SPIT MEさんの作品「レイコとシンジ」

精神的には逃げ場を失い、肉体的にはM男ではないのに手加減抜きの一本鞭を味合わされる。本当にこうなったら、もはやプレイというよりは拷問かもしれません。


<深まる闇>

「あいつら二人を苛めるにしても、学校とかこいつらの両親にばれたら結構面倒じゃない?あいつらを徹底的に壊すのはいいんだけど、こっちが下らない面倒に巻き込まれるのは嫌よね。」

「ああ、それは余り心配ないわよ。学校なんか、どうせ問題は表沙汰にしたくない、ていうのが基本スタンスだから。ただね、二つだけ前提条件があるの。」「前提条件?」「簡単よ。一つ目はね,お金は取らないっていうこと。お金を取っちゃうとその内必ず親バレするからね。ま、いじめ道具をそいつのお小遣いで買わせる,ていう程度の嫌がらせに留めておけばOKよ。天城の場合,これは全然問題ないでしょ?」「全然ないわね。別に慎治から小遣い巻き上げるほど、不自由してないわよ。お金なんかだったら、逆にこっちが慎治にくれてやってもいいくらいよ。霧島もそうでしょ?」「そう。おっしゃるとおり。一つめは全然問題ないわね。」

「じゃ、二つ目は何?」「これも簡単。私たちの成績がそこそこいいっていうこと。天城みたいな優等生の場合は,全然問題ないわよ。特に天城なんかクラス委員じゃない?そういう生徒に対してはね,学校は基本的に味方よ。」「ふーん、霧島が成績いいのも、もしかして、いじめを続けるためなのかな。ま、それは全然かまわないんだけど、今の話,逆もまた真なり、て成立するかな?」「逆?どういうこと?」

「要するにさ,あいつらの成績が極端に落ちたらどうなる?クラスの最下位争い常連メンバーにしちゃうのよ。」「でも、わざとらしくない?中間・期末テストなんかで赤点とらせるのは簡単だけどさ、普段はまともに授業受けてる奴が急に変な点取ったら,却って怪しまれるわよ。」「だから、そこがみそなのよ。要わね、あいつらを徹底的に馬鹿に改造するのよ。授業中、ノートも取らせないし,教科書やテキストも一切没収しちゃうの。勉強,なんていうのが一切できない環境を作っちゃえば,2-3ヶ月で成績なんて滅茶苦茶下がるわよ。そうしたら、勉強する気もなくて成績最低,となって先生たちのお覚えも極端に悪くなるじゃない?で、反対に私たちはきっちり高順位をキープしといて、先生たちにも適当に媚び売っとけば、誰も慎治達の言うことなんか、聞かなくなるんじゃない?」

玲子は一瞬,意表を突かれた。中学時代からいじめで鳴らした玲子だが、相手の成績を落とさせよう,と考えたことはなかった。ハードに苛めすぎ,相手がノイローゼ状態に陥って結果的に成績も大幅低下,といったケースはあった。だが、それはあくまで結果論,狙った訳ではなかった。(天城って,ひょっとしていじめの天才?)確かに,慎治たちを落第寸前に落としこめば,教師たちの受けも悪くなる。そういった連中をいじめても、誰も気にもとめないだろう。

「私,霧島たちを見てて思ったんだけど、あなたたち,ほんとに大人うけがいいのよね。一見好き勝手にやってるようでいて、結構先生達とも仲良くしてるじゃない?軽口叩いても絶対に敵には回さないようにしてるわよね。あれ、私たちから見ると,とても羨ましかったのよ。」「えっ?大人うけがいいの?単に先生たちにでもへらへらタメ口叩いてるから仲良さそうに見えるだけじゃないの?」

と、答えながら、玲子の頭にももう一つの悪巧みが思い浮んできた。(先生たちの受けがいいんだったら、所謂親受けもそこそこ上手くいかないかしら・・)「ねえ、天城,学校の方はいいとして、こいつらの家族の方なんだけどさ、そっちも私たちの味方につけられないかな。」「味方につける?」「そう。例えば,天城が矢作の家にね,私,慎治君の彼女です,なんてやって乗り込んだら,矢作の両親を完全に騙まくらかせない?天城なんて、私以上に大人うけ良さそうじゃない?そうやって両親まで騙まくらかしたら、後はやりたい放題よ。」「じゃ、私が矢作,霧島は川内の両親を騙まくらかす、ていうこと?面白そうね。学校も,家も,どこに行っても逃げ場がないっていう状態に追い込めるわけね。」

「そうなの。でね、天城にも頼みたいんだけど、矢作の両親を落としたら,必ず,慎治を空手部とか、合気道部に入れることにしといてね。」「なんで?私,慎治と一緒の部活なんてまっびらよ。」「別に本当に入部させなくていいのよ。幽霊でもなんでもOKよ。要は格闘技系のサークルに入れたことにしときたいのよ。そうしとけば、痣や怪我なんて、余り気にしなくなるわよね?そうすれば、天城が思いっきり鞭を振るって慎治を痣だらけにしてもNO PROBREMね。」「ひっどーい、人のせいにして、信次たちを痣だらけにするのは、霧島の方じゃないの!」と、口では怒りながらも礼子は流石いじめのプロ,と玲子の計算高さに舌を巻いていた。

翌月曜,玲子達は早速,信次達二人を呼び寄せた。「二人とも、今以降、一切勉強なんかしなくていいからね。」玲子の言葉に信次は一瞬,意味がわからなかった。「言ってる意味が分からないの?シンジ達はね、これからゆっくり時間をかけてお馬鹿さんになるのよ。本物の劣等生にしてあげるわね。これから毎日,教科書やテキストは全部,学校に置いて帰りなさい。それと、授業中ノートを取ったりするのは厳禁よ。極力,居眠りしてなさい。楽でいいでしょ?」礼子が言葉を引き継いだ。

「良かったわね。お勉強から解放されて。おまけに、彼女までできたんだから、貴方たち,本当に幸せね。霧島は川内と、私は矢作と付き合ってあげるわ。」憧れの礼子に付き合ってあげる、こう言われても,慎治は嬉しいどころか、恐怖に震えていた。慎治には礼子達の企みがまだ想像つかなかった。(僕を勉強させないで、しかも僕と付き合う?一体,礼子さん達は何を考えているんだろう・・・)

慎治には想像がつかなかったが、玲子の次の言葉を聞いた時,信次にはビンッと来るものがあった。「二人とも,美人の彼女ができて嬉しいでしょ?だったら、家族に彼女のことを紹介したいわよね。仕方ないわ。今週末,私たちが二人のご両親に,ご挨拶に伺わなくちゃいけないわね。」(まさか、玲子たち,うちの両親にまで手を出すつもりか?!)確かに,玲子たちは信次の想像とおり、慎治達の両親に手を出した。暴力などではなく、二人にとって最悪の形で。

土曜に、礼子達はそれぞれ上品な,それでいて高級品くささを抑えたファッションで現われた。明るい挨拶,落ち着いた、上品な物腰,しかも文句のつけようのないルックス,慎治も信次も,どちらの両親も善人ではあったが、所詮は決して鋭い,とは言いがたい小市民だった。高校生とは言え,人並み外れて頭の回転が速い玲子たちにいいように手玉に取られてしまった。悪いことに,慎治の父の勤務先は礼子の家族が経営するいくつかの企業の一つが最大のお得意様だった。信次の父の勤務先にいたっては、玲子の家族が経営する企業の、孫受けだった。美貌,洗練された,魅力的な物腰,しかも、家柄にいたっては、申し分もない。結婚,とまでは考えないが,多少は自分たちの仕事に好影響が出れば,と信次たち二人の両親の心の目が曇ったのも,無理からぬところだった。

玲子たちは狙いとおり、信次達の両親をすっかり取り込んでしまった。どちらの両親も,玲子たちを完全に受け入れてしまった。玲子たちが持ち出した,信次を空手部に,慎治を合気道部に入れる,という提案もあっさりと了承されてしまった。信次達の両親に,それが自分の息子の身体の傷にすら気づかなくなる,大事な息子を何の見返りもなしに悪魔に差し出す行為とは想像する術もなかった。

慎治も信次も,憂鬱な日曜を過ごした。二人とも,自分たちが完全にコーナーに追い詰められたのを感じていた。クラス委員の礼子は勿論,元気者の玲子も教師の受けはいい。頼りにしていた両親までも,二人に取り込まれてしまった。おまけに,格闘技系に入った、ということで怪我をしたところで、あたりまえと思われてしまう。学校にも家庭にも,逃げ道はどこにもなかった。登校拒否、とモラトリアムを決め込むことさえ不可能だった。学校を休んで部屋に閉じこもっていたら、礼子たちは必ず自宅までくるだろう。優しい顔で,いかにも心から心配している顔で。そして、腕ずくで部屋から慎治たちを引きずり出してしまうだろう。

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