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いきなりですが、以前SMについてお話ししたときに、「私にあるのは、欠落や欠損ではなく、過剰や余剰。
なので、心の暗部やそれによる事象を性的トラウマの起因に関連づけたがるフロイト論というのは、しっくりこない」という事をおっしゃってて、とても気になってたんですが。
「過剰や余剰」というのはどういう意味で?
「私にはトラウマとかそういうものが全くないんですよね。
昔 リストカッティングとかしていたけど、トラウマ云々よりは血の気を抜くため、って感じだったし。
うまく言えないんだけど、人と接しててもなにか過剰な感じなんですよ。私は普通に接しているつもりなのに、相手は疲れちゃう。彼氏とかに『君といると暑苦しい』とか言われたり」
あ、私もそういうタイプなので、なんとなくわかるかもです。
ただM男くんについていえば、その人がなぜSMするのか、って考えたときに、トラウマに関連づけて考えるとわかりやすいですよね。プレイにもつなげやすいし。
youkoさんはトラウマとかないM男くんのほうがプレイしやすいんですよね?
「うん。ナチュラルボーンMっていうかね。マゾが遺伝子に組み込まれてるM男ちゃん。万人が納得できるようなトラウマはなくて、なんだかわからないけど昔から我慢するのが好きだったとかね。そういう子は、トラウマっぽい経験はあっても、それは単なる引き金に過ぎない気がするんですよ。考えたらアレがそうなのかなーってあとからこじつけたみたいな。
こんなM男ちゃんいましたよ。 『僕がマゾになったのは、子供の頃に読んだ「おだんごパン」って本が原因なんです。丸いおだんごパンがころころ転がって、世界中を大冒険するんですけど、最期にはキツネに食べられちゃうんですよね。それ見て、自分もそうなんだなって』。(爆笑)
こんなのね、どうみたってあとからつけた理由じゃないですか。でも、そういう子ってスコーンと抜けてて、面白いんですよね。
トラウマのある子は確かにわかりやすいし、プレイの進めかたもわかりやすい。 でも、そこから脱却できないじゃないですか。SMはカウンセリングみたいな面も持ちますけど、ほんとセラピーになっちゃう。同じことの繰り返しで、相手は私を通して自分を見ているだけ。で、トラウマから開放されて癒されたら、どっかいってしまう。こういうのは疲れちゃうんですよね」
あー、なるほど…勉強になります。
youkoさん自身は、厳しいご家庭に育ったそうですね。
「家族はね、年の離れた妹が二人と、母と義父の5人家族です。私が10歳のときに母が離婚して再婚したんで。
離婚するまでは、実父、母ともに忙しくてスキンシップとかなかったです。でも甘やかされてましたね。家業を営んでいたので、その従業員に囲まれてチヤホヤされてたんです。遊び相手は大人の人で、いっつも誰かしらにかまってもらってました。
厳しいっていうのは、母が再婚してからですね。再婚した義父が論理的に厳しい人で、とにかくおっかなくて。義父が帰宅したら、皆で三つ指ついてお帰りなさい、ってしなきゃならないんですよ。朝は6時に起きて、掃除しなきゃならない。ドラマの姑みたいに、ホコリが残ってないか義父にチェックされるんですよねー、ははは。で、残ってると怒られる。休日でも朝起きたらすぐにきちんとした服装に着替えなくてはダメで、パジャマで過ごすなんてもってのほか。門限は5時だし、私が中学生になっても就寝時間9時だし。
ええ、キライでしたよ。子供の頃はね、いつか絶対殺してやろうと思ってましたね。
そういうのがあったからかわかんないですけど、中学後半から私、学校行かなくなっちゃったんですよね。
学校の同級生と合わないっていうのも大きかったんですけどね。うまくいえないんだけど、なぜか皆から一歩置かれちゃうんですよ。スカしてるつもりもなかったんですけどねー。こういうのも過剰・余剰の現れのひとつなんですかね。こういう面はいまだにあって、OLとかやると精神状態が悪くなっちゃう。野犬とかが捉われるとオカシクなっちゃうのと同じですね(笑)。
でも学校で友人いないと不便でしょう、ほら、グループ分けのときとかさ。だから皆の言動とか観察して話しを合わせる努力はしてたんですよー。アイドルの話ししたりさ。けど、やっぱり、皆に合わせてるつもりなのに全然噛み合わなくて滑っちゃう。で、ますます浮いちゃう。私は不便な学校生活は送りたくない、って願ってるのに。
で、学校行きたくないし、行けない。どうしようって悩んで。それで考えたのが、病気になれば行かなくて済む!と。骨折るとか風邪ひくとかいろいろ考えたんですけど、骨折は痛いし、風邪とかは仮病ってすぐバレちゃうしー。
だから、精神病になろう!って思ったんです。これなら外からわからない!って(笑)。で、頭おかしいフリをしてました。
フリしてたらホントにおかしくなっちゃったんですけど(笑)。
母はね、感情的に人にあたる人で、私に対する依存心が強いです。
私が頭おかしくなって学校に行かなくなっちゃったじゃないですか。母はほら、連れ子で再婚してるから、自分の連れてきた子供に問題があるってのは、父に対するメンツが立たないわけですよ。ものすごい悩んで、「アンタを殺して私も死ぬ!」って本気で首締められたり、しょっちゅうでした。そういう形の依存です。
学校あんまり行ってなかったですけど、グレてたってわけでないんで、うまく立ち回って高校もちゃんと卒業しましたよ。でも当時は、早くここから抜け出したいって気持ちでいっぱいでしたね。家に帰りたくないし、学校も行きたくないし。それが、SMクラブに勤めるキッカケにもなったんですけどね」
それがSMに関わるようになったキッカケですか?
「そうです。夜ねー、家に帰りたくないからバイトしまくってたんですよ。コンパニオンとかホステスとかバニーとかいろいろ。
で、あるとき女性週刊誌を見ていたら、SMの特集記事があってね。ああ、女王様ってこういうことするんだーって知って興味が沸いて。
その後、スポーツ新聞で、SMクラブの三行広告の隅にちっちゃく『興味のある女性TELください』って書いてあるのを見つけたんですよ。まあ、働く女性の募集なんだけど、私はその文章の意味をそのまま受け取っちゃいまして『あの〜、興味があるんですけど』って電話してみたんですよ(笑)。そしたら電話の向こうの男性、意味わかんなかったみたいで、しばらく『…』って感じの間があって(笑)、『…それって働きたいってことですよね?』って言われた。で、私も、あ、そういう意味だったのかって感じで。バイトも探してたしね、まあいいっかって『ハイ』と(笑)。高校3年生のときです」
高3!それまでも似たようなバイトの経験とかあったんです?
「やー、個人的に女衒みたいなことはしてましたが、はは。オヤジにクラスの女の子を紹介してお金もらってました。援助交際みたいなのですけど、大流行するずうっと前の時代です。変な話しですけど、あとで援交が話題になったころ、女子高校生の値段聞いて、やっすいな〜って思いましたよ(笑)。
私自身の身体は売り物にはしなかったんですけど、たまにアフターサービスじゃないけど、 変わった趣向につきあうことはしてました。セックスしてるところを見てくれとか、レズって見せてくれとか。
でもねーそういうことしながら、私自身は処女だったりしたんですよねー。潔癖症的というか貞操観念が強くて。まあ高慢ちきだったんですけど(笑)彼氏とかいても『あなたごときに私の処女をあげるわけないでしょう!』って感じで、守ってたんですよね。そうそう、よくありますけど『援交でフェラチオしてるけど処女だもん』みたいなのですよね、ズルいですよねえ。
クラブに勤めてるあいだもしばらく処女でしたよー」
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