みをその一点に集約してしまってる感もあるな(笑
でもね、あれがなければ、私は行儀良く奴に対応したはずなんだ。結果はどうあれね。
あぁだから、思わぬ初体験に面食らって、みっともない真似した自分にも凹んだワケ。

・・・・・。

けど、どうなんだ?誰が悪いとは言わないけど、私の感覚ってオカシイのかしら?
事件は決着したものの、未だぐずぐずとした思いをひきずる。以下、次号。
この齢にして初体験 #2
その電話の初っ端、まさに奴の第一声を聞くや、直感は私に告げたのだ。コイツはダメだ!
それを圧して話を続けるも、次第に違和感が募り、奴への期待はしゅるしゅると萎む。
徒労感に鼻白みながらもしかし、この期に及んで奴との約束を反古にも出来ない。
ま、釣り糸を垂れてる間の退屈しのぎ位にはなるか。そんな気持ちで電話を置いた。

この時、私が奴に感じてしまった違和感、更に言えば嫌悪感のようなもの。
それは、隷属したがってるはずの奴の態度というか雰囲気が、どこか尊大だったこと。
いや、いくら隷属嗜好だからって誰彼に謙った物言いをする必要はないと思うのよ。
けれど、私との対面は奴の希望が叶うかも知れない機会なのにさ。変でしょう。

ま、私も自分勝手に期待しすぎたのだと思う。欲深な私の悪い癖だ。
チャットやメールで受け取った、いかにもな恭しい言葉に身勝手な像を結んでた。
それで、私の耳も期待したのね。経験上想像される奴隷らしい慎ましやかな声音や口調を。
ところが奴の口開けは、目下の女に投げられる中年オヤジのそれだったのだ(!)

もちろん、いきなりタメ口なんてことはなくて、言葉自体は常識の範囲で丁寧だった。
しかし、言外に伝わる気配から厭らしい自信が垣間見えて、とても不快な気持ちになった。
そんな気分だったものだから、私の応答も自然、無礼なものになっていたことだろう。
それが、あの驚くべき忌まわしい対面を招いたのかもね。因果応報か?(笑)

・・・・・。

当日。○時には行きますと言った奴だったが、その時刻になっても電話は鳴らない。
私は既に会場に着いていたが、奴との待ち合わせだけが目的じゃないのが救いだ。
それでも、○時と言われれば待ってしまうものだ。もはや、さほどの興味がなくなってても。
バックレたか?苦々しい思いで先の電話の始終を反芻しながら、自身をなだめにかかる。

と、予定を半時ほど過ぎて電話が鳴った。名前を名乗るも、すみませんの一言もない。
途端、なんだかとても馬鹿馬鹿しくなって、投げやりな感じで応答してしまった。
その電話が一旦切れて、また間が空く。奴は本当に来るつもりなのか?なんか疑わしい。
さっきとは違う種類の苛立ちに駆られ、しびれを切らした感でコールバック。

すると、私を捜してはいるらしい。奴の応答。「えーどこかなー?どこどこー?」
苛々と居場所を説明したが、次第にその為に電話代を払うのが惜しくなって通話を切った。
会いたいなら、てめぇから掛けてこい。正直そんな気持ち。もうどうでもいいや。
果たして、奴の番号が再び着信する。が、応答する直前にコールが止んだ。

電話を畳んで顔を上げると、目の前に奴がいた。いや、奴らしき中年男が。
ダークスーツに暗色のワイシャツ、派手なネクタイ。でかいアタッシェ。うわわわわ。
自称通りいかにも事業を営んでいる風の押し出しの強そうな男だが、ま、それはいい。
それはいいけど、緊張感なくニヤけた口元に咥えタバコ(!)うぇぇ。絶句してしまった。

・・・・・。

あぁもう、思い出すだに腹立たしい。生まれてこのかた、あんな目に遭ったのは初めてだ。
テレクラで散々遊んで、当然失礼な男にも沢山会った。手痛い経験も回を重ねた。
でもねでもねでもね、あんな、街場で女を買うみたく失礼な態度をとられたことはない。
ましてや、奴はM魚だ。・・・あー違う。そういう問題じゃない。人としてどうなのよ?

・・・・・。

回想しつつ書いてたら、なんだかエキサイトしちゃって、気持ちが言葉にまとまらない。
くそー、稿を改めて続きを書くことにしよう。本日はこれまで。悪しからず、ご免。
この齢にして初体験 #1
旧年暮れ、待望の「M魚釣り大会」が開催された。東京では3度目。
その前年、釣ったはずの魚に見事に(それもその日のうちに!)フられたワタクシ。
コトシコソハコトシコソハと呪文のように唱えつつ、期日が来るのを待ち侘びた。
いや、ただ漫然と待っていたワケではない。過去連続の不調をそそぐべく策を練る。

そして、浅薄にして姑息ながらも、ある考えに辿り着く。
仕掛けをしとけばいいのよ、ホッホッホッ。予め餌を撒いておくのだ。先手必勝の理。
かくして、ここ暫く足が遠のいていた2ショに出向き、極私的営業活動に励むことにする。
でもね、幾ら私が坊主続きとはいえ、雑魚には用がないのよ。上物、カモーン!

がしかしというか、やはりというか、2ショに足繁く通うも成果は得られず。
まぁ当然と言えば当然だ。だって、過去に私が2ショ漁を諦めたのは、この現状による。
それでも縁があれば出物はあるはずだし、少々難ありでも釣ってダメならリリースすればいいし。
結果に窮した釣り人の目は日を追う毎に濁り、都合のいい期待にしがみつく。

・・・・・。

期日まであと数日というその日、仰々しい待機メッセージを掲げた魚を見かけた。
平時なら、絶対そんな奴に食指は動かないだろうに、焦る気持ちが入室ボタンを押す。
と、挨拶を交わすやいなや、魚はとうとうと語り出した。こちらの質疑などお構いなしだ。
うぇぇシマッタ。こいつは忌むべきお喋りな魚。頭の隅に危険信号が点滅し始める。

あぁなのに私ったら、奴につき合っちゃったのよね。目先の欲が直感を退けた。
次々に積み上げられるログにうんざりしつつも、突っ込むべき隙を探してしまう。
言葉はバカ丁寧だが、自分勝手な性向が滲み出る。わかりやすい奴。すぐにアタリがつく。
奴の告白を遮って、突っ込み開始。怒濤のキーパンチ。どんな奴でも落とす時は楽しい。

果たして、奴はさっきまでの勢いを潜め、しおしおとしたレスを返し始めた。
その事実だけで調子に乗る私は、既に最初の直感を忘れ去って、奴にほだされる。
「貴女に諭して頂いて、凝り固まっていた心が溶けました。本当に涙が出ています・・・」
ベテランの中年M魚はそんなあざとい台詞を吐き、お調子者の私はあっさり惑わされた。

翌朝には早々と奴から麗しいメールが届き、私の気分は更に盛り上がったものだ。
数時間後には所期通りに釣り会場でのアポが成立し、電話番号を交換しあった。
「今お掛けしてもいいですか?」「掛けたいんだったらどうぞ」なんてやり取りがあって電話が鳴る。
流石にちょっとドキドキして受話器を取った途端、再び直感が警告を発した。・・・え?

・・・・・。

けれど、またも釣果に焦る欲が暴走し、直感をぶっちぎってしまった。嗚呼!
そうして当日、この齢にしてコンナノハジメテな経験を招いてしまうのだ。ノォォ〜!!
メディカル・パーティー
時刻は深夜零時。雑踏を僅かに避けて建つこのビルは、怖じける程の静寂に沈む。
エントランスの冷たい灯りをくぐり、エレベータに乗り込む。運転音だけが響く。
扉が開いた途端、流れ込むクレゾール臭。場に似つかわしくない空気感に戸惑う。
清潔を装う匂いの中、指定された部屋を探す。表札のない扉の数字だけが頼りだ。

最初に訪れた部屋で、支度を整える。既に着替え始めた女達の嬌声がかしましい。
黒い普段着を脱ぎ捨てて、純白のコスチュームを纏う。長い髪をひっつめに結う。
その特徴的な帽子を頂に乗せた瞬間、見知った女達の顔が、別人のそれに変わる。
いや寧ろ、そのナリのせいで、いつか会った誰かのような錯覚を覚えてしまった。

女たちの劇的な変貌に舌を巻きながら、私もまた、非日常への身支度を始める。
下着は、いつもの黒を敢えて選ばない。肌に馴染む淡いオレンジ。新鮮な気分だ。
白い網タイツで奇をてらう。だって、手持ちの白い靴はまるで清楚じゃないから。
スリップはつけず、そのまま白衣を羽織る。胸に名札を、首から聴診器を下げる。

・・・・・。

次に訪れた部屋には、診察を待ち望む男たちが早々と集う。鬱陶しい位の熱気だ。
期待と不安が彼らの口をつぐませて、エナジーだけが静かに沸々とたぎっている。
そして、受付で渡された問診票を食い入る様に眺めては、慎重にペンを走らせる。
彼らの間を縫って、看護婦達が診療の準備に勤しむ。ナースシューズの音が響く。

宴は粛々と進む。各々が各々の役割になりきって、余計なお喋りをしないせいだ。
皆の仕事の邪魔にならぬよう、所在なく他の部屋を見て回る。ドア越しに2部屋。
そこは、本来なら照明を落とし、阿鼻叫喚のプレイが繰り広げられている場所だ。
しかし、今宵は隅々まで明るい光が満ち、真っ白なパーテーションが目に眩しい。

二畳ほどずつに区切られた白い小部屋にはそれぞれ、それらしい器具が配されて、
業病に冒された男たちを待ち受ける。彼らはここで、相応の検査を受ける予定だ。
その後彼らが向かうもう一部屋は、更に大まかに区切られて、ベッドまである(!
傍らのワゴンには治療にふさわしい道具が並べられ、禍々しい風景を作っている。

・・・・・。

「服を脱いでお待ち下さい」受付のナースが声を放った途端、場がざわめき始めた。
こそこそと、だが皆が一斉に脱衣するさまは、まるで捕虜の強制収容所みたいだ。
きびきびと統率するナースの声に促されて、彼らは行儀良く並ぶ。手には問診票。
行列の先、白い仕切の向こうから名を呼ばれるのを待つ。無言で色めく裸体たち。

その光景を見届けて、私は仕切の内側へ。いかめしい机の脇、パイプ椅子に座る。
肘掛けのついた尊大な椅子では、お医者様が脚を組む。妖しい黒のストッキング。
私達は、互いの嘘臭い恰好に笑いをかみ殺しながら、しかつめらしく息を整える。
そして咳払いひとつ。それを合図に、係りのナースが患者を呼ぶ。さぁ始めよう。

一人目の患者がおずおずと仕切をくぐり、促されて、ちょこんと丸椅子にとまる。
「どうされました?」いつもは患者側で聞く台詞をなぞる医者。肩が笑っている。
かたや患者は、緊張のあまり表情をなくし、問診票を持つ手だけが異様に震える。
カルテを用意しながら、私も可笑しくて仕方ない。三者三様に悶絶する狭い空間。

・・・・・。

けど、笑っちゃいけない。これは、オトナの大真面目なお医者さんごっこなのダ。
そう、今宵の女たちはエセ医者やエセナースになりきって、お病気を治すのよっ!
マゾという不治の病を患った可哀想な患者さんたちに、愛の治療を施しましょう。
診療時間は夜明けまで。まだ夜は始まったばかり。楽しいお仕事はまだまだ続く。
怪魚ちゃっぴー
ワタクシが釣り糸を垂れるM魚漁場は、実際問題として大変に狭い。

なので、手応えよろしく「をっ掛かった♪」と思っても、
実は以前に釣り上げたものの気に入らず、リリースした魚であったりする。
しかも奴らは釣りの好適ポイントを心得ていて、年中回遊しているのだ。
そして厄介なことに、長年漁に出ていると、
その回遊魚たちと何やら因縁めいたものまで生まれてしまう。

・・・・・。

いつだかに、激しく発情して久しぶりに投網漁に出た折のこと。
投網をかけるなど、釣り人としては些か手荒な手法だけれど、
爆発した煩悩は止めようもなく。

「どれ、旨そうな魚は掛かったかな?」と気忙しく物色中、またも、
奴が網の中にいるのを発見した。奴の名は『ちゃっぴー(仮名)』

愛称をつけちゃう程にお馴染みの魚なのだ。何てことだ!!
何年ぶりだい?まだ生息してたのか?ををーもう40を越えたのか?
女房はどうした?離婚したのか?まだ会社は潰れていないのか?
どーでもいい魚のはずなのに、妙な愛着がわく。まさに怪魚。

ちゃっぴーとは稀代の因縁、SMに足を踏み入れる前から面識がある。
十何年も前のこと、ノーマルテレクラで知り合って、派手な店で飯を喰った。
さすがに寝るには至らなかったが、そのあまりの怪しさが記憶に刻まれた。
数年後、SM絡みの女友達の口から、奴の本名が飛び出し驚いた。
また数年後、SMテレコミでまたも奴に遭遇した。

嗚呼ちゃっぴー、アタシはちっともキミの事が好きじゃない。
なのに、奴の怪しいMオーラがワタクシに返信メールをしたためさせる。
「結構な因縁ね、またいつかどこかであうでしょう・・・」
しばらくして、返信メールが届く。
「そうそのとおりボクはちゃっぴーです。デートしましょう!」


こんな奴だ。
電話でプレイ #4
『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』



「センセイ」・・・初めて彼にこう呼びかけた時のことを、今でもよく憶えている。
やはり、こんな風に電話で責めて、予定通りに彼は興奮して、喘いで、絶叫して。
私も熱に浮かされたようになって、それなのに、脳味噌がバタバタと回転してて。
そうそう、こういう時って、正に思考回路が音を立てて駆動してる気がするの(笑

しかし、タガが外れた彼の貪欲は容赦がない。私の回路がショートしそうになる。
その時、不意に閃いてしまったのだ。意識の中に、「センセイ」という語彙が灯る。
けれど、その閃きに狼狽えもした。その呼称は禁句だ。彼の聖域を侵してしまう。
瞬時に凄い速度で葛藤が走る。とどめを刺すか、やり過ごすか。緊張で汗が出る。

・・・・・。

彼は、「センセイ」と呼ばれる職にあった。老いも若きもそう奉り、期待する位置。
聞き及ぶ彼の日常は苛烈だ。世襲としがらみが生む期待の中で、激務に追われる。
けれど、彼から愚痴めいた話は出てこない。明るく希望に満ちた話題に終始した。
そのステイタスを鼻にかけることも一切しない。謙虚で誠実な「センセイ」だった。

彼にとって、「センセイ」であることは存在意義を支える誇りだったのだと思う。
もちろん、それをひけらかしはしないけど、その職にある自信が彼を支えていた。
だから、彼の「センセイ」である部分を侵すことは、彼そのものを侵すことになる。
例え恋人であっても、SMの関係であっても、そこに触れてはならないはずだった。

・・・・・。

しかし結局、私は禁を犯すことを決断する。駆り立てられるように直感に従った。
それは、壊したがる私の欲望からか、壊されたがる彼の欲望からか。わからない。
恐らくは、機が熟したってことなんだろう。私達はその目的で結託したのだから。
意を決してトドメの一言を放った。自らの選択が生む結果に怯え、鳥肌が立った。



『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』

「・・・ひぃぃっっ・・・」

『センセイも、馬鹿で淫乱で(中略)なんでしょう?ね?センセイ?』

「・・・あぁっ・・あぁぁぁ・・・」

『センセイってマゾの・・(笑)・・マゾの変態なんでしょう?センセイ?』

「・・・あ、あぁん・・や、やめてっ・・・」

『やめてって仰っても、そうなんでしょ?(笑)・・マゾで変態なセンセイ?(高笑)』

「・・・ひぃぃ・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」



受話器の向こうで、ゴメンナサイがリフレインする。イカれたレコードみたいに。
既に、言葉は言葉たる意味を持たず、そのリズムだけで彼の自我を飛ばしていく。
彼が壊れる音を聞きながら、私は暫し呆然となり。やがて満ちる安堵に息をつく。
気の済むまで飛んで、帰ってらっしゃい。段々と安らぐ彼の息遣いに耳を傾ける。



『ん・・・大丈夫?』

「・・・うん・・・ヨカッタ・・・ありがとう」



激しいプレイを終えた私達に穏やかな会話が戻り、おやすみの挨拶を交わしあう。
電話でプレイ #3
「・・・あーーーっ、やめてやめてやめてやめてぇーッ・・(絶叫)」



妻と浮気相手に自分の不能をなじられる物語に、彼は激しく反応し、叫び続ける。
ヤメテと言われて、私が止めるはずもなく。ヤメテと身悶える声に更に煽られる。
彼もまた、ヤメテと訴えつつ、止めて欲しい訳でなく。更なる責めを求め続ける。
絶叫の間に間にねじ込むように、彼を貶める語句を放ちつづける。凄い緊迫感。


やがて、絶叫尽きたかのように彼に静寂が訪れ、様相を一転させた彼の声が続く。



「・・・オ・・オマエなんかに、ボクの気持ちがわかってたまるかっっ!」

『あはは、わかんないわよ、そんなもん 』

「・・・そうだよな・・・オマエはオンナだからな・・くくっ・・」

『えぇそうよ。女だわ・・・だから?』

「・・・くくく・・・オンナは馬鹿なんだよっっ・・・あはははは・・・」

『うんそうね。女は馬鹿かもしんないね 』

「・・・そうだよっ!オンナなんて、みんな馬鹿で淫乱なんだよっっ・・・(高笑)」

『あはは、淫乱ねぇ・・・確かに、女は馬鹿で淫乱だわ 』

「・・・いつでも、男のちんこハメたがってんだろっっ・・・はぁはぁ・・」

『そうよ。女なんて、馬鹿で淫乱でいつでも男のちんこハメたがってるわ 』



以下、延々とこうした応酬を重ねる。彼の罵詈雑言を、正確になぞって返すのだ。
とは言え、機械的に答えてはダメだ。電話であっても、気は伝わってしまうから。
傷口から噴き出す血を拭うように、丁寧に手当する。痛みをそのまま受け止める。
実際罵られるごと、体が痛くなったっけ。言葉って、それ程の力を持ってるのね。


息詰まるような時間が流れ、彼の血も出尽くしたのか、徐々に言葉が間遠になる。



『もう終わり?(笑)』

「・・・うっ・・・」

『わかってるのよ(笑)』

「・・・な、なにが?・・・」

『今まで、アタシに言ってくれたこと、ホントはアナタのことだって』

「・・・ひっっ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿だ・・・(くすくす)』

「・・・あぁぁ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿で淫乱だ・・・(くすくすくす)』

「・・・あっ・・あぁっ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿で淫乱で女とヤリたがってる・・・(高笑)』

「・・・や・・や、やめてっ・・・」



さっきと同じ時間をかけて、彼が望む痛みを投げ返す。彼は望み通り壊れていく。
壊されたがる者を壊す事に躊躇はない。思う存分壊れてしまえ。私に激情が走る。
彼は再び狂ったように喘ぎ始め、煽られる私に熱が籠もる。境界が薄らいでいく。
ただ、頭だけは恐ろしい程クリアで、冷静に状況を見ている。我ながら不思議だ。


そして、とどめを刺す時がやってくる。受話器を持つ手が汗ばみ、全身が震える。



『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』
ノケモノ萌え
以前、出張ホストを呼んだことがある。女に性感マッサージをしてくれるアレだ。
当時プレイパートナーだったM魚を交えて、ちょいと変則の3Pをしようと企んだのね。
っても、男二人並べて交互に鞭でビシビシなんて、ベタなSM行為じゃなくって(笑
私がM魚に申し渡したのは、ただ見てて頂戴とだけ。出来れば、口も出さないで。

驚きながらも彼は了承した。てのも、そん時の彼は、端から分が悪かったのよね。
それ以前に何度かアポを反故にして、埋め合わせに何デモシマスと宣言したのヨ。
アァソウ、何デモスルノネ?とばかりに仕組んだのがこの3Pで、全て私の思惑(笑
彼と私は嗜好の相性がよかったから、このシチュエーションも試したかったんだ。

私の描いた絵はこうだ。お仕置きを理由に、一切の手出し口出しを封じられる男。
もぅ、これだけで私的には結構クルんだけど、そこへ男よりも出来のイイ男登場。
本当なら自分が関わりたい女(=私)が、まさに眼前で、第三者との性技に耽る。
しかも彼は、私のソコに未だ触れた事がない。彼は思惑通りの心境に陥るかしら?

・・・・・。

先の記事にちらと書いたが、私は、自分を欲する男をノケモノにするのが好きだ。
彼の欲望を知りながら、他の男とヤる。しかも隠し立てなく。寧ろあからさまに。
その事で彼が味わうだろう哀しみや切なさを思うと、肌がそそげたってくるのよ。
そして、まさに彼のため、更なる哀しみや絶望を呼ばんと、私は激しく行為する。

たぶん、私にとって、性対象たる男を裏切る行為は背徳の悦びを生むのだと思う。
今更の言い訳だけど、私には人を裏切って喜ぶような性向はない。寧ろ、苦手だ。
もしかすると、単に、底意地の悪さを隠しているだけなのかもしれないけどネ(笑
ま、真相はどうあれ、「裏切り」は、私の性衝動のキーワードになっているらしい。

と同時に、裏切られた男が哀しみや絶望を抱いてなお、欲望し続けることを望む。
だから、やっぱ、この辺に感応できるマゾヒズムが必要なんだよね、男の側にも。
だって普通なら、哀しみと共にで怒りや諦めも生じて、関係自体が立ちゆかない。
でも、それは裏切る側の本意じゃないのヨ、勝手ながら。辛くても、欲情してよ。

・・・・・。

SM以前、初めてヤったノンケの3Pで、既に私は男をノケモノにしちゃったのね(笑
こん時は、もう一人の男と結託して、その彼を浴室に閉じこめたって成り行きで。
ベッドで共犯者とまぐわいながら、愉快で仕方ない。二人きりよりずっと萌えた。
浴室まで聞こえるように大きい声で喘ぐ。可哀想な男。もっと意地悪したかった。

「こういうの好きでしょ?」共犯の男が突き上げながら笑う。図星ヨ。腰で答える。
男とはもう何度もヤってたから、私がこの状況に反応するのを感じて面白がった。
「カレ、自分でヤってるかな?」「いや、キミとヤるために我慢してんじゃない?」
ケタケタ笑いながら昇ってく。体感を遙かに上回るハイな気分で絶頂する。快感。

男とワンラウンドした後、浴室の男を救出に行き、ようやく普通の3Pが始まった。
思った通り、気弱なアプローチしか出来ない男で、それはそれで面白くて笑えた。
だぁって、先の男に促されないと手を出せないの(笑。ま、それでも男の手が4本。
だから、確かに体感は倍増してヨカッタんだけど、興奮度はイマイチだったなぁ。

・・・・・。

さて、冒頭のM魚との変則3Pはどうなったか?長くなるので、この話はまた(笑)
電話でプレイ #2
『マゾの旦那なんて、浮気されて当然じゃないの?(高笑)』



念の為ここで注釈を入れると、私は、本心からこう思っているワケじゃないのね。
しかし、この台詞が彼を欲情させることを私は知ってる。だから言葉にしてやる。
彼は、妻を他人に寝取られる自分を性妄想として抱いてるの。ありがちなパタン。
私も、自分を欲望する男をノケモノにするのが大好き。なので、この設定に萌え。



『新婚旅行の初夜くらいはつき合ってアゲルわよ』

「・・・でも、いつかはヨソの男と浮気しちゃうんでしょう?」

『そうね・・・初夜を済ませて、アナタが寝たあとに・・・』

「・・・ひっっ・・・」

『相手はそうね・・・旅行先で引っかけようかな・・・』

「・・・そんなの、無理ダヨッ!ボクがずっと一緒だもの・・・」

『うふふ、そうかな?・・・ホントにそう思う?(くすくす)』

「・・・そんな・・・新婚旅行なのに・・・」

『もしかしたら、浮気相手も一緒に来てるかもしれない・・・隣の部屋に』

「・・・あぁぁ・・・」

『そいで、アタシたちが初夜を済ますのを待ってる・・・耳を澄ませて』

「・・・き・・聞かれてるの?」

『そう・・・アタシが本気でイってないのがバレちゃうね(笑)』

「・・・や、やめて・・・」

『あ、違うな・・・やっぱりそうかって笑ってるかもね、カレ・・・』

「・・・ど、どうして?・・・」

『だって、アタシ、カレに抱かれる度に、アナタのこと話してるもの(笑)』

「・・・ひっ・・・なんて?・・・」

『アタシの夫になる人、マゾで役立たずなのよって(高笑)』

「・・・あぁぁぁ・・・ひどい・・・」

『触るのも舐めるのも下手で、挿れられてもちっともよくなくって』

「・・・あぁっ・・ああぁぅ・・・」

『あんなチンコなら、ないほうがマシよねって(高笑)』

「・・・あーーーっ、やめてやめてやめてやめて・・(絶叫)」

『あーはっはっは・・・(高笑続く)』



実際は、もっと微に入り細に入りストーリーを膨らませてくのね。偏執狂的に(笑
だって、ディテールを増すごとに、彼の息遣いが荒くなり、ハマってくんだもの。
と同時に、私も確実に高まっていく。何かに憑かれたように、言葉が次々溢れる。
勿論、溢れるのは言葉だけじゃない。股間が頼りなくぬかるんで、切なくなるワ。

・・・・・。

実は今も、このテキストを書いたせいで、すっかり濡れちゃってたり。やぁね(笑
電話でプレイ #1
時折話題に出る「かつての恋人」とは遠距離恋愛で、毎晩のように電話で話した。
巷の恋人達のように、時に話は艶めかしい流れを辿り、互いの心と体を濡らした。
しかし、彼はこてこてのマゾヒストだ(笑。まともなエッチ会話じゃ満足出来ない。
彼のマゾヒズムは、私のサディズムを煽る。結果、とことんつき合ってしまった。

ただ、互いに自慰しながら会話することは殆どしなかった。体は反応してたけど。
それでも、互いに満ち足りて、会話を終えた。すっかりイったような感覚だった。
気分だけの問題じゃなくて、実際酷く疲労して、肉体的にも虚脱してしまう感じ。
寧ろ、体を介在しないせいで、より濃密なセッションが出来たのだと思っている。

昨日記事した「言葉責め」のいちバリエとして、当時の会話を再構成してみよう。
たぶん、大凡の方には理解不能だろうと思うけど(笑。悪しからず、ごめんなさい。
ちなみに彼は独身。私と同年。旧家の子息。資格を得て、家業を継いだ身の上だ。
人格に優れ、周囲の期待と信頼を集める。容姿にも恵まれ、非の打ち所のない男。



「・・・ねぇ、なんで、ボク、結婚できないのかしら?」

『さぁ、なんでかしらね?(笑)』

「・・・どうして、そこで笑うの?」

『結婚したくないんだと思ってた(笑)』

「・・・そんなことないよっ!普通に結婚したいと思ってる」

『じゃ、普通に結婚すれば?』

「・・・できない・・・」

『ん、どうして?』

「・・・だって、キミがボクを変にするからっ・・・!」

『あら、アタシがアナタを変にしたの?』

「・・・そうだよっ ボクが結婚できないのはキミのせいだっ」

『そっか、アタシが悪いのね。じゃどうすればいい?』

「・・・責任とってよっ!」

『うーん、じゃ、アナタと結婚してもいいけど、だいじょうぶ?』

「・・・なにが?」

『アタシを満足させられるの?・・・例えば、セックスで(笑)』

「・・・うぅぅ」

『女をイかせたことなんてないでしょう?(笑)』

「・・・うぅ・・・あるよッ」

『ホント?女がイったふりしてただけじゃないの?』

「・・・あぁぁ・・・」

『アナタのテクニックでイク女なんているのかしら?』

「・・・あぁぁぁ・・・」

『それじゃアナタと結婚しても、アタシ、外に男が要るわね?(笑)』

「・・・ひどい・・・」

『あら、酷いのはどっち?女をイかせられない夫のほうじゃないの?』

「・・・・・」

『マゾの旦那なんて、浮気されて当然じゃないの?(高笑)』



さて、この辺で、彼は既に一山迎えているのよね。ワカルカナ(笑)
ココロ 〜シテない理由〜
「ココロ」と表題して、
SM行為や関係に大きく影響する心理や気持ちのあれこれを綴ってきた。
特にSMに限らずとも、ココロと行為は密接に結びついている。
同じ行為をなぞっても、相手が違えばココロが変容し、行為の結果も当然違う。
相手が同一でも、その時のココロ次第で結果が変わり、それがまたココロに影響してしまう。

だから、どんな関係であれ人と相対する時は、相手のココロに注意を払うことが肝要だ。
しかし、SM行為を介して親密さを図る場合、相手のココロを読み解く作業は俄然複雑になる。
言動に現れるココロの裏を読む必要に迫られたりする。
てのも、SM行為って、相手のココロを弄びつつ進めてく側面があるからサ。
あぁ厄介ダ。

ま、その厄介さも込みでSM行為が好きなんだから、ヨワッタ性癖だね(笑。
ココロを弄ばれるを嗜好するM側も然り。
ただ、この心理的な駆け引きは、相互のココロの状態が正常でないと、まず良い結果を生まない。
本当にココロを傷つけてしまう危険性をも孕む。
なので、互いのココロの状態には、相当気を配ってるつもりだ。

・・・・・。

ところが私は、基本的に人の心理に鈍いほうなんだよね。
この鈍さは、私の弱点のひとつだ。
場の空気を今ひとつ正確に掴めずに振る舞って、後になって慌てた前科は数知れず(笑。
だから、S側にある自体、不適格なのかもしれないと反省することは多いよ。
鈍さを補うべく、充分考えるようにしてるけど、おっつかないや。

もっとも、自分本位の勘や思考よりも、M側の実情を明かしてもらうのが早道だと知っている。
いや、彼らが、「S側は何もかもお見通し」的な夢想を抱く気持ちはわかるヨ。
けど、私はエスパーじゃない。
それどころか、むしろ鈍いほうなんだから言ってよねと開き直ってもいる。
しかし、なかなか思惑通りにはいかない(笑。

相手が、「従」の位置にある奴ならば尚更だ。
セオリに従えば、主である私が「言ってよね」と命じたら、奴は迷わず自身の心情を吐露するはずだ。
がっ、そうは問屋が卸さないんだナ(笑。
コンナこと言ったら、主の心を煩わせるかも…だの、
従の分際でモノ言うべきでない…だの、自分自身に枷を填めるのに忙しいらしい(笑

・・・・・。

さてここで、話の発端となった、半年近くシテない身近な奴隷について。
この長きに亘り、奴のココロはあまり調子がよくなかった。
不調を招く様々な原因があったろうが、全て私とつきあう中で生じたもののはずだ。
ところが、「従」の立場に拘る奴は、その各々をクリアしないままに、身の内に鬱積させてしまったんだね。

もちろん、奴としては、「従」として行儀良く、
飲み込んだつもり、自浄したつもりになっていたのだと思う。
そう、あくまで”つもり”。
だって、この鈍い私が、雰囲気でわかってしまう程の鬱陶しさを醸し出していたんだもの(笑。
これじゃあ、流石の私もヤル気になれない。
でもま、せめて身の回りの世話位を頼んでたワケだ。

ところが、鬱陶しい「気」というのは、ことごとく影響を及ぼすんだなと思い知ることになる。
肩を揉んでもらっても、まるでヨクナイ。
それどころか、暫く経つと却って調子が悪くなる(笑。
まんこを弄らせても、いつものようにイケなくて、くたびれる。
コレってある意味、奴と私は波長が合いやすいってことなんだけどサ。

・・・・・。

てな成り行きで、奴のココロに振り回されてる私が、SM行為に及べるはずもなく。
ただただ、奴の復調を待つばかり。
つまり、これがシテない理由の詳細。お粗末。
ココロ 〜本当のS・本当のM〜
「自分は、本当にMなんでしょうか?」
身近な奴隷と付き合い始めて一年近く経った頃に、奴が訊いた。
ナニをいまさら…と噴き出しそうになりながら、その質問の意を質す。
と、どうやら、奴が私と交際する上で折々に抱く、或いは感じ続けている不安のひとつらしい。
そして、そう自問する根拠を聞くだに、また笑ってしまった。

いや、笑ってしまったけれど、奴がその命題にぶち当たってしまったこと自体は理解できる。
というか、私自身、「犬」の主だった頃に、そう自問した時期があるからね。
私の場合はこうだ。「私ナンカが”主”になって、彼はいいんだろうか?」
あぁ、今となれば、やっぱり呆れて笑っちゃう。だけど、当時は深刻に悩んだのヨ。

つまり、艱難辛苦を乗り越えてMとして求道する「犬」に対して、引け目というか、負い目を感じてたのね。
成り行きで「主」に奉られただけの私は、自分のS性に確信がなかった。
巷で囁かれる「本当のS」なんて言葉に怯えてた。
殊に「犬」は「Mの鑑」と目されてたから、自分は彼にふさわしい主だろうかと常に不安だった。

・・・・・。

当たり前の話だが、性癖と称される性嗜好の傾向や程度は、各人で違う。
ずばり、個性といってもいいだろう。だから、人と比べるようなもんじゃない。
ましてや、それらを測る普遍的な尺度は存在しないはずだ。
なのに、S/M性が高いの低いのと比較しあったり、
「本当の」SだMだと絶対評価めいた言葉が使われたりする。

確かに、歴然とした個人差として、性癖を自覚してから実践に至るまでの経験の差のようなものはある。
が、その差も、あるからどーした?程度のもんだと思うヨ。

・・・っと、今だからそう思えるのかもね。
やっぱ私も、ある時期までは、経験値のあるなしで人を測ってた節があるナ。
経験のない自分は、まだまだだなァとかサ(笑

まぁ、たかが性癖であっても、
自分のありようを見つめる上で、自分と他者を比較してしまうのは仕方ないことだと思う。
けれど、その目的は、他者基準で自分にランクをつけることじゃなく、
自分の願望を実現する適正な他者と出会うためだろう。
とすれば、相手を得てから、自分の相対位置を疑うのは、意味がないかもね(笑

・・・・・。

さて、冒頭の奴の質問、ないしは不安について。
私の回答は、「さぁどうかしら?」だった。冷たいようだが、ホントにそうなんだもの。
逐一の具体的な事象には、せめてもの見解を示したが、奴が「本当にMかどうか」は、今んとこ不明だ。
というか、たぶん、この先もはっきりとした答えは出ないと思うよ。
出す気もないや(笑

答えがあるとすれば、私達が関係してることそのものだろう。
だって私は、奴に、M性を期待して交際を始めたのだから。
もちろん、付き合いを重ねる中で、認識を新たにすることもあると思う。お互いにね。
でも、それらに納得しつつ、相互に興味を抱ける対象であれば、充分なんじゃない?
S性とかM性とか問うべくもなく。

ま、結論としては、私がよければそれでいいのヨ、OK?
私の判断について、奴が取り越し苦労をする必要はないのダ。考えるだけ、エナジーの無駄だワ(笑。
かつて、自分のS性について散々悩み、自家中毒を起こしては消耗し、
「犬」が「犬」である以上、「主」でいていいんだと諦めた私が言うんだから、
たぶん間違いない(笑

・・・・・。

もっとも、キミが「自分は本当のMじゃないから、奴隷やめます」なんて申し出たらば、
キミのM性とやらをあげつらって、その迷いを蹴散らしてあげようネ(笑
ココロ 〜本当の自分〜
「あの頃の自分って、相当作ってたからね」
ちょっとバツの悪そうな表情で、元「犬」は回想する。
「だから、今更どういう態度を取ればいいかワカラナイ」それが、彼の断る理由。
近々、十年前に彼が主宰していたSM同好会の面々が集まる。
私を経由して、当然彼にも声がかかった。
いや、彼の出席をこそ望む向きが大きいかもしれない。

「当時は作ってる気はなかったんだケド」
Mの鑑と謳われた彼を、人は今でも懐かしむ。
あぁそうだね。彼は、femdomに憧れる者にとって理想的な「従」を体現していた。
謙虚で礼儀正しい、女性崇拝者。我を捨てて、相手に尽くす。
更には、その奉仕的な姿勢のままに会の運営に力を注ぎ、結果人格優れたMとして慕われた。

身近な私には、時折愚痴や泣き言も漏らしたけれど、彼は「Mとしての自分」に存在意義を感じていたのだと思う。
他者からそう認知される安堵もあったか。
だから、私とのDS関係が破綻して以降も、会を続けていられたのかな。
勿論、私事をさておいての責任感に駆られた部分もあったろうが、彼は望んでMの顔を持ち続けた。

・・・・・。

無論、彼がMを自覚したのは、唯一の女性に隷属したい願望があったゆえだ。
彼の性愛は、そういう形でのみ実現される。性癖。
それは世間に受容され難い形で、求めれば困難を伴う。
しかし求めてしまう。そして彷徨う。
アテのない夢を追い続けるためには、「Mとしての自分」を殊更に意識する必要があったのかもしれないね。

私と出会い、夢を手にしてもなお、彼は「Mとしての自分」に拘り続けた。
これが「本当の自分」なのだと絶えず語った。
私が、Mである彼を愛しつつも襲われた、「Mである彼は、幻なんじゃないか?」という不安を拭うために。
つまり、漸く掴んだ夢を損なわないために。
或いは、今得ている幸福の正当性を自他に確認するように。

私にしても、彼が「本当の自分」を主張する度に、自分の存在意義を確認できて安心した。
だから、関係の解消という結果は、私の存在意義まで奪ったものだ。
ただ、破綻以降も彼が会を続けてくれたのが、せめてもの救いになったよ。
だって、そこにあれば、彼は「本当の自分」、Mとしての存在意義を感じていられるんだもの。

・・・・・。

当時の彼のように、SMを嗜好する自分を「本当の自分」だと規定する人は多い。
勿論どなたも、ご自身の多面性を踏まえた上で、敢えて区別するのだと思う。
その人にとって必須な一面ってことなんだろうね。
その一面でこそ、幸せを実感出来たり、予感したり。だから求めて止まない。
未だ得てないなら、尚更強く憧れるかな。

とすれば、彼の「本当の自分」はどうなってしまったのだろう。
あれ程拘っていた「Mとしての自分」なのに。
いや、今でも、彼はMを自認してるのよ。でも、それを特別な一面として奉らなくなった。
有り体に言えば、落ち着いちゃったってことか(笑。
「Mとしての」幸いと不幸を経験して、夢自体を諦めたんだと推測している。

夢が潰えてなければ、彼は依然として「本当の自分」を語ってたのかしら。
いや、彼の心底の想いはワカラナイ。
もしかすると、未だに「本当の自分」を抱いてるのかもしれない。
でも、少なくとも私にとっては、彼の全てが本当なんだけどナ。結果論にしてもサ(笑。
「犬」であった彼も、今共にある彼も。多分これからの彼も。

・・・・・。

んー、この辺、
私自身が「本当の自分」てな発想を持たないために、適当な解釈が出来てないような気がする。
いまいち釈然としないまま、この項続く。
ココロ 〜プレイと調教〜
いつだか、身近な奴隷相手に愚痴を垂れた。

「みっちりプレイしたいなぁ…」応えて奴が、
「お相手致します」と言うので、
「キミとはまだ出来ないよ」と返せば、戸惑う奴は無言となり、
「今シてるのは”調教”さ」と補足してやった。

極私的な解釈ながら、私の中で、プレイと調教は一線を画すのだ。
正にオタクな拘りだけど(笑

勿論、オタクの内輪でも、この辺りの解釈はまちまちだ。
SMクラブでの刹那の行為でも”調教”だったり、愛ある行為でも”プレイ”と呼ぶカップルもある。
ま、結局、当事者以外にはドウデモイイことなんだけどね(笑。
そして、ドウデモイイことをウダウダ考えたり、したり顔で語ったりするのが、
オタクたる由縁でもあると(笑

・・・・・。

さて、ここでイキナリ、SM行為を社交ダンスに喩えてみたい。
ナンカ、無理矢理な展開だけどサ(笑。
人ふたりが、リードする側とされる側に分かれて、カラダを使って陶酔するあたり似てるかな
と思ったから。
んー、いつもながらに胡散臭い展開だと自嘲しつつ、
案外ハマる比喩かもと、実はこの閃きが嬉しかったりもする(笑

そして、冒頭の不可解な会話を翻訳しよう。

「みっちり踊りたいなぁ…」
「お相手致します」
「キミとはまだ踊れないよ」
「今シてるのは”レッスン”さ」

つまり、私が楽しめる程のダンスの相手は、奴にはまだ務まらないということだ。
レッスンは、奴のレベルを基準に行われている。
この段階で、私は心底ダンスを楽しめない。

では、どうして、自らが楽しめないことをするのかと言えば、
そこに別の楽しみや将来への目論見があるからだ。損得で考えても、充分バランスがとれる程の。

私流の所作を教え込み、次第に上達する様を見る悦び。
やがては、私が充分に楽しめる相手とならしむ展望。
更なる理由として、この長丁場を支えるココロが存在する。

いや、ココロなしには、こんな面倒臭いコトしやしないとも言う(笑。
いくら教える楽しみがあるからって、ダンスの教授を請う誰彼につき合う動機はない。
やはり、コイツを育てたいという特別な思い入れや愛情がなきゃさ。
当然、相手にも呼応するココロを望むし。
ま、この辺が、私と奴隷の関係性の一面を為してるワケだ。

・・・・・。

他方、「みっちり踊りたいなぁ」という自分本位の欲求も捨てがたい。
ダンス教師だって、心置きなく踊りたいものね(笑。
けど、相手が必要。しかも、誰でもじゃダメ。
別に私流のダンスとシンクロしなくてもいいけど、
せめて息のあう、センスのあった相手じゃないと、気持ちよく踊れない。
ある程度のスキルも当然必要だ。

そこで、相手を物色する。マッチングを確かめるべく、お手合わせ願う。
勿論、端から完璧なコンビネーションは得られないが、相性の善し悪しくらいはわかる。
二度三度と回を重ねて、互いの癖を知り、譲歩したり、妥協したりしていく。
これに成功すれば、晴れて、心底ダンスを楽しめるワケだ。
相手も然り。対等の位置で。

ダンスに限らず、球技のラリーとか唄のデュエットとか、人ふたりが共同する場面では、
双方の位置や力量が似通ってるほうが、都合がいいし、楽しめるだろう。
そして、その楽しみの関係性において、特別な愛情めいたココロの存在が必要じゃないのは自明だ。
つまり、これが前回記事した、”カラダだけのSM”の様相なんだね。

しかし、特別なココロなくとも、相手を尊重し、大切に思う気持ちは充分にある。
だって、単なるプレイパートナーにしても、相性の合う人間と出会うのは、やっぱり千載一遇なのだ。
(だから、何度も涙を飲んでるワケで、笑)
私の場合、数年前に拠ん所ない事情で会えなくなった相手以降、該当する人材に巡り会えていない。

・・・・・。

最後に言わずもがなだが。
前者後者いずれが相手でも、恋愛する時はするものだ(笑)
関係性の確立と恋愛感情の後先はともかく。そして、またココロが生まれる。
ココロ 〜カラダだけのSM〜
カラダだけのセックスがあるように、カラダだけのSMもある。
勿論、SM行為としては、羞恥だの言葉責めだのの展開もあるので、完璧にフィジカルとは言えないけれど、
それは、カラダだけのセックスであっても、興奮や性感を高める会話が介在するのと同等だろう。
端的に言えば、互いのココロを求めあわない行為ってことだ。

つまり、このとき行為は、相手への特別な愛情を伝えたり、確かめたりする役割をもたない。
逆説的だが、ある意味、純粋な行為とも言えるよね。
余計な思惑が絡むことなく、ただ行為を楽しみ、没頭出来る。
なので、私感ながら、行為で得られるSMな快感が一番充実し、また充足するのは、
このカラダだけのSMだと思っている。

・・・・・。

カラダだけのSMといえば、「ゆきずりSM」もその範疇だ。
しかし、経験上、それらには殆ど充足しなかった。
「ゆきずりセックス」なら、当たり外れはあっても、満足することもあったのに。
なぜか?
それは、やはりSM行為の快感が、いわゆる精神的なものに多く依拠し、
特にS側の充足は、かなりの部分で相手に依存するから。

例えば、鞭を打つ場合、
私は打つことに快感を得るのではなく、打たれる相手の反応に感じるワケだ。
縄で括るも、アナルにバイブぶち込むも然り。全ては、M側の反応が頼りなのだ。
勿論、初見の相手なら、その反応を探る楽しみもある。
あるけど、最後まで手応えがなかったら?!
ヨワッタことに、その確率は相当に高い。

大体、ヤルまでわからないことが多すぎるのだ、SMは。
自分に合わないとワカッタ時点で、行為を中止したことは何度もある(!)
これがセックスなら、それ程の事態には陥らないだろうし、
期待外れの相手でも、自分本位の快感を楽しむ位は出来るだろう。
・・・あ、でも。ゆきずりセックスでも捨てて帰ったコトはあったな(笑

ここで、少し補足しとくと、この感覚は、私自身の性向に負うところが大きいとは思う。
S傾向とはいえ、私はさほど征服欲が旺盛じゃない。この辺、普通に雌っぽい(笑)
初物を喰らう自体に、征服感や達成感を得て満足出来れば、もう少しは「ゆきずりSM」も楽しめたか?
なので、男性がS側にあるのとは事情が違うかもネ(笑

・・・・・。

ま、男女いずれがS側であっても、SM行為が充実するには、やはり時間がかかるはずだ。
言葉では簡単に「双方の合意」なんて言うけれど、
ヤってみて、M側の反応を見つつ、軌道修正しての繰り返しの中で、徐々に行為が成立していく感じだ。
私の場合、初手からウマクいった試しはない。次への望みと期待が生まれるだけで。

だから、この段階で私が性的に充足してるとは言い難い。
もっとも、この過程そのものがS的な悦びでもあるので、どうにか救われている。
いやはや、因果な話だけど、のっけからS側が全開モードってことはないんじゃないかな?
やっぱりここでも、M側頼り。
M側が反応出来ないS的行為を重ねても、結局つまらないものね。

SM行為というと、S側が好き勝手して、されたM側が被虐的に悦ぶみたいに捉えられがちだ。
いや、実際の見かけもそうだろう。
いやいや、見かけだけじゃなく、本当にそうしてるカップルもあるとは思う。
けど、相互のやり取りの結果がそう見えるってのが、真相じゃないかしら?
少なくとも、私はそうしてるし、考えている。

・・・・・。

私にとって、カラダだけのSMとは、行為と反応でセッションをする印象なのね。
だから、気心知れた相手と回を重ねて、より快適なプレイを楽しみたいと思うのよ。
ココロ 〜もう一人の自分〜
「ココロの扱いは難しい」
先日記事した友人S女に、そう言わしむるM魚彼氏もまた、業の深い性癖をもつ。
彼のプレイ遍歴は、常人が聞けば身の毛もよだつようなものだ。
その異常さに、神経そのものが疑われても仕方ない程の。
しかし実際の彼は、見目も佇まいも振る舞いもまるきり普通で、寧ろモテそうな好青年である。

友人の言葉を借りれば、彼には「SM用の自分」があるという。
本来の自分の身代わりに、そいつを差し出すイメージらしい。
だから、真っ当な神経なら間違いなくオカシクなる過酷な責めを受けても、
決定的なダメージを負うことはなかったワケだ。
逆に考えれば、それを回避するために「SM用の自分」が出現したのかもしれない。

一方、友人は、恋しい彼の全てを望む。
彼の都合で差し出される「SM用の自分」なんて要らないと言い切る。
まぁ、それはそうだろう。
だって、そいつはハードプレイ耐性のあるロボットみたいなモンだものね。
恋だの愛だのから生まれた熱情の刃を、ココロを手放したカラダに突き立てても、暖かな血は流れない。
空しい作業だ。

・・・・・。

「カラダは許しても、ココロは許さない」
SMによらず、性行為に身をやつす時、こう意識する人がいる。
あるいは、行為してるのは「もう一人の自分」なんだとか。
改めて定義することで、本当の自分、すなわちココロを守っているのかナと想像する。
生憎、私にはこの感覚がないが、守るべきモノを明確にするのは賢明だと思う。

かつての恋人や友人の彼は、自身のマゾヒズムを充分に晴らすために、
極端なやり方ながら、「もう一人の自分」を具現した。
彼らが守りたいのは、本来のココロのそのものだ。
そこには、人を愛したり、恋したりする感情も含まれるのだろう。
とすれば、彼らが私や友人に出会ったのは、大きな誤算だったかもしれないね(笑

それまでの彼らのSM行為は、カラダだけ許してれば成立していたのだ。
なのに、ココロを求められたり、自らココロまで許したいと思ったりしてしまう。
初めての経験に、彼らが怯え、戸惑ってしまうのは当然だ。
実際、かつての恋人は、自身がSMの相手である私に感情を持ったのを自覚した時、
大変な葛藤と混乱に陥ったっけ。

・・・・・。

さて、友人の彼も、現在この葛藤の中にある。
それは、私の恋人が経験した葛藤よりも苛烈かもしれない。
行為に臨めば、それまで通りに出てくる「SM用の自分」。
それを望まない相手。
しかも、彼が今まで行為から隔離していたココロをを引きずり出し、ココロと共に行為したがる。
彼にとっては非常事態だ。混乱し、恐怖する。

「だから、出来ないこと多いのよ」彼女は溜息を吐きながら、そう言った。
「私以前に経験してる責めはNGなんだ」そっか、しょうがないね。
「でも、私と初めてヤったことは大丈夫なのヨ」
嬉しそうに言葉を継いだ彼女の表情が、正に恋する乙女なものだから、胸が痛む。
彼が好きで堪らないから、あれこれ行為したいんだよね。

しかし、ココロを守り抜いてきた臆病な彼が、
ココロを許して行為出来るようになるには、まだ暫く時間がかかりそうだ。
が、彼の葛藤の根本が彼女への希求にあるのは確かで、そこに希望を見るのが何よりだろう。
「ま、気長に待つわ」自称せっかちな友人の覚悟やいかに?
「別に何してても楽しいからサ」ナンダ、そう来たか。

・・・・・。

惚気を喰らって苦笑する私に、彼女は更に追い打ちをかけた。
「それに、私には要らない”SM用の自分”はヨソで面倒みて貰えって言ってあんのヨ」
あはは、お見事!
ココロ 〜誰でもいいから〜
性的な出会いに貧した人が、
「誰でもいいから」と闇雲に相手を求めるのは、かなり無謀だ。
だって、「誰でもいい」と言う男に応じる女は少ないだろうし、
女が「誰でもいい」という場合、何か事情があるんじゃないかと危ぶむだろう。
まぁ、色んな意味で、「誰でもいいから」ってのはヤバイ。
本気かよ?って笑っちゃう位だワ。

ところが、M魚の中には、本気で「誰でもいい」奴がいる(!。
いや、この手のPRをするM魚は、結構いるのよね。
ま、極度に出会いが少ない場にあって、応じてくれるなら誰でも…という気持ちもわからなくはない。
けど、大抵の輩は、マジで誰でもいいワケじゃないはずだ。
明らかに危険な誰かなら、ちゃんと逃げ出すだろうサ。

しかし、本気の奴らが目指す「誰でもいい」は、本当に誰でもいいのだ。
極端な話、彼が目隠しをして街頭に立つとすれば、
周りを行き交う見知らぬ人々が、全て「誰でも」の対象になることだろう。
彼にとって、「特別な誰か」は必要ない。
むしろ、邪魔なものかもしれない。
彼のマゾヒズムは、おおよそ自己完結的なのだから。

・・・・・。

彼らのマゾヒズムは、自尊心を放棄して、自らを貶めたいと望む。
これだけなら自虐願望なのだが、ここへ他者を介入させることで、より強い刺激を求めるのだ。
この時、他者を特定しないほうが、更に強烈なイメージを生むことになる。
例えば、「公衆便所にされたい」とか「見世物になりたい」と表現すれば、分かり易いか。

実際問題として、このイメージは現実的ではないが、彼らはそこに近づきたい一心なんだね。
けど、これ程傲慢な願望もないなと苦笑してしまう。
ただまぁ、持ってしまった性癖だもの、仕方ない。
だから、上手い具合に機会を得られればいいかなと思う。そう、思うだけ(笑。
だって、私自身はこの手の輩とは関わりたくないもの。

とは言え、自分が不特定な誰かと見なされても、彼らの願望に呼応するサディズムは、私も持ちあわせている。
その時、彼は思惑通りに自尊心を手放して、私はM側の尊厳を踏みにじる行為に酔うことが出来る。
実際、パーティーなどでは、結構楽しめるやり取りだと思う。
けど、わざわざ個人的な関係を結ぶ気にはなれないや。

・・・・・。

ところが、私のかつての恋人は、まさにこのタイプだったのだ(!。
「誰でもいい」から、自分を壊してくれと切望する。
泥酔してはSMクラブへ出向き、とにかく滅茶苦茶にしてと無理なオーダーをして、潰瘍になる程の傷をつけてもらう。
自虐もエスカレートして、スカトロジストでもないのに、自分の大便を喰ったりしていた。

私と彼は、主従関係じゃなくて、恋人として対等につき合っていたから、行為の上での力関係も等分だった。
もちろんSM行為だから、見かけは私のほうが主導してるけど、実質的なイニシアチブは相互にあったということね。
それで、再々、彼の他力本願な自虐(笑)につき合ったのだけど、
これは正直、私には荷が重かった。

いや、重かっただけで、嫌だったわけじゃない。
けど、異常に消耗した印象が強いナ。
それまで、恋人として、行為を共有する者として、向き合ったり寄り添ったりしてた彼のココロが、
その瞬間、どこかへ彷徨い出てしまうような感じなのだ。
彼の心身はトランス状態になり、そこに私は存在しなくなってしまう。空虚な感じ。

もっとも、予め予想してる事なので、それで私が不安に陥ることはなかった。
ただ、無意識ながら、彼を恋する私のココロは負荷を負ってたのは確からしい。
でも、この状態は避けようがなかったのね。
てのも、彼自身どう心構えしようと、ココロが乖離していくその瞬間を知覚出来ないらしいんだもの。
業の深い癖だよね(笑

・・・・・。

っと、かなりディープでカルトな話題だけど、この項、更に続く。悪しからず(笑
ココロ 〜ゆきずりSM〜
先の記事で、ココロと表現したものについて、あれこれと思考している。
人ふたりの間で取り沙汰するなら、それは、相手に対する信用とか信頼とか恋情とか愛情といったものかしら。
そして、自分と同等のそれらを相手にも望む感情。
更には、相互のやり取り以前に個々人が抱く、思惑とか心理状態もが含まれるように思う。

そこで、相手との関係性や場面を変えて、ココロについてウダウダ考えてみたい。


***


長年テレクラで遊んだお陰で、ゆきずりでセックスしたことは何度もある。
直に会えば、大概は食事や会話を共にして、それも楽しかったんだけど、
純粋に行為だけを振り返るに、ヤってヨカッタと満足することもあれば、正直損したナと腐ることもあった。
ま、ヤリタイと思ってヤっても、満足度に差が生じるのは当然だわね。

欲深な私の場合、端から「ゆきずりましょうネ」と約束して会うんじゃなくて、
結果としてゆきずりマシタ(笑)ってことが殆どだった。
けどまぁ、それは「テレクラ的ご縁」てことで、刹那的な関わり合いを相互に納得しているワケで。
だから、行為に伴うココロは、打算とか刹那に見合う信用とか好意とか、その程度のモンだ。

じゃ、その程度の薄い関わりで、なぜヤるのかと問われれば、
専ら自分の性的な好奇心や欲望を満たしたいから、と答えるしかない。
同じ位置の男性が、「刹那でも、抱く女を愛する」と仰る心境にはなれないや(笑。
ま、愛がなくても、自分本位なゆきずりセックスはそれなりに充実したし、
さほど空しい行為とも思えなかった。

・・・・・。

実は、ワタシ、このテレクラ時代に、後から思えばSMデシタてな行為を経験している。
「犬」と出会い、SMという概念を得、「愛と信頼に基づくSM行為」を体験する以前の話だ。
付き合いの継続したSFが相手の時もあったし、正にゆきずりでそうなったこともある。
誰もそれがSMだとは仰らなかったので、私も知らないままに行為した。

それらは、愛のないセックスと同等の「愛のないSM行為」だったことになる。
お気楽な好奇心だけに支えられて、私は請われるままにS的行為に興じた。
ここに僅かに信頼関係があるとすれば、相手が私に行為を請い、それを私が了承したことだけで、
信頼としては薄っぺらいよね。
それでも、私はとても楽しんだし、満足もした。

たぶん、相手も同様に・・・いや、私以上に満足したかもしれない。
ゆきずりのような薄い関係だからこそ、彼らは特異な欲望を満たす機会を得たのだから。
もっとも、私のほうには、ゆきずりだから変態なことやっちゃえ的な動機は薄かったような気がする。
テレクラでしか男と関わらない私にとって、非日常なんてなかったの(笑

・・・・・。

私が再びテレクラで遊び始めた時、
私の性的な好奇心や欲望は、SM的なそれに置き換わっていた。
勿論、ご縁があれば長いお付き合いをと望んだが、そうそう相手が見つかるはずもない。
相手を吟味する中で行為して、結局それきりになるとか、
以前のテレクラ時代のように、ノリで会ってゆきずりSMするなんてことを繰り返した。

しかし、ゆきずりでするSMは、ゆきずりセックスよりも遙かに難しいことに気づく。
好奇心を晴らして満足してる時分はよかったけど、
ダイレクトな性感に訴えないぶん、醒めてしまうことが多くなった。
プレイの展開に未熟だったせいもあって、M側に搾取されてるような虚無感を感じてしまうのだ。
これは、かなり堪えたヨ(笑

・・・・・。

色んな人と色んなことをしてみたい初心者の頃。
各種の行為をなぞるだけなら、機会は幾らだってあるだろうし、それで済む時期もあるだろう。
けれども、殊S側に立つ都合だけで考えれば、ゆきずりSMはやっぱり空しいと思う。
あるいは、この結論を得る為に、
通過儀礼的にゆきずりSMをしてみるのも悪くないと思ったりもする(笑
最近、シテない
ふと気づけば、ワタクシ、随分長いことSMをしていないッ!
今更に記憶を辿れば、身近な奴隷とは半年近くシテないし、
古い奴隷とは春先にヤったっきり、新規のM魚も現れずという惨状である。
んー、冴えないナ。

っと。
パートナーがありながら、なんでシないの?そう訝しむ方は大勢おいでのことと思う。
お相手探しが難航してらっしゃる同志の皆様には、この罰当たりがッと叱られそうだ。
あぁでもそれは、我ながらそう思う。
”やってなんぼ”をモットーとしながら、この体たらく。ナニヤッテンダカ。

例えばこれが、逢瀬の時間もままならない程多忙であったとか、遠距離交際ナンデスとか、
のっぴきならない事情による結果ならば、納得もしよう。
しかっし、少なくとも身近な奴とは、非常に恵まれた環境にあるのだ。
確かに、この境遇に胡座をかいた私の怠惰が引き起こしている事態かもしれない。
けど、それだけじゃない。

はっきり言って、ここ数ヶ月、奴の心理状態が悪かったのが原因だ。
つまり、そのせいで、私にヤル気が起こらなかったと。
もっとも、奴の落ち込みを招いたのは正に私なんだから、これは何とも勝手な言い分だろう。
ワカッテル。
それに、人間関係を築く上で、断続的に停滞期が訪れるのは覚悟してるヨ。
あぁでも、長いね(笑

・・・・・。

「ココロの扱いって、本当に難しいネ」先日親しいS女と、しみじみ頷きあった。
「カラダだけなら、どうにでもなんだけどサ」「そうそう」
現場にある彼女を見たことはないが、話を聞いてれば、SMプレイの勘所を心得た人だ。
私と違って、パートナーとは主従の形をとらず、恋愛関係でのSMをしてる彼女だが、
悩みは深いらしい。

S側にあれば、性的に相手を圧倒したり、制御したりすることが悦びであり、
その方法を探り、結果を導き出すことに醍醐味がある。
いわゆる相性のいい相手だと、面白いように思い通りの反応を引き出すことが出来、これがプレイの楽しさに繋がる。
ところが、主従だの恋愛だのの関係性が絡むと、ココロがその経過を阻むのだ。

これは何もSMの関係に限らず、普通のセックスをしてる人同士にも言えることだろう。
殊に相手に起因する心の不調がある場合、勃たない、濡れない、イケナイってことはあるものね。
勿論、心がぎくしゃくした時に、カラダを重ねてココロの快復を図るって方法もあるけど、
私的には、ココロあってのカラダだなぁって見解だ。

・・・・・。

ところで、先のS女の彼氏は、ずっとココロの伴わないSM行為をしてきた男だという。
ハードプレイにカラダだけを供し、壊滅的にダメージを負うことでカタルシスを得て、心の平安を保っていたらしい。
確かに、彼のSM遍歴を聞けば、実に納得するし、
そういうSMとの関わり方もあっていいと思うし、そういう輩は珍しくない。

しかし、その事情を承知で、彼女は彼のココロまで巻き込む関係を創ろうとしている。
彼にとって、未知の領域を拓かれることは、それだけで恐怖だろう。
ココロが抵抗することも多いだろう。彼女の苦労がしのばれる。
しかし、彼女は笑顔で言う。「大変だけど、仕方ないヨ…」
ををを、恋する女は不屈だね。頑張れ頑張れ(笑

・・・・・。

ちなみに、身近な奴隷も、親密なSM関係を結ぶのは私が初めてだ。
先の彼程業は深くないものの、ココロが深く関与するSM行為には経験が薄い。
それで、やっぱり、色々大変なのだ(笑)
カラダはSMクラブで十年のキャリアでも、ココロは初心者だものなぁ。
ま、それも仕方ないことと諦めよう、お互い様に。先はまだまだ長いから。
憧憬

子宮を持たぬその人の腹腔は、
けれど。
柔らかく暖かく、命の鼓動を伝えておりました。


私の邪悪に汚れた掌が、その時、
しかし。
嬰児のように丸まって、彼の胎内に包まれておりました。


いまさらに、言葉を音に乗せる無意味さに、
私達は。
聾唖のように押し黙り、小さな手話で言葉を交わしました。


その刹那。
秘密の遊びに興じる幼子のごとく、
永遠を疑いもしないあどけなさが、心に宿るのを感じました。
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Mistress Cafe

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