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その日、武雄は得意先の帰りに小田急線のとある駅から新宿行きの急行に乗った。
まだ夕方というには早い時間帯であったが、沿線の学生が乗り込んできたためたちまち電車は満員になり、ぼーっと立っていた武雄の側にも若い学生たちがすぐ側まで来ていた。
(相変わらず小田急線は混んでるなあ。)と思いながら窓の外を見ていた武雄の耳に、何となく聞こえてくる話し声がある。
「・・・・から、今後はどんなのがいいかな。」
「たまには大きいのもいいかもしれないわ。そうすると結構バリエーションも揃うし。・・・・」
「・・・・あんまり好きじゃないけど、千晶が言うなら別にいいよ。それよりさ・・・」
そんな声が聞くとはなしに耳に入ってきた。
きちんと立っている方の顔は後ろ姿しか見えないが、浜崎あゆみのような顔立ちの茶髪の横顔はよく見える。
(結構可愛い顔してるな)
既に30をいくつか過ぎている武雄にとって、若い女性は常に羨望の的である。かれこれ10年ほどつき合っている洋子からは、随分とプレッシャーをかけられているが、どうも結婚まで踏み切れない。洋子もまもなく30歳となるため、自分でもそのうち洋子と結婚しなくてはならないことは分かっていたが、もしかするともっと若くてきれいな子が現れ、大恋愛をすることになるのでは、などと勝手な空想を巡らせている。
その時も、別にその二人が空想の相手などと考えたわけではなく、何となくきれいな女性に目がいくのは中年になりかけた男の性であろう。
身長が180センチ以上ある武雄に比べて、二人は30センチぐらいも低いだろうか。同じようにやせ形でパンツルックの二人になんとなく惹かれる感じがしてしばらく見ていると、浜崎あゆみに似た方と目が合ってしまった。
すると、こちらの方を見ながらそっともう一人の方に話しかけるように顔を近づけている。
(やばい、やばい。変なやつとおもわれちゃうよ。)
武雄は急いで違う方に顔を向け、黙って窓の外を見ていた。それ以来二人の話し声は聞こえてこなかった。
新宿駅に着くとどっと人が降り始め、武雄も人の流れに沿って階段に向かっていると、トントンと肩を叩く者がいる。混雑の中で振り返ると、先ほどの二人がこちらを見ていた。
「何か。」
「おじさん、さっきあたしたちのこと見てたでしょ。」浜崎あゆみが言った。
「あっ。ああ、ゴメンね。暇だったものだからきょろきょろしてたら何となく君たちの方を見ちゃったんだよ。別に変なことしようとしたとかじゃないから気にしないでね。」
「そう。別にいいんだけどね。それより私たちとお茶でも飲まない。」
「えっ!」
「だから、少し私たちにつき合わないって言ってるのよ。」
「あの、でも・・・、まだ仕事中だから・・・・・でも、少しぐらいならいいかな・・・どうするかな・・・」
突然にことにしどろもどろになってしまった武雄を二人は冷たい微笑みを浮かべながら冷ややかな目で見ていた。
「じゃあ行きましょうか」
武雄がOKを出してもいないのに勝手に決めつけて二人はどんどん歩いていった。
武雄は何かに引かれるように二人の後を追っていくしかなかった。
喫茶店に入ると、いきなり二人は武雄に質問を始めた。
「おじさん、名前何て言うの」
「石井武雄だよ。君たちは。」
「あたしはゆみ。こっちが千晶よ。」浜崎あゆみの方が言った。
「おじさん結婚してるの」
「いや、独身だよ」
「ふーん。何か欠陥あるんじゃないの。そんな年になって。」
「何言ってるんだ。ちゃんと彼女だっているよ。男はね、30過ぎると色々考えることが出て来るんだよ。」
「そうなんだ。でもおじさん結構格好いいからもてるんじゃないの。」
「なんだ。いきなりお世辞が始まったぞ。」
何となく会話になってるな。こんな若いこと話すのは緊張するよ。でも、そういえば、千晶っている子はさっきから何も話さないな。武雄が考えていると、
「ところでおじさん。これから何か予定あるの。」
「えっ。いやー、一度会社に戻らないといけないけど・・・」
武雄が思案顔で悩んでいると、
「私たちとすてきな時間を過ごしませんか?」
武雄の顔を正面から見据えながら、初めて千晶という子が話した。静かに言い渡すように。その声を聞くと、武雄は不思議と断ることができないと思ってしまった。いや、この時を逃したら一生後悔するような気さえした。
「・・・わかった。会社に電話するからちょっとまってくれないか。」そういってあわてて会社に早退の連絡を入れるのを二人は口元に微笑をたたえながら、醒めた目で見つめていた。
しかし武雄の心はこれから起こることに期待を大きく膨らませるばかりであった。
少し金を用意しないとな。そう思って銀行に行こうとすると、
「どこ行くの?」と浜崎あゆみが聞いてくる。
「いやちょっと銀行に行こうかなって。」
「お金なんかいらないわよ。それより早く行こうよ。」
「でも、一応さ・・・・」
「いいから行くわよ。」
ゆみという方が強引に武雄の腕を引っ張りながら、どんどん進んでいった。
「ところでどこへ行くんだい?」少し不安になった武雄が言うと、
「決まってるじゃない。ホテルよ。」
「えっ! でも・・・君たち未成年だろ・・・それに・・・」
「大丈夫よ。さあ、行くよ。」
「やっぱりまずいよ。」武雄はいきなりのことに少しびっくりしながら、心の中ではどうしようかとぐるぐる頭を回していた。
「でも3人で入れるホテルなんてあるかな・・・それに時間もまだ早いし・・・正直言ってあんまりお金も持ってないんだよ・・・君たちだって僕のこと良く知らないだろ・・・」
武雄が色々言い訳していると、
「私たちの言うことが聞けないの?」整った顔で下から見上げるように武雄をじっと見つめたまま、千晶が再び静かに口を開いた。その目を見ていた武雄は、ほとんど口を聞くことができず、ただ緊張した面持ちで千晶を見つめることしかできない。
「別にお金をもらうわけじゃないから。あなたといっしょに時間を過ごしたいだけよ。」千晶は静かにそういうと、きびすをかえし夕焼けの中にきらめき始めたネオン街向けて歩き始めた。
仕方なく後を追い始めた武雄には、二人がほくそ笑んでいる表情は見えなかった。
その瞬間に武雄の運命が決まった。
ラブホテルにパーティルームというのがあるのを初めて知った。いつも洋子と入る部屋とは異なり相当な広さである。ベットが2つあり、豪華な内装に目を奪われそうであった。
どきどきしながら椅子に腰掛け、たばこを吸おうとすると、
「おじさん。シャワー浴びてきなよ。」ゆみが口元に笑いを含んで言った。
「あ、ああ。そうだな。」
たばこをしまうと脱衣所に行き、服を脱ぎ始めた。その時(待てよ。俺がシャワーを浴びている間に金だけ盗まれるんじゃないだろうな。)ふっと、そんな考えが頭をよぎると、武雄は思わず脱衣所のドアをそっと開け、部屋を覗いてみた。するとどうであろう。二人はこちらをじっと見てるではないか。どきっとして急いで顔を引っ込め急いで服を脱ぎ始めると、「おじさん何やってんの。早くしなよ。大丈夫よ。私たち逃げないからさ。」大きなゆみの声が聞こえ、くすっと笑う声がする。
心の中を見透かされたようで、武雄は返す言葉もなく急いで風呂場に入りシャワーを浴び始める。どきどきしながら、(二人ともやらせてくれるのかなあ。そうだよな。向こうから誘ってきたんだからなあ。)などとうきうきしながらこれから始まる痴態を想像すると、既にあそこが膨らんできてしまっている。
(そうだ。金はいらないって言ってたけど、やっぱり後で銀行によって少し渡した方がいいな。何しろ今後のこともあるからな。)洋子のことが少し頭をよぎったが、この段階でストップするのは不可能であろう。武雄はそそくさと身体を洗うと、腰にタオルを巻き付け部屋に入っていった。
武雄が浮かれた気分でいたのはここまでであった。
部屋を出た武雄を待っていたのは、黒い下着をつけ、どこに持っていたのであろうピンヒールを履いた二人の姿であった。
千晶はややおとなしめの下着でベッドの端に腰掛け足を組んでいるが、ゆみは局部を最小限に隠しただけの下着姿で腕を組んで立っており、なんとその手には先に小さな蠅叩きのようなものがついた1mぐらいの棒を持っているではないか。二人ともストッキングも着けず、まだ十分に脂肪のついていない足や手はこどものように張りがある。
「おじさん、こっちに来て。」ゆみがそういうのを武雄は驚きと恐怖で見つめるしかなかった。
「聞こえなかったの。何回も言わせないでね。」
「・・・・」武雄は動けなかった。
「き、きみたち、その格好は・・・」
「あら、おじさん、お気に召した。あたしたちが見たところ、お前はマゾなの。マゾは女王様の命令に従う義務があるの。分かった。それに、わたしたち今度背の高い奴隷を探そうとしてたのよ。そうしたらお前が取りあえず目についたわけ。それでわたしたちが気に入るかどうか試してみようと思って。光栄でしょ? 私たちに選んでもらって。できるだけ気に入られるように頑張るのよ。分かった?分かったらこっちへ来なさい。」ゆみはそう言い放ったが、武雄はまだその場の状況が飲み込めず、どうしていいのかわからないまま突っ立ったままであった。
「・・・・あの・・・つまりその・・・」武雄がもごもご口の中で呟いていると、ゆみが武雄にゆっくり近づき、突然持っていた短い鞭で武雄の腰のあたりを打った。
びしっ!
鋭い音とに武雄の「うぎゃっ!」っという声がほとんど同時におこった。
「なっ、なにをするんだ!」怒気を含んだ武雄の声は、しかし続けざまに放たれるゆみの鞭の前で空しく響くばかりである。
びしっ! びしっ! びしっ! びしっ! びしっ! びしっ! びしっ!
続けざまに武雄の腰と言わず、背中と言わず、体中の全てに向けられた鞭の勢いは、武雄から戦意を奪うのに十分であった。
「あっ! うっ! ぎゃっ! や、やめてくれ! うっ! たったのむから!」
そう言いながら、武雄は何とかゆみの足下に近づくと、足をつかんでゆみを身体ごと倒そうとする。
しかし、今度は後ろにまわった千晶が一本の長い鞭を武雄の背中に振り下ろした。
「ギャアー!」
ものすごい叫び声とともに武雄は床の上を転げ回った。その間にも千晶が持っている一条鞭は、しなやかに空中を泳ぎながら武雄の身体をさらにねらっている。
「たっ! たのむ。もうかんべんしてくれ!」目にはうっすらと涙が浮かべながら、背の高い武雄が床の上に突っ伏したまま150センチそこそとしかない二人を見上げるようにして許しを乞う姿は、先程までのうきうきとした気持ちの武雄とは全く異なり、間違いを犯した奴隷がご主人様に許しを乞う姿そのものであった。
「ピッシュ!」
しかし、武雄の願いも空しく、千晶の鞭は確実に武雄の背中から尻を捉えた。
「アッギャー! いっ! いってえー!」
ピッシュ! びしっ! びしっ! びしっ! ピッシュ! ! びしっ! びしっ! びしっ! びしっ! ピッシュ! ! びしっ! びしっ!
二人の容赦ない鞭は武雄がほとんど動けなくなるまで続けられた。武雄の身体がミミズ腫れで真っ赤に染まり、最も集中的に狙われた尻からはうっすらと血が滲んでいる。
「・・・・も・・・もう、・・・かん・・べんしてください・・・」
ほとんど気を失いかけた武雄がかろうじて声を出すと、やっと鞭の音が止んだ。
「こっちを向きなさい。」今までの攻撃がうそのような静かな千晶の声がする。しかし、武雄の身体は思うように動けない。
「うーん・・・・・・」武雄の口からは唸り声しかだすことができない。
「2回言わせるとどうなるか身体で分かったはずだけど。」
その声に、武雄ははっとした。
(そうか。さっきゆみって子がこっちへ来いっていったことか。)混乱した頭の中でそう考えると、武雄は最後の力を振り絞って椅子に座って足を組んでいる二人の方へ這いずっていった。
「そうそう。やっとわかったわね。それでいいのよ。お前マゾのくせに今まで女王様から躾けられたことないようね。でもよかったじゃない。私たちに拾ってもらって。これから一人前のマゾとして私たちがきちんと躾けてあげるから。そうすればどんな女王様の前に出ても恥ずかしくないわよ。」
(じょ、冗談じゃない。何がマゾだ。俺は普通の男なんだ。どうしてこいつらにこんな目にあわせられなきゃならないんだ。)武雄がそう思って不満そうな顔を上げると、たちまち「ばしっ!」と顔を手で張られた。
「何、その顔は。不満があるわけ。」
「いっ、いやそうじゃないけど・・・」
再び「ばしっ! ばしっ!」と今度はゆみの往復ビンタが飛んでくる。
「口に聞き方に気をつけなさい!」と怒ったように言うが、口元にはおかしくてしょうがないというように笑いが浮かんでいる。
(なっ、なんで! どうしてこんなガキにバカにされながら口の聞き方に気をつけろなんていわれなければならないんだ。)
「分かった?」ゆみが子供に諭すように言う。
武雄は首を横に振りたかったが、先程の鞭を再び受けるのは冗談ではない。
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