

キチチッ。
身じろぎするたびに、ラバーがきしんだ。
その音が、ぼくの耳には、ひどく大きく響いた。
そこは、美月のマンションの、広いリビングだった。
ベランダにむかう窓に引かれた、レースの白いカーテンが、かすかにそよいでいた。
ギリリッ。
大きく身動きするたびに、鎖が鳴った。
「むうっ」
ぼくは、うめいた。
ソファーにすわっていた美月が、パタンと、読んでいたファッション誌を、目の前のガラステーブルに置いた。
「どうしたの? うん?」
美月の声は、やさしさに満ちていた。
ぼくは、リビングのフローリングを、ひじとひざで、痛みをこらえながら、美月のほうへと這っていった。
ぼくは、美月が好きな、赤いラバーのキャットスーツに身をつつみ、黒い革と鎖の拘束具で、首と手首、足首と腰をつながれ、床の上で、四つん這いに拘束されていた。
キャットスーツの股間の、開かれた白いジッパーからは、勃起したぼくのペニスが、突き出ていた。
そのペニスには、黒い革の、裏に鋲の突き出た、ペニスサックがはめられていた。
そのペニスサックからつながる、鎖の先には、ソフトボール大の鉄のアンカー(重り)が付けられていた。
「ううん」
股間に、激痛が走る。
ペニスサックとアンカーをつなぐ鎖がのび切ったからだ。
美月に、これ以上ちかづくには、ペニスでアンカーを、引きずっていかなければならない。
「どした?」
美月は、ほほえんでいた。
「うううっ」
ぼくは、うめいた。
ジャララッ、鎖がフローリングをこする。 ゴゴッ、アンカー(重り)が転がる。
ペニスがさらに勃起してきて、鋲がくいこむ。
「うううーっ」
ぼくは踏んばって、やっと、美月のひざもとに、たどり着いた。
ぼくは、首を反らして、美月を見あげた。
美月が、見つめ返してくる。
「そっか、最近、使ってあげてなかったっけね」
美月は、ソファーにすわったまま、その赤いラバーのサディスティンの衣装の、スカートの部分を、まくりあげる。
美月は、家ではいつも、お気に入りのサディスティンの衣装に、身をつつみ、日常をすごしていた。
美月が、自分の股間の、白いジッパーに手をのばし、ひき下ろす。
美月の、美月自身が、プリンと、ラバーの圧力に押されるように、顔を出した。
美月は、ぼくの後頭部を髪の毛ごと、わしづかみにすると、美月自身が露出している、自分の股間に、ぼくの顔をひきよせた。
美月が、薫った。
美月は、2本の指で、美月自身を押しひろげ、ぼくの口から突き出ている突起物を、そこへと誘導した。
ぼくの口には、その役目にふさわしい、巨大なディルドゥギャグが、装着されてあった。
美月が、ぐいっと、ぼくの後頭部に、力を加える。
ニュルンと、すでに濡れはじめていた、美月自身に、ぼくの目の前の、ディルドゥギャグの先端が、すべりこんだ。
「あっ、ふうん」
美月が、かすかな声をあげた。
「うーーん」
美月は、声をあげながら、ぼくの後頭部に力をこめて、ディルドゥギャグを押しこんでいく。
美月は、ぼくの後頭部をつかんだまま、腰を突き出し、腰をひき、前後運動をはじめる。
ぼくの口のディルドゥギャグが、深く美月自身にのみ込まれたとき、ぼくの鼻先が、ちょうど、美月自身のクリトリスに当たった。
美月の濃い薫りを、ぼくは、嗅いだ。
「あーーあ、おまえがヤッてぇーっ」
美月が、快楽の声をあげながら、ぼくの頭から手をはなした。
ぼくは、ひじとひざをフローリングに踏んばり、上体を前に押し出すと、同時に、首をそらし、あごを突き出し、口のディルドゥギャグで、美月自身の中を突き上げた。
突き上げるたびに、美月自身からは、愛液があふれ出てきて、ぼくの顔に、しぶいた。
「あっ、うん。あっ、うーーん」
「むううん」
ぼくの、限界まで勃起したペニスは、前後運動にゆられて、腹を何度もたたいていた。
ぼくの顔は、美月の愛液でぐちゅぐちゅになり、ぼくのあごからは、美月の愛液がしたたった。
ぼくは、美月の匂いに、のみ込まれていた。
ひじとひざの痛みも、ペニスにくい込む鋲の痛みも、わからなくなった。
美月は、ソファーの上で、身をよじって、もだえていた。
美月の赤いラバーのサディスティンにつつまれた身体は、汗にぬれ、愛液にぬれ、輝いていた。
ぼくの全身からも、ぶわっと、汗がふきだした。
もう、発射してしまいそうだった。
それをやっと、鋲つきの革のペニスサックが、おさえてくれていた。
ぼくは、ラバーをきしませ、鎖を鳴らし、全身をゆすって、美月を突き上げつづけた。
「むう、むうう、むううん」
「あっ、うん、うーーん」
美月が、ぼくの頭を、両手でつかみ、両ももで、ぼくの顔を、強くはさみつけてきた。
美月が、イキそうになっている。
美月の愛液が、ぼくの口も、鼻もふさいだ。
ぼくは、息ができなくなった。
ぼくは、美月の愛液で、溺死しそうになっている。
ぼくは、美月の、快楽のために、オナニーのために、マゾ玩具として、生きていた。
美月に、マゾ玩具として、生かされていた。
[SM投稿小説]