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「レイコとシンジ―リング:後編―」
一日の鞭が終わり、全身を真っ赤にした慎治たちが漸く解放された時、慎治たちにとって絶望的な宣告が告げられた。「慎治、鞭道場、来週も開催するからね!来週もここ、予約いれとくわよ!」そ、そんな・・・絶望に浸りきる慎治たちにとって、一週間は余りに短かく、翌週の土曜はあっというまにやってきた。先週と同じ体育館、慎治たちにとっては見るのも嫌な体育館に入ると四人の美少女はさっさと着替えはじめた。富美代と朝子は黒のDKNYのトレーナーにショートパンツ、そしてご自慢の白ブーツを取り出した。と、その時、朝子の声が響いた。
「あーっ、玲子、そのブーツなに!もしかして色違い買ったんだーっ!」ふと信次が見ると、玲子が取り出したブーツは確かに朝子たちの白ブーツと色違いの漆黒のブーツだった。脚線にピッタリフィットするタイトなデザイン、上端のボア、まさしく朝子たちのブーツと同じデザインだった。違いは只一つ、朝子たちのブーツが純白なのに対し、玲子たちのブーツは黒曜石の様に漆黒に光り輝いていることだけだった。「そう!朝子たちのブーツ逝けてるからさ、私と礼子も買おうと思って行ったんだ。最初は朝子たちとおそろの白ブーツにするつもりだったんだけどさ、完全同じのってのも芸がないじゃん?でね、色違いにしてみたんだ。どう、似合う?」長身でスタイルの良い玲子たちだ。ブーツが似合わないわけがない。履く者の知能指数を20は下げて見せる厚底ブーツと違い、フェミニンでオーソドックスなスタイルのブーツは玲子たちの美貌とスタイルを一段と引き立てていた。ご丁寧に玲子たちのウェアは白いトレーナーにショートパンツだった。
黒いウェアに白いブーツの富美代と朝子、そして白いウェアに黒いブーツの玲子たち。見事な対を為していた。いや、もう一極があった。全裸にされ、生っ白い身体を晒している慎治たちが。床に正座させられている慎治たち二人を見下ろしている内に、礼子たち四人はある種の興奮を感じてきた。特に礼子たちの瞳が妖しい輝きを放ち始めた。今まで慎治たちを幾度となく踏みつけ、蹴りつけてきたが、履いていた靴は上履きや乗馬ブーツだ。本来は別の用途に使っている、単なる靴で踏んだり蹴ったりしてきたに過ぎない。だが今日のブーツは違う。慎治たちを苛めるためだけに購入したブーツ。鞭と同じ、拷問具の一つだ。富美ちゃんや朝子が先週、あんなに得意げになってブーツを舐めさせてたの、分かるような気がするな。
「慎治、ちょっと頭が高いわよ。ちゃんと土下座しなさい!」礼子の凛とした声に弾かれるように慎治はその場にあわててひれ伏した。ふと見ると玲子も信次のすぐ目の前に立っている。玲子たちは顔を見合わせてクスリと笑った。ああ、あなたも同じことする気なのね。玲子たちはほぼ同時に床に置かれた信次たちの手を、両手同時に踏みつけた。「ひっ!」「い、いた!」悲鳴と同時に信次たちは顔を上げ、玲子たちを仰ぎ見た。目の前に聳える漆黒の柱の遥か上から見下ろす玲子たちの強い視線と地べたから見上げる信次たちの弱々しい視線がクロスした。「信次、なに痛そうな演技しているのよ!こんなんで痛いわけないでしょ!」ガッ・・・顎を蹴り上げられ、信次たちは床に蹴り倒された。ゴリッ・・・信次たちが床から起き上がる間もなく、天から今度は純白の柱が降りてきて信次たちの頭を床にめり込ませる。
「ヒッ!い、いだだ・・・」やや横向きになり、こめかみ辺りを富美代に踏みつけられている慎治に近づくと、礼子はゆっくりと慎治の頬を踏み躙った。気持ちいい・・・ブーツで踏みつけるのは最高だった。初めて慎治の顔を踏みつけた時も快感に興奮したものだ。だが今の快感はその比ではない。上から見下ろすと、黒い革に包まれた自分の脚が全裸で地べたに転がり、全く無防備の慎治の顔を思う存分蹂躙しているのが見える。黒い革に包まれた脚が自分のものではないようだった。膝下までを覆うブーツに包まれた自分の脚に魔性が宿っているのを感じた。フェミニンなハイヒールブーツ。7センチヒールはタイトなデザインと相まって自然な高さで脚線美を強調している。10センチを超えるような、ボンデージ系の超ハイヒールがある種ギブスのような不自然さと、機能性を完全に失った片輪のような異質さを感じさせるのに対し、礼子たちのブーツは女性の美を引き立てると同時に靴としての機能を維持し、ギリギリの高いバランスを保っていた。そしてもともと乗馬、軍隊といった権威的なイメージにつながるのがブーツだ。美しくもどこか禍々しいこのブーツは、それを履きこなす礼子たちに問答無用のカリスマを与えていた。
気持ちいい・・・自分のブーツの靴底の下で、慎治の顔が無様に歪んでいくのが分かる。靴底から、いやブーツがカバーする脚全体から快感が走る。不思議ね。礼子はこのブーツに足を通した時のことを思い出した。足を入れ、チャックを上げるとチーッという音と共にブーツが足首、すね、ふくらはぎ、そして膝下へとフィットしていく。その時、まるでブーツが自分に吸い付いてくるように感じた。そしてたかがブーツを履いただけなのに、気持ちがピンッと張り詰めるような、さあ、今日も慎治のこと、一杯泣かせてやらなくちゃね、と自分の中でスイッチが入り、精神が戦闘モードに高まっていくのを感じていた。錯覚ではない。横を見ると玲子も富美代も朝子も、ブーツを履いた途端、顔色が違っていた。いつものお嬢様モードではない、残酷な、猛獣を連想させる眼、慎治たちをとことんいたぶろう、という決意に満ちた目付きに変わっていた。スイッチ、そう、ブーツは礼子たちにとって、僅かに残されていた慈悲のリミッターを解除する、ようだった。
素足で慎治の顔を踏み躙る時、たまにはこんなことして可哀想だな、とプチ罪悪感を感じる時もあるのに、こうやってブーツで踏みつけていると罪悪感なんて、全然感じないな。ブーツを履いて見下ろしていると、本当に自分が偉くなったと感じるな。多分、慎治も同じだろうな。こんなに卑屈な顔、いつもは絶対にしないものね。慎治の顔を踏み付ける感触がブーツの靴底から上ってくる。靴底からだけではない。膝から下、ブーツで包まれている脚全体が仄かに熱く、気持ちよくなってきた。ブーツを履いた自分の脚が、それ自体、独立した生命を持ち始めているかのようだった。私の脚が慎治を苛めたがっている・・・蹴りたい、踏み付けたい・・・慎治を鞭打っていると時折、鞭が生命を帯び、自らの意志で慎治を責めたがっているように感じることがある。更に鞭打ち続けると、礼子自身の鞭の意志が溶け合うように一体化し、狂おしいほどの強烈さで慎治の悲鳴と血を求めているかのように感じることさえあった。それと似た感覚だった。私の脚がブーツと一体化していく・・・私の脚が、ブーツが、慎治を責めたがっている・・・
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